賃貸アパートに入居中に、トイレが急に下水臭くなって困ったという経験をしたことのある方もいるでしょう。
アパートは配管部分を共有しているため、戸建て住宅よりも他の世帯の影響を受けやすくなっています。
急に下水臭くなったときの対処法を知っておけば、いざというときも安心です。
今回は、アパートのトイレが急に下水臭くなって困っている方に向け、5つの原因と今すぐできる対処法を詳しく解説します。
この記事の目次
アパートのトイレが急に下水臭くなる5つの原因
アパートのトイレから急に下水臭さが漂ってくる原因は、次の5つです。
- 気圧の変化による封水の減少
- 封水の蒸発
- トイレ内部の詰まり
- トイレタンクの不具合
- トイレと床の隙間からのにおい漏れ
それぞれ詳しく解説します。
気圧の変化による封水の減少
封水とは、下水からのにおいがトイレに流れ込まないように、排水管に溜められた水のこと。
においの流入や虫の侵入を防ぐため、トイレの排水管は排水トラップが設けられ、常に封水を溜めておく仕組みになっています。
配管を共有している賃貸アパートでは、上の階で水が流されたときに「誘導サイホン作用」と呼ばれる気圧の変化が生じ、封水が引っ張られて下水臭さが漏れ出すことも。
急なトイレの下水臭さを感じたら、封水が残っているかを確認しましょう。
封水の蒸発
封水は、トイレの水を流すたびに新しい水が溜められる仕組みになっています。
長期間留守にしていると封水が蒸発してしまい、においを抑えきれずにトイレが下水臭くなりやすいです。
トイレ内部の詰まり
トイレの配管に詰まりが生じていると水がスムーズに流れず、トイレが急に下水臭くなりやすいです。
封水も通常の水位まで溜まりにくく下水臭さがさらに充満してしまうため、できるだけ早く詰まりを解消させましょう。
トイレタンクの不具合
トイレタンクの中には「補助水管」と呼ばれるものがあり、タンク内の水位を一定に保つ役割をしています。
何らかの原因で補助水管が外れてしまうと、トイレタンク内に必要な水を溜められず、急に発生した不具合で下水臭くなってしまうことがあるでしょう。
トイレと床の隙間からのにおい漏れ
トイレ本体と床のコーキング部分の劣化によるにおい漏れも、トイレが急に下水臭くなる原因の1つです。
コーキング部分の劣化や汚れを防ぐなら、入居時にマスキングテープを貼っておくのも効果的。
隙間が広範囲に渡っている場合は、被害が広がるのを防ぐため速やかに大家さんや管理会社に連絡しましょう。
アパートのトイレが急に下水臭くなった…今すぐできる対処法は?
アパートのトイレが急に下水臭くなって困っているときに、今すぐ試せる対処法は次の5つです。
- トイレの詰まりを取り除く
- トイレの水を数回流す
- 便器に直接水を足す
- トイレと床の隙間を塞ぐ
- 大家さんや管理会社に連絡する
それぞれ詳しく解説します。
トイレの詰まりを取り除く
トイレが詰まってスムーズに流れなくなっているときは、市販のパイプクリーナーやラバーカップを使って異物を取り除きましょう。
実際に何かで配管が詰まっていなくても、内部で引っかかった髪の毛やティッシュペーパーを通じて封水が流れ出てしまう「毛細管現象」が発生しているケースもあります。
まずは市販のパイプクリーナーを使って髪の毛などの異物を取り除き、それでも詰まりが解消されない場合はラバーカップを使ってみましょう。
ただし、ラバーカップを数回試しても詰まりが解消しないときは、詰まりの原因となっている異物が奥の方まで押し込まれている可能性があります。
詰まりを悪化させないためにも、専門業者への相談がおすすめです。
トイレの水を数回流す
気圧の変化によって封水が減少しているときは、数回トイレの水を流してみましょう。
繰り返し水を流すことで、影響を受けていた水圧も元通りになり、封水も正常な位置に戻りやすくなります。
便器に直接水を足す
トイレの水を数回流しても封水が上昇してこないときは、直接便器に水を足すのも効果的。
封水の水位が戻れば立ちのぼってくる下水のにおいも抑えられるため、すぐにできる対処法としておすすめです。
トイレと床の隙間を塞ぐ
トイレと床の間の隙間が原因で下水臭くなっているときは、応急処置として貼り跡の残らないマスキングテープを貼りましょう。
市販のコーキング材を使用すれば隙間をより強力に防げますが、賃貸アパートはあくまで大家さんや管理会社の所有物ですので、勝手に修理を行ってはいけません。
あくまで応急処置に留め、必ず大家さんや管理会社に連絡してください。
大家さんや管理会社に連絡する
トイレの水を数回流したり、直接水を足したりしても封水の水位が戻らずに下水臭さが解消されないときは、アパートの配管に何らかのトラブルが発生している可能性もあります。
この場合は共用部分の工事が必要になるため、大家さんや管理会社に連絡して対応を依頼しましょう。
アパートのトイレが急に下水臭くなるのを防ぐには?
トイレから急に下水臭さが立ちのぼってくると、気分が悪くなるだけでなく他の部屋にもにおいが広がってしまいます。
アパートのトイレが急に下水臭くなるのを防ぐために意識したいポイントは、次の3つです。
- 小まめに掃除する
- 小物の落下に注意する
- 長期間留守にするときはフタを閉める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
小まめに掃除する
トイレが下水臭くなるのを防ぐためには、日頃からトイレのフチ裏や床と便器の継ぎ目を掃除し、汚れを小まめに取り除くのが大切です。
日常的な掃除はにおいの原因となる汚れを取り除くだけでなく、便座や床周辺の不具合にも気付きやすくなるでしょう。
また、換気扇が汚れているとトイレ内の空気が循環しづらく、においが溜まりやすくなります。
掃除をするなら、便器周辺だけでなく、換気扇や壁の拭き掃除も一緒に行いましょう。
小物の落下に注意する
トイレが詰まる原因で多いのが、スマートフォンなどの小物の落下です。
小さなお子様がいるご家庭では、ミニカーなどのおもちゃを落としてしまうケースもあります。
水に溶けやすいティッシュペーパーと異なり、スマートフォンやおもちゃといった固形物は排水管に留まりやすく、ラバーカップを使っても取り除けません。
手が届く場所であればすぐに拾えますが、見えない場所にすべり込んでしまうと専門業者への依頼が必要になります。
予期せぬ落下を防ぐためにも、できるだけ小物を持ったままトイレに入らないようにしましょう。
長期間留守にするときはフタを閉める
長期間の旅行や出張で長い間家を留守にするときは、トイレのフタを閉めて封水が蒸発するのを防ぎましょう。
万が一、封水の水位が下がって下水のにおいが立ちのぼってきても、フタを閉めておけばにおいの広がりを抑えられます。
また空気の循環を良くするために換気扇を常時運転させ、気になるようなら消臭剤も置いておくとよいでしょう。
アパートのトイレが下水臭いときのよくある質問
アパートのトイレが急に下水臭くなったときに、よくあげられる4つの質問について解説します。
Q.アパートのトイレが新築なのに下水臭いのはなぜ?
建物の完成から入居までに時間が空いてしまった場合は、新築物件でもトイレの下水臭さを感じることがあります。
主な原因は封水の蒸発ですので、トイレの水を数回流したり、便器に直接水を足せば解消するケースがほとんどです。
封水の水位が正常に戻ったのにも関わらず、下水臭さが解消されない場合は建物に何らかの不具合が発生しているかもしれません。
すぐに大家さんや管理会社に連絡し、原因を調べてもらいましょう。
Q.急に下水臭くなったトイレにパイプユニッシュは効果ある?
排水口の嫌なぬめりを解消してくれるパイプユニッシュですが、トイレの詰まり解消に直接的な効果はありません。
パイプユニッシュは主に、へばりついてしまった髪の毛やヘドロ汚れを落とすための薬剤です。
封水を減少させる毛細管現象の原因となった髪の毛は取り除けますが、それ以外の詰まりの除去は期待できないでしょう。
トイレの汚れは尿石や黒ずみといったトイレ特有のものが多いため、パイプユニッシュよりもトイレ専用の薬剤を使う方が効果的です。
Q.封水があるのにトイレが急に下水臭くなる原因は?
封水が十分に残っているのにトイレが急に下水臭くなったときは、トイレの排水管に備え付けられた通気管に、ずれや歪みが発生している可能性があります。
通気管の不具合は個人での対応が難しいため、大家さんや管理会社に相談しましょう。
また、トイレと浴室が一体型になったユニットバスがあるアパートでは、トイレではなくお風呂の排水トラップが封水切れを起こしている可能性があります。
洗い場の排水口を確認し、もし封水が足りないようであれば、直接水を足して下水臭さが解消されるか確認してみましょう。
Q.トイレタンクのにおいがひどいときは修理を依頼できる?
賃貸アパートのトイレが急に下水臭くなってしまったときは、修理が必要になるケースもあります。
入居者に過失がない場合は、基本的に大家さんや管理会社の負担で修理するため、入居者が勝手に修理手配してはいけません。
また必要以上に応急処置をしてしまうと、なぜ急に下水臭くなったのか原因がわからなくなってしまいます。
貸主と借主のどちらが費用を負担するかを正しく把握するためにも、異常を感じたらできるだけ早く大家さんや管理会社に連絡し、対応を依頼しましょう。
まとめ
入居中にトイレが急に下水臭くなることは、賃貸アパートのトラブルとしては比較的起こりやすいものの1つです。
簡単な対処で改善できる場合もあるため、まずは落ち着いて封水の水位を確認し、トイレの水を流したり直接水を足すといった対応をしてみましょう。
急な異常で慌てないためにも、日頃から小まめな掃除を心がけ、大家さんや管理会社の連絡先を控えておくと安心です。