賃貸物件を探していると、「フリーレント」という仕組みの物件を目にすることがあります。
「フリー=無料の」という言葉から、お得に借りられそうな印象を受けますが、実際は細かな規約があるため、契約前に注意が必要です。
今回は「フリーレント」付きの物件について、仕組みや特徴を詳しく解説します。
フリーレント付き物件を借りる際の注意点も紹介しますので、賃貸物件を検討中の方はぜひ参考にしてください。
フリーレントとは
フリーレントとは、入居を決めた場合に、定められた期間の家賃を無料にする制度のこと。
無料になる期間は物件によって異なりますが、一般的には1〜3ヶ月分の家賃を無料とする物件が多いです。
ただし、共益費や管理費が家賃に含まれる場合と、部屋代以外の費用は別途請求される場合があり、物件によって条件が異なります。
フリーレント物件を検討するときは、無料となる期間だけでなく、どこまでの費用が無料対象に含まれるのかも確認しておきましょう。
フリーレントで家賃が無料になる理由
フリーレントは、物件を探している人にとって魅力的な制度ですが、なぜ家賃が無料になるのかの理由が気になります。
フリーレントで家賃が無料になる主な理由は、次の2つです。
- 空室を早く埋めるため
- 入居者からのクレームを防ぐため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
空室を早く埋めるため
賃貸物件にフリーレントが導入される最も多い理由は、空き室を早く埋めるためです。
駅からの距離や築年数など、賃貸物件は立地条件や設備によって、人気のある物件と入居者が決まりにくい物件との二極化が進みやすくなっています。
できるだけ早く空室を埋めるための工夫として導入されているのが、フリーレントです。
入居者からのクレームを防ぐため
フリーレントは、お得に入居できるメリットを入居希望者に提示しつつ、すでに入居している住人からのクレームを防ぐのにも効果的です。
入居希望者を優遇するために家賃を下げた場合、すでに入居している住人との間に不公平感が生じ、クレームにつながるおそれがあります。
さらに、家賃は敷金や礼金などの計算基準にもなっており、長く入居するほど減額による差額が大きくなってしまいます。
そのため、家賃の減額は大家さんにとって有益とはいえません。
フリーレントなら、優遇期間も限られるため不公平感が生まれにくく、大家さんにとっても減額する費用が明確になるのが魅力です。
入居者からのクレームを防ぎつつ、入居希望者にメリットが多い方法としても、フリーレントは選ばれています。
フリーレントの賃貸を選ぶメリット
一定期間の家賃が無料になるフリーレントを選んだ際に、入居者が得られるメリットは主に次の3つです。
- 初期費用を抑えられる
- 二重家賃になりにくい
- 余裕をもったスケジュールで引っ越しできる
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
初期費用を抑えられる
およそ1~3ヶ月分の家賃が無料になるフリーレント物件は、初期費用を抑えられるのが大きな魅力です。
賃貸物件を契約すると、家賃以外に敷金・礼金や仲介手数料、保証料や火災保険料、鍵交換費用といった初期費用が発生します。
これらの初期費用の一般的な相場は家賃5~6ヶ月分といわれており、まとまった費用が必要です。
フリーレントで入居当初の家賃が無料になると、その分生活費を充実させるなどの余裕が生まれるため、新生活をスタートさせやすくなるでしょう。
二重家賃になりにくい
賃貸物件から賃貸物件へ引っ越しする場合に起こりやすいのが、二か所の住居で家賃の支払いが発生する「二重家賃」の状態です。
賃貸物件に入居するときは、入居日ではなく賃貸契約の開始日から家賃が発生するケースが多いため、実際に引っ越しするまでの間も家賃を支払う必要があります。
特に新年度に向けた新生活シーズンは、人気が高い物件ほど早く部屋が埋まってしまうため、入居まで1~2ヶ月ある状態で契約するケースも少なくありません。
そのため、すでに賃貸物件に住んでいる場合は、今の住居と引っ越し先の住居の両方で家賃を支払うことになり、生活が圧迫されやすいです。
引っ越し先にフリーレント物件を選べば、たとえ入居が1~2ヶ月先の場合でも新居の家賃を支払う必要がないため、余裕をもって新生活の準備を進められます。
余裕をもったスケジュールで引っ越しできる
二重家賃の状況にあるように、賃貸物件は通常入居前から家賃が発生するため、無駄になる家賃を減らそうとできるだけ早く新居に入居しようとするケースも多いです。
新居と旧居の家賃負担を少しでも減らすために、多少無理のあるスケジュールでも引っ越しを行い、郵便物の転送や電気・水道など各種ライフラインの手続きなど、新居での手続きが重なってしまうこともあるでしょう。
フリーレント物件への引っ越しなら、多少引っ越しのスケジュールが遅れても負担する家賃に大きな影響は発生しません。
負担が増えることを気にせず、余裕をもったスケジュールで落ち着いて引っ越し準備ができるのも、フリーレント物件を選ぶメリットです。
フリーレントはデメリットが多いって本当?
一定期間の家賃が無料となるフリーレント物件は、実はデメリットが多いという意見もあります。
フリーレントのデメリットとしてよくあげられるのは、以下の2つです。
- 違約金が発生することがある
- 物件数が限られる
フリーレント物件は、入居から一定期間の家賃を無料にする代わりに、短期解約を防ぐための「短期解約違約金」が設定されています。
内容は物件ごとに異なりますが、定められた期間内に解約した場合、家賃1~2ヶ月分の違約金を請求されることが多いです。
違約金が課せられる期間も、物件によって異なります。
長いものは3年間に設定されている場合もあるため、転勤などで転居することが多い方は、特に注意が必要です。
また、フリーレント物件は一般的な物件よりも数が少ないため、比較対象が限られてしまうのも、デメリットとしてあげられます。
豊富な物件の中から自分に合ったものを探したい方は、フリーレント物件を避けた方がよいでしょう。
フリーレントを借りるときの注意点
フリーレント物件を借りるときは、契約前に意識しておきたい注意点が3つあります。
- 入居期間の目安をたてる
- 解約する場合の規約を確認する
- 契約開始日を把握する
入居してから後悔しないためにも、注意点については事前に十分把握しておきましょう。
入居期間の目安をたてる
フリーレント物件を検討するときは、あらかじめ自分がその物件にどのくらいの期間入居するのかを考えておくことが大切です。
フリーレント物件は、入居時の初期費用を抑えられるとても魅力的な物件ですが、ある程度の期間住むのであれば、似たような条件でより家賃の安い物件を借りた方がお得かもしれません。
入居時のお得感が強いため、つい判断を急ぎがちになってしまいますが、契約してから後悔しないためにも、冷静に物件を検討しましょう。
解約する場合の規約を確認する
フリーレント物件は、入居時の家賃が一定期間無料になる代わりに、短期解約した場合は違約金を課せられてしまうのが一般的です。
短期解約と見なされる期間や違約金の金額は物件によって異なるため、契約前に必ず解約に関する規約を確認しましょう。
特に短期解約の期間は、1年~3年間と幅広いです。
違約金の金額も家賃1~2ヶ月分と高額な負担になるものが多いため、あらかじめよく確認しておきましょう。
契約開始日を把握する
フリーレント物件を契約する時は、フリーレント期間の開始が契約開始日なのか、それとも入居日なのかを確認しておくことが大切です。
二重家賃を防げるなどメリットの多いフリーレント物件ですが、フリーレント期間の適用日を勘違いしていると、せっかくのメリットが無駄になってしまいます。
後のトラブルを防ぐためにも、契約の開始日がいつになり、フリーレント期間がいつまで適用されるのかについては、必ず把握しておきましょう。
フリーレントになりやすい物件の特徴
フリーレントになりやすい物件には、いくつか共通した特徴があります。
- 長い間空室が続いている
- 築年数が経っている
- 駅から距離がある
これらの特徴を知っていると、フリーレント物件をさらに見つけやすくなります。
上手に活用して、希望条件に合うフリーレント物件を探しましょう。
長い間空室が続いている
フリーレントは、大家さんや管理会社が空室を早く埋めるために導入することの多い制度です。
そのため、数ヶ月単位などの長期に渡って空室が続いている物件は、フリーレントの対象になりやすいでしょう。
ただし、長期間空室になっている物件には、相応の理由がある場合があります。
長期間空室になっていた物件がフリーレントになった場合は、住環境や周辺の入居者の様子について、不動産会社の担当者に確認してみてください。
築年数が経っている
築年数が経っている物件も、なかなか空室が埋まらずにフリーレントになる場合があります。
特に近隣に新築アパートが建った場合はそちらに人気が集中し、差別化のためにフリーレントを導入することもあるでしょう。
できるだけ新築に近い物件を望む方も多いですが、築年数が経った物件も、リフォーム済みの物件や管理状況が整っている物件は、快適に暮らせることが多いです。
築年数だけでなく、管理体制や住環境のよさも考慮しながら選んでいくとよいでしょう。
駅から距離がある
賃貸物件は特に、駅をはじめとする公共交通機関へのアクセスのよさによって人気度や家賃が大きく変わります。
駅から徒歩15分以上など、比較的距離がある物件は人気が下がることもあり、フリーレントの対象になりやすいです。
駅から距離があっても、バス停が近くにある物件や駐車場代が周辺相場よりも抑えられる物件もあります。
駅からの距離を考える際は、複数の経路や移動手段を使ったルートで比較してみるのもおすすめです。
賃貸をフリーレントにする交渉は可能?
気に入った物件があるけれど、どうしても初期費用の負担が難しいときは、フリーレントの交渉をしてみるのも方法の1つです。
その物件が長く空室であった場合には、大家さんも早く入居者を決めたいと考えていることが多いため、フリーレントの交渉は家賃交渉よりも応じやすい傾向があります。
ただし、交渉するなら条件を変えてくれた場合は必ず入居することが前提です。
どうしても初期費用を抑えたい場合は、フリーレントへの交渉をしてみるのもよいでしょう。
まとめ
フリーレント物件は、特殊な契約形態のためデメリットが多いといわれることもありますが、注意点をしっかり把握して契約すれば、メリットの多い仕組みです。
条件に合う物件がフリーレントであれば、初期費用を大きく抑えながら入居できますので、ぜひ積極的に検討を進めましょう。
フリーレント物件は数が限られますので、不動産会社の担当者に相談しつつ、条件に合う物件を探していくのが大切です。




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