【子供連れ】離婚後の引っ越しに必要な手続きは?費用がないときの対策も紹介

引っ越しはただでさえ大変なものですが、離婚後に子供連れで引っ越すとなると、さらに手続きの負担は増していきます。

手間を減らすためには、事前の確認と準備が欠かせません。

今回は離婚後に子供連れで引っ越すときの、手続きの流れを解説します。

費用がないときの対策や気をつけたいポイントも紹介しますので、ぜひスムーズな引っ越しの参考にしてください。

離婚で引っ越す際の流れ

離婚で引っ越すときの基本的な流れは、以下のとおりです。

  • スケジュールの把握
  • 引っ越し先の決定と諸費用の把握
  • 離婚届の提出・各種手続き
  • 荷造り
  • 転居先に引っ越し

それぞれ解説します。

スケジュールの把握

離婚で引っ越しが決まったら、まず全体的なスケジュールを把握しましょう。

引っ越しの期限から、いつまでに手続きが必要かを逆算します。

離婚や引っ越しに関わる手続きは、役所の窓口で同時にできるケースが多いです。

二度手間を防ぐためにも、手続きする場所とタイミングはよく確認しておきましょう。

引っ越し先の決定と諸費用の把握

賃貸物件へ入居するなら、物件探しは引っ越しの1ヶ月前からはじめましょう。

引っ越し業者への見積り依頼も物件が決まり次第、早めに行うのがおすすめです。

賃貸物件の初期費用は物件によって異なりますし、引っ越し業者への支払いにもまとまった費用がかかります。

諸費用の把握のためにも、物件や引っ越し業者の選定は計画的に進めましょう。

離婚届の提出・各種手続き

引っ越し先が決まったら、離婚届を提出し、各種手続きも同時に済ませましょう。

<離婚の手続き>

  • 離婚届の提出
  • 戸籍の変更手続き
  • 年金の分割
  • 国民年金加入の手続き(扶養から抜ける場合)
  • 国民健康保険の加入(扶養から抜け、就職先が未定の場合)

<引っ越しの手続き>

  • 住民票の移動
  • 世帯主の変更
  • マイナンバーカードの登録情報変更
  • 印鑑登録
  • 運転免許証の書き換え
  • パスポートの変更
  • 郵便物の転送
  • 各種銀行口座、クレジットカードなどの登録情報変更

手続きは役所の窓口でまとめて行えるものが多いので、一覧を参考に、漏れのないよう注意してください。

荷造り

荷造りするときは、忘れ物がないように気をつけましょう。

元パートナーとの関係性によっては、離婚後に連絡を取り合うのも難しくなります。

引き出しのアクセサリーや時計など、小さな貴金属類には特に注意してください。

また結婚生活中に共同で購入したものは、夫婦の共有財産です。

どちらが引き取るか話し合い、荷物の混在を防ぐためにも、搬出する荷物には目印をつけておきましょう。

新居への入居

新居へ入居し、各種ライフラインの手続きを済ませれば、引っ越しは完了です。

賃貸アパートへの引っ越しでは、一連の流れに物件探しや入居申込みも加わりますが、基本的な手続きは変わりません。

漏れがないよう確認しながら、着実に行ってください。

離婚後に子供連れで引っ越す際に必要な手続き

離婚後に子供連れで引っ越すときは、児童扶養手当や医療費助成制度の手続きも必要です。

児童手当・児童扶養手当の変更手続き

児童手当は、中学生以下の児童を扶養している養育者に支給される手当です。

受給手続きは出生届の提出時に完了しているため、引っ越しでは役所の窓口で住所変更を行えば大丈夫です。

一方、児童扶養手当は、離婚や死別などの理由で18歳以下の子供を扶養するひとり親世帯を対象とし、所得に応じた手当を支給します。

受給には手続きが必要なため、離婚で子供を引き取るときは、忘れず役所の窓口に行きましょう。

医療費助成制度の変更手続き

離婚後にひとり親になると、「ひとり親家庭等医療費助成制度」が利用可能です。

「ひとり親家庭等医療費助成制度」は、養育されている子供だけでなく、ひとり親や両親がいない子供の養育者も助成の対象。

養育されている子供同様、大人が病院で診察を受けたときの自己負担分の一部も、自治体が助成します。

ただし入院時の差額ベッド代や予防接種といった、保険診療適応外の費用は助成されません。

対象世帯には所得制限を含む条件があり、詳細も自治体によって異なりますが、ひとり親世帯の医療費を助成してくれる心強い制度です。

不明点があれば役所の窓口に問い合わせ、ぜひ積極的に活用してください。

転園・転校手続き

子供が保育園や幼稚園、小中学校へ通っているなら、転園・転校の手続きも必要です。

保育園・幼稚園の場合

保育園の転園は空き状況が大きく関わるため、具体的な転園手続きは自治体の窓口を通して行います。

幼稚園の場合は、基本的に自治体窓口ではなく園と直接やり取りします。

特に私立幼稚園では定員があり、年度途中の受け入れが難しいケースも多いです。

気になる園には電話で直接空き状況を問い合わせ、転園を申し込みましょう。

小学校・中学校の場合

公立小中学校の転校は、以下の手順で行います。

  • 転校前の学校で「在学証明書」・「教科書給与証明書」を受け取る
  • 自治体窓口で転居届や転入届を提出した際に、「入学通知書」も発行してもらう
  • 「入学通知書」・「在学証明書」・「教科書給与証明書」を揃えて転校先の学校へ提出する

なお私立小中学校の転校手続きは、学校ごとに手順が異なります。

必ず学校に手続き方法を確認のうえ、対応してください。

離婚後のひとり親が申請できるもの

離婚後にひとり親として子供を養育するときは、他にも以下の制度が利用できます。

  • 就学援助制度
  • JR通勤定期乗車券の割引
  • 上下水道料金の減免措置

就学援助制度とは、小学生や中学生を養育しているひとり親世帯に対し、就学に関するさまざまな費用の補助をする制度のこと。

具体的な補助対象品目は、以下の通りです。

学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費

参考:文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」

申請は学校を通して行い、新学期開始後に学校から配布される申請書に記入の上、学校の担当窓口へ提出します。

また「JR通勤定期乗車券の割引」と「上下水道料金の減免措置」は、児童扶養手当の給付対象世帯に適応される制度です。

ひとり親世帯がJRを使って通勤している場合は、通勤定期乗車券が通常の3割引で購入可能。

また自治体によって金額は異なりますが、上下水道料金も減免の対象です。

これらの制度は申請があってはじめて適応されるため、忘れずに各窓口に申請しましょう。

離婚による引っ越し費用は誰が負担する?

離婚のために夫婦の一方が家を出て、もう一方が住み続けるケースでは、引っ越し費用を残る相手に請求したいと考える方も多いです。

中には「婚姻費用」として相手に請求するため、引っ越しするなら離婚前がよいとする意見もあります。

しかし、厳密には離婚前であっても、「婚姻費用」として引っ越し費用の請求はできません。

「婚姻費用」として請求できるのは生活費のみで、引っ越し費用は支払い義務の対象外だからです。

さらに引っ越し費用は、当事者が支払うものであるため、原則として相手には請求できません。

引っ越し費用の負担が難しいときは、まずは繁忙期を避ける、相見積もりをとるなどして、できるだけ金額を下げるよう努めましょう。

それでも負担が重く、相手に費用負担を依頼したいときは、納得の上で応じてもらえるよう、根気よく交渉してください。

離婚後に引っ越し費用がないときはどうするか

個々の事情によっては、充分な話し合いや準備期間もとれないまま、すぐに引っ越さなくてはならないケースもあります。

離婚後に引っ越し費用がないときは、以下の2つの対策を検討しましょう。

  • 母子父子寡婦福祉基金を利用する
  • 実家や友人を頼る

それぞれ解説します。

母子父子寡婦福祉資金を利用する

「母子父子寡婦福祉資金」とは、20歳未満の子供を扶養するひとり親世帯に貸付られる資金のこと。

こども家庭庁が管轄し、自治体の福祉担当窓口から申請します。

内容によって項目が分かれており、離婚でひとり親世帯が引っ越しするときは「転宅資金」が利用可能です。

<転宅資金>

対象 用途 内容
母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
住宅の移転や住宅の賃借に際して必要な資金 限度額:26万円
据置期間:6ヶ月
償還期間:3年以内
利率保証人有:無利子
保証人無:年1.0%

参考:男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付制度」

貸付金のため一定期間内での返還義務はありますが、保証人ありなら無利子、保証人なしでも年1.0%の利息で利用できるため、引っ越し資金に困っているときの選択肢としておすすめです。

実家や友人を頼る

頼れる実家や友人がいるのなら、引っ越し資金の援助を相談するのも方法の1つです。

ただしこれまで良好な関係を築いていても、友人の場合は特に、金銭の貸し借りがきっかけで今後の関係性が変わってしまうかもしれません。

もし引っ越し資金の援助を依頼するのなら、金額の詳細だけでなく、返済計画についても具体的に伝えましょう。

返済計画は書面にして双方所持するなど、誠実な対応を心がけてください。

離婚で子供と引っ越すときに気をつけたいこと

これまでの環境を大きく変える離婚や引っ越しは、子供にも自分にも大きなストレスになりやすいです。

離婚で子供と引っ越すときに、気をつけたいことを2つお伝えします。

環境の変化による子供への負担を配慮する

子供は環境の変化に敏感で、大人が考えている以上に多くの物事を感じ取っています。

手続きに忙しくなかなか子供と向き合う時間もとれないかもしれませんが、できるだけ注意深く、子供の様子を見守ってあげましょう。

特に小学校高学年や中学生などある程度、自分の気持ちを言葉で表現できる年代なら、子供の話に耳を傾けるのが大切です。

一方でまだ幼く、自分の言葉を表現できない子供の場合、不安やストレスは急な赤ちゃん返りや夜泣き、癇癪となって表れます。

保護者としてもつらい時期ではありますが、子供の感情を否定せず、できるだけスキンシップや対話を試みて子供が安心感を得られるよう努めてください。

無理せず相談窓口を頼る

疲れたときや不安なときに心身に不調が出やすくなるのは、大人も同じです。

特に離婚により子供連れで引っ越すときは、どうしても子供に対する引け目や周囲への劣等感も強く表れます。

相談できる友人知人がいれば、無理せずに話を聞いてもらいましょう。

身近な人に相談しにくければ、「福祉事務所」や「自立相談支援事業所」など、国が管轄する相談窓口も頼れます。

誰かに話を聞いてほしいとき、具体的なアドバイスが欲しいときは、無理をせず一度相談するのがおすすめです。

まとめ

離婚により子供連れで引っ越しをするときは、引っ越しや離婚の手続きに加え、環境の変化による子供のケアも大切です。

余計な手間を増やしてしまわないためにも、手続きは十分に確認し、新しい生活をスタートさせましょう。

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