理想の物件に出会ったときに、気になるのが初期費用。
初期費用は物件によって異なるため、物件選びの段階から気にかけておきたい費用です。
今回は家賃8万円の物件への入居にかかる、初期費用の目安を紹介します。
費用の内訳や支払いが難しいときの対処法についても解説しますので、ぜひご覧ください。
この記事の目次
初期費用の目安は家賃の5~6ヶ月分
初期費用の相場は家賃の5~6ヶ月分が一般的で、家賃8万円の物件なら、40万~48万円が目安です。
なお初期費用に含まれる敷金や礼金、保証会社の利用料は家賃を基準に計算するため、家賃によって初期費用は大きく変わります。
初期費用の内訳を、詳しく見てみましょう。
初期費用の内訳
相場 | 内容 | |
敷金 | 家賃×0.5~1ヶ月分 | 部屋の修繕や原状回復のために、退去時まで預けておく費用。修繕にかかった費用が清算され、残金は後日返金される。 |
礼金 | 家賃×0.5~1ヶ月分 | 大家さんへのお礼の意味を込めたもの。地域によって相場に差があり、退去時に返金されない。 |
前家賃 | 家賃×1ヶ月分 | 入居月の翌月分の家賃。初期費用として支払うケースが多い。 |
日割り家賃 | 入居日に応じて変動 | 入居当月分の家賃を、月末までの日数で日割りした費用。入居日に応じて変わる。 |
仲介手数料 | 家賃1ヶ月分×税が上限 | 不動産会社に支払う手数料。宅地建物取引法で上限が定められている。 |
保証会社利用料 | 管理費を含めた総家賃×0.5~1ヶ月分 | 滞納された家賃を立て替える保証会社の利用料。保証会社により相場は異なる。 |
鍵交換代 | 15,000~20,000円+税 | セキュリティ面から鍵交換は必須。入居時に交換する。 |
火災保険料 | 15,000~20,000円+税 | 火事のほか、台風などの自然災害による損害を補償。保険会社は管理会社から指定されるケースが多い。 |
敷金や礼金、保証会社の利用料を家賃1ヶ月分。
鍵交換代や火災保険料を2万円+税とし、入居日は月半ばと仮定して初期費用を計算してみます。
この条件で試算すると、家賃8万円の物件の初期費用は49万2,000円です。
金額は一般的な相場を基準とした試算ですので、あくまで参考としてお考えください。
賃貸の初期費用で払わなくていいもの
賃貸物件の初期費用で、以下の費用は払わなくていいケースがあります。
- 敷金礼金ゼロ物件の敷金と礼金
- 既定の上限を超えた仲介手数料
希望する物件が敷金礼金ゼロ物件なら、敷金と礼金を払う必要はありません。
また仲介手数料は、宅地建物取引法で「家賃1ヶ月分×税」が上限と定められています。
上限以上の仲介手数料が掲示されても、法令違反のため払う必要はありません。
この場合、不動産会社も違反を承知で掲示している可能性があります。
後のトラブルを避けるためにも、他の不動産会社に変えた方が懸命でしょう。
家賃8万円の物件に必要な年収は?
賃貸物件を借りるのに必要な年収の目安は、家賃の36倍です。
家賃8万円の物件なら、8万円×36=288万円が目安となります。月収に換算すると約24万円です。
年収の目安は、部屋代のみで計算されています。
実際は部屋代以外に管理費や共益費も加算されるので、年収に不安がある方は、家賃を抑えて検討するとよいでしょう。
初期費用を抑えるコツ
初期費用を抑えるには、次の8つのコツがあります。
- 敷金礼金ゼロ物件を選ぶ
- 仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
- 連帯保証人のみで契約できる物件を選ぶ
- 月初に入居する
- 繁忙期を避ける
- フリーレント物件を契約する
それぞれ見ていきましょう。
敷金礼金ゼロ物件を選ぶ
敷金礼金は大抵家賃の1ヶ月分で設定されているため、敷金礼金ゼロの物件を選べば、初期費用を大幅に抑えられます。
敷金礼金ゼロになっている理由は、多くの場合、大家さんが早く空室を埋めたいと思っているためです。
敷金は大抵、退去時の修繕費用にあてられます。
礼金は大家さんへのお礼金の意味合いが強いため、敷金のみ設定し、礼金はゼロのケースもあります。
価格交渉を考えているなら、敷金ではなく礼金の価格を交渉しましょう。
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
仲介手数料は、宅地建物取引法で上限が定められていますが、下限はありません。
集客を目的に、あえて仲介手数料を低くしている不動産会社を選べば、初期費用を抑えられます。
さらに仲介手数料を抑えるなら、仲介手数料の割引キャンペーンの活用や、不動産会社が所有する賃貸物件の検討もおすすめ。
物件の所有者がその不動産会社なら、仲介手数料が不要となり、出費を抑えられます。
不動産会社が所有する物件には限りがありますし、キャンペーンの開催期間も不定期です。
必要な情報を得るためにも、物件掲載サイトや不動産会社のホームページを定期的に確認するとよいでしょう。
連帯保証人のみの物件を選ぶ
連帯保証人のみで入居できる物件なら、保証会社の利用が任意なので、保証料の分だけ初期費用を抑えられます。
保証会社は家賃の滞納があったときに、滞納分の家賃を入居人に代わって立て替える企業。
確実に家賃を回収できる上に督促の手間もないので、最近では全体の8割の物件で利用が求められています。
保証会社を利用せず連帯保証人のみで契約できる理由は、早く入居人を見つけたいなど、大家さん側の都合が多いです。
連帯保証人のみで契約できる物件は少ないため、希望する場合は不動産会社の担当者に相談しましょう。
月初に入居する
月初に入居すれば、初期費用のうち日割り家賃と前家賃が抑えられます。
前家賃とは、翌月分の家賃を初期費用に含め、一括で支払う方法。
例えば15日に入居するときは、月末までの日割り家賃と翌月分を合わせて、1.5ヶ月分の家賃を先に支払います。
不動産会社によっては、入居日が1日だと前家賃が不要になるため、初期費用を大幅に削減可能です。
前家賃は翌月分の家賃の先払いなので、トータルで支払う家賃は変わりません。
初期費用として、まとまった出費を少しでも抑えたいときにおすすめです。
繁忙期を避ける
賃貸業界の繁忙期は、1〜3月の新生活シーズンと、9〜10月の転勤シーズンの年2回です。
繁忙期には入居希望者が多いため、価格交渉がしづらくなります。
条件の良い物件も多いですが、初期費用を少しでも抑えたいなら、繁忙期は避けましょう。
フリーレント物件を契約する
フリーレント物件とは、決められた一定期間の家賃が無料になる物件のこと。
フリーレントは、空き部屋を少しでも早く埋めたいときに導入されます。
物件によって無料期間は異なりますが、大抵は1ヶ月間無料のケースが多いです。
新居と旧居の両方の家賃が重なってしまい、負担が増える二重家賃の状態でも、新居がフリーレントなら負担を軽減できます。
賃貸から賃貸への引っ越しを検討している人には、特にメリットの大きい物件です。
一方でフリーレント物件には「短期解約違約金」という、注意すべき仕組みがあります。
「短期契約違約金」とは、あらかじめ決められた期間内に解約すると、違約金がかかる仕組み。
1〜2年の間で定められるケースが多く、期間は物件によって異なります。
短期間で引っ越す可能性がある方にとっては、フリーレント物件は避けた方がよいでしょう。
賃貸の初期費用が支払えないときの対処法
賃貸の初期費用が支払えないときには、2つの対処法があります。
- 分割払いを利用する
- 自治体の補助金を利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
分割払いを利用する
初期費用は基本的には一括で、現金もしくは銀行への振り込みで支払います。
どうしても一括が難しければ、不動産会社の担当者に、クレジットカードの分割払いが可能か確認してください。
分割払いの利用可否は、不動産会社や物件ごとに変わります。
初期費用の支払いが不安なら、物件探しの最初の段階から確認しておきましょう。
クレジットカードの分割払いは、支払い回数が増えるほど利息が多く発生します。
賃貸の初期費用は高額なため、発生する利息も高いです。
分割払いは、慎重に検討した上で利用してください。
自治体の助成金を利用する
自治体によっては、次の条件に当てはまると、転居に伴う諸費用に助成金が出ます。
- 子育て世帯
- 新婚世帯
- ひとり親世帯
- 高齢者世帯
- 障がい者世帯
- 親世帯との近居や同居を考えている場合
引っ越し先のエリアが決まったら、早い段階で自治体のホームページを確認しましょう。
助成金の内容や募集期間は自治体により異なりますし、適用世帯数にも上限があるため、申し込んだ人全てに支給されるとは限りません。
なお助成金制度には、家賃額の上限以外にも家賃滞納歴がないことなど、対象に条件があるので注意してください。
初期費用を抑えるときの注意点
初期費用を抑えるときの注意点は、次の3つです。
- 退去費用が高額になる
- 入居日の月末に家賃の支払いが発生
- 保証会社が利用必須のケースもある
それぞれ解説します。
退去費用が高額になる
入居時に支払う敷金は、退去時の修繕や原状回復に使うために預けている費用です。
敷金ゼロで入居していた場合、預かり金がないため退去時の費用が実費で必要になります。
物件によっては、クリーニング費用として別途支払いを求められるケースも。
退去費用の取り扱いは契約書に詳細が記載されるため、敷金ゼロの物件を検討するなら必ず確認しましょう。
入居月の月末に家賃の支払いが発生
初期費用として前家賃を支払っていれば、入居後しばらく家賃は発生しません。
しかし前家賃を支払わなかった場合、入居月すぐの月末に家賃を支払います。
このときに支払えないと滞納になるため、入居月の家賃は必ず確保しておきましょう。
保証会社が利用必須のケースも
敷金は退去時の修繕費用以外にも、家賃を滞納したときの補填になる費用です。
敷金ゼロで入居していた場合、多くの物件で入居条件に保証会社の利用が含まれます。
敷金ゼロの物件は、初期費用を抑えるのに効果的ですが、高額な退去費用や保証会社の利用が求められるケースも多いです。
契約するときは、必ず契約書をよく読んでから物件を決めましょう。
保証料を安く抑えるコツはある?
入居条件として求められる保証会社の保証料も、コツをつかめば安くできます。
- 連帯保証人を立てる
- 保証内容を限定する
- 大家さんと交渉する
3つの方法の中でも、特におすすめなのが連帯保証人を立てる、保証内容を限定するの2つです。
保証料に限らず、連帯保証人を立てると大家さんや管理会社からの信頼度が上がり、交渉がスムーズに進みやすくなります。
反対に連帯保証人がいないと、交渉が受け入れられないケースも多いので覚えておきましょう。
次の保証内容の限定ですが、保証会社が保証する範囲は、大抵以下の部分です。
- 入居者が滞納した費用(家賃、共益費・管理費、駐車場代など)
- 更新料
- 退去時の原状回復費用
- 退去時の残置物などの処理費用
- 賃貸借契約違反による違約金や損害金
- 裁判に発展したときの裁判費用
原状回復や残置物の処理費用を保証に含めず、実費でよければ、交渉次第で保証範囲から外せます。
保証内容を決めるのは大家さんや管理会社のため、変更できるか事前に確認してから交渉しましょう。
最後に大家さんとの交渉ですが、受け入れられなかった場合に大家さんからの心象が悪くなるリスクもあるので、あまりおすすめできません。
もし交渉したいなら、保証料よりも礼金の金額を交渉する方が、受け入れられやすいでしょう。
まとめ
賃貸の初期費用には含まれる項目が多いため、工夫次第で大幅に抑えることも可能です。
しかし中には支払うタイミングを変えただけで、退去時に実費で請求される費用も多くあります。
どのタイミングで支払うかは、自分の資金状況をもとによく検討してください。
初期費用が抑えられる物件を探すには、不動産会社の担当者に協力してもらうのが一番です。
担当者に希望を伝え、できる限り負担を抑えて、充実した新生活をはじめましょう。
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