離婚後の生活で、特に考えなくてはならないポイントの1つが住まいです。
離婚後の家探しには慎重な判断が求められますが、入居審査の厳しさなどから、苦労する人も少なくありません。
今回は、離婚後に住む家がない場合の対処法について解説します。
専業主婦が家探しするときの注意点や、入居審査に通るための方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
離婚後に住む家がない場合の選択肢
離婚のために今の住まいから出なくてはならないとき、住む家の選択肢は次の3つです。
- 実家を頼る
- 公営住宅を申し込む
- 賃貸住宅を借りる
それぞれ解説します。
実家を頼る
離婚後に生活費の支出を最小限に抑えるため、実家を頼る人は多いです。
家探しには費用だけでなく、時間も労力もかかるため、頼れる実家があれば生活の基盤を整えやすくなります。
ただし、すでに同居している兄弟世帯がいたり、親族と折り合いが悪かったりなどの理由から、常に快く迎えられるとは限りません。
お互いのためにも、迎え入れる側の事情には十分、配慮しましょう。
公営住宅を申し込む
公営住宅とは、住宅に困窮する世帯に対し、低価格の家賃で供給される住宅のこと。
町営住宅や市営住宅、都営住宅や県営住宅などが当てはまります。
自治体により詳細は異なりますが、入居条件は以下の通りです。
- 月収が入居収入基準を超えないこと
- 60歳以上や生活保護受給者、障がい者手帳の交付など一定の条件を満たすこと
- 住宅に困窮していること
入居者の募集は定期的に行われますが、申し込み多数の場合は抽選になるため、注意してください。
賃貸物件を借りる
就業していたり、定期収入やまとまった額の貯蓄があるなら、賃貸物件を借りるのもおすすめです。
賃貸住宅ならある程度、生活環境にこだわれますし、実家を頼ったときのように親族に気負う必要もありません。
賃貸物件に必要な初期費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
専業主婦が離婚で家探しするときの注意点
長年専業主婦として過ごしてきた方が、離婚をきっかけに家探しをするときは、次の2つのポイントに注意しましょう。
- 借りられる物件が限られる
- 入居審査に通りにくい
それぞれ解説します。
借りられる物件が限られる
賃貸物件の大家さんや管理会社が重視するのは、入居希望者の支払い能力です。
専業主婦の方が離婚で家探しをしていても、大家さんや管理会社によっては、家賃滞納のリスクから物件を貸し出さないケースもあります。
さらに未就学の子どもを引き取るなら、仕事中の預け先も考えなくてはなりません。
保育園の入所が厳しい自治体によっては、定員の空き状況から住むエリアを絞り込む必要もあるでしょう。
収入面を含む支払い能力への不安や、子どもの預かり先の確保といった、条件面での難しさなど。
専業主婦の方が離婚で家探しをするときは、借りられる物件が限られるので注意してください。
入居審査に通りにくい
賃貸物件を借りるときに、必要なのが入居審査。
入居審査では家賃の支払い能力が重視されるため、無職のままでは通りにくいです。
就職先が決まっているなら、物件の申し込み時に、いつから就業予定かを伝えましょう。
働く意思があるなら、実際にハローワークで求職申し込み手続きを済ませ、求職中であることをアピールできた方が審査に通りやすいです。
仮に財産分与で充分な預貯金があっても、無職のままではいずれ資金も底をついてしまいます。
生活の基盤を整えるためにも、環境が落ち着き次第、できるだけ仕事をはじめましょう。
なお、賃貸物件の入居審査に通るために必要な年収目安は、家賃の36倍。
家賃7万円の物件を申し込みたければ、年収目安は7万円×36=252万円です。
今の年収が目安年収に届かなければ、希望の家賃額を下げた方が、審査に通りやすくなります。
入居審査に通らないときは一度、希望の家賃額を見直してみるのもおすすめです。
離婚後の専業主婦が入居審査に通る3つの方法
専業主婦の方が離婚で家探しするときは、求職中とアピールするのがおすすめと紹介しました。
それでもなお審査に不安があれば、次の3つの方法を試しましょう。
- 預貯金審査をする
- 連帯保証人を立てる
- 代理契約をする
審査に通らなければ、賃貸物件に入居できません。よく読んで参考にしてください。
預貯金審査をする
預貯金審査とは、通帳のコピーや預金の残高証明書を掲示して、家賃の支払い能力を判断する審査です。
預貯金審査に必要な口座残高の目安は、家賃の2年分。
たとえば家賃5万円の物件なら、5万円×24ヶ月=120万円が必要です。
ただし預貯金審査に対応できるかは、物件によって異なります。
不動産担当者に相談し、もし検討中の物件で預貯金審査が難しければ、改めて対応可能な物件の紹介を依頼しましょう。
連帯保証人を立てる
連帯保証人とは、家賃の滞納があったときに、入居人に代わって滞納分の家賃を支払う立場のこと。
何らかの損害賠償が発生したときも、入居人に支払い能力がなければ、連帯保証人が支払わなければなりません。
連帯保証人は非常に重い立場ですが、大家さんや管理会社にとっては、大きな安心材料です。
保証会社を利用するなら、連帯保証人を立てる必要はありません。
しかしあえて保証人を立てれば、信頼度が上がり審査に通りやすくなります。
連帯保証人は、入居者と同等の支払義務として扱われるため、極めて責任の重い立場です。
あらかじめ物件の詳細を説明し、了承を得てから依頼しましょう。
代理契約をする
代理契約とは、一定の収入がある親戚や知人を代理人として、賃貸借契約を結ぶ方法です。
たとえば進学のために上京し、収入が安定していない学生の代わりに両親が契約するなど、賃貸物件の契約では一般的に用いられています。
ただし、代理契約には注意したいポイントが2つあります。
- 入居審査を受けるのは、契約者である代理人
- 家賃の引き落とし口座を、契約者である代理人の口座で指定されるケースが多い
入居審査を受けるのは代理人のため、できれば現役で勤めていて安定した収入のある、3親等以内の親族に頼むのがおすすめです。
また家賃の引き落とし口座が代理人名義の口座で指定された場合は、家賃をどのように振り替えるか事前に打ち合わせておく必要があります。
物件にもよりますが、不動産担当者に希望を伝えておけば、代理契約でも入居者本人の口座から家賃を引き落とすことも可能です。
家賃の引き落とし口座が代理人の口座だと、後々トラブルを招くリスクがあります。
できるだけ口座を変更するか、変更しない場合も、家賃の支払いについて明確なルールを決めておきましょう。
なお、大家さんや管理会社に断りなく代理契約を結ぶのは、違反行為のため決して行ってはいけません。
必ず不動産会社の担当者に連絡し、大家さんや管理会社の許可を得てから、代理契約を結んでください。
離婚後の家探しのポイントは生活費とのバランス
離婚後はそれまでの生活と比べ、生活費の収支状況が大きく変わります。
そのため離婚後の家探しでは、住まいの快適さだけでなく生活費と家賃額のバランスを考えるのも大切です。
主なポイントを2つ、解説します。
理想的な住居費は年収の30%
家賃などの住居費の理想的な割合は、世帯年収の30%です。
たとえば年収240万円の家庭なら、住居費は240万円×30%=72万円。
1ヶ月あたりの家賃に換算すると、72万円÷12=6万円です。
実際はここに、共益費なども加算されます。
希望の物件が見つかったら、年間での家賃が年収の何割にあたるか、ぜひ考えてみてください。
1ヶ月あたりの平均支出から考える無理のない家賃
総務省統計局の統計データによると、2022年度の単身世帯の1ヶ月あたり平均支出は161,753円。その内、住居費の平均は23,300円です。
ただし統計には、持ち家世帯や社宅入居中の世帯も含まれるため、賃貸物件に入居中の世帯で考えると、住居費の負担はさらに重くなります。
2022年度の住宅市場動向調査によると、三大都市圏の平均月額家賃は78,069円で、共益費の平均は4,836円です。
あくまで統計上ですが、1ヶ月あたりの平均支出の半分近くを家賃が占めています。
離婚後に生活基盤が安定するまでは、生活費とのバランスを重視し、家賃は抑えめで検討するとよいでしょう。
離婚後に住む家もお金もない場合はどうするか
賃貸物件の入居には初期費用がかかるため、ある程度の貯蓄がないと家探しは進められません。
離婚後に住む家もお金もない場合に、とるべき方法を2つ紹介します。
公正証書で住宅の使用を取り決める
離婚後は、夫婦共同の住まいからどちらかが出ていかなくてはなりません。
しかし子どもが小さかったり、引っ越すための資金がなかったりなど、何らかの事情ですぐに家を出られなければ、公正証書を作成し住宅の使用を取り決めましょう。
公正証書とは、依頼に基づき公証人が作成する公門書のこと。
金銭の支払いが発生する事案において、離婚協議書よりも高い強制力を発揮します。
離婚後は通常、家の名義人が住み続け、名義を持たない方は速やかに出ていかなければなりません。
しかし事前に夫婦で話し合い、住宅の使用について合意のもとに取り決めておけば、離婚後も今の家に住み続けられます。
このとき、住宅の使用料や期間について詳細を定めておかないと、後々深刻なトラブルに発展しやすいです。
離婚後も今の家に住み続けたければ、夫婦で慎重に話し合いを重ね、決して口約束で済ませずに公正証書を作成しておきましょう。
市役所の窓口に相談する
離婚に至るまでの経緯は人それぞれのため、中には十分に話し合いができないまま、離婚せざるを得ないケースもあります。
今後の住まいや就業についての見通しをつけるのが困難なときに、救済措置として利用できるのが「生活困窮者自立支援制度」です。
生活困窮者自立支援制度は、厚生労働省が主体となって行う制度で、次の7つの支援事業が展開されています。
- 自立相談支援事業
- 住居確保給付金の支給
- 就労準備支援事業
- 家計改善支援事業
- 就労訓練事業
- 生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業
- 一時生活支援事業
支援事業についての相談は、「自立相談支援機関 相談窓口」から行えます。
各自治体の市役所や区役所にも窓口が設置されているので、離婚後に住む家がなく困っているなら、一度相談してみるとよいでしょう。
まとめ
離婚は人生の大きなターニングポイントの1つですが、その後の生活の基盤を整えるためにも、離婚後の家探しは欠かせません。
離婚後に賃貸物件を借りるときは、不動産会社の担当者に正直に事情を伝え、条件に合う物件を紹介してもらうのがおすすめです。
離婚を後悔しないためにも、離婚後の生活を見据えて慎重に物件を探し、新しい生活をスタートさせましょう。
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