賃貸物件を探していると、「ユニットバス」や、「バス・トイレ別」など、設備に関する説明の違いを目にします。
ユニットバスと一言でいっても、物件によって洗面所が同室なのか、トイレまで同室なのかが異なるため、間取り図もあわせて確認しておくのが大切です。
今回は、賃貸で使われているユニットバスについて、特徴を詳しく解説します。
ユニットバスのメリットやデメリットも紹介しますので、賃貸物件を探している方はぜひ参考にしてください。
ユニットバスとは?
ユニットバスとは、本来「工場で決められた規格に沿ってつくられたお風呂」のことです。
戸建て住宅やマンションでは「システムバス」と呼ばれることもありますが、どちらも工場でつくられるお風呂であるという点が共通しています。
バスタブだけでなく、天井や壁、床などのパーツもすべて工場でつくり、現場で組み立てて完成させるため、どの現場でもメーカーの規格通りのお風呂が設置できるのが特徴です。
本来、ユニットバスは工場でつくられたお風呂という意味ですが、賃貸物件では「バス・洗面所・トイレが同じ部屋にあるタイプ」や「バス・洗面所が同じ部屋にあるタイプ」を、特に「ユニットバス」と呼んで区別しています。
ユニットバスと在来浴室の違い
工場でつくったパーツを現場で組み上げるユニットバスに対し、現場で一からつくりあげるお風呂を「在来浴室」と呼びます。
昔ながらの住まいでよく見られる、タイル張りの浴室は「在来浴室」の一種です。
在来浴室は現場で一からつくるため、ユニットバスよりも工期がかかります。
また、断熱性や掃除のしやすさもユニットバスの方が優れているため、最近では在来浴室よりも、ユニットバスやシステムバスが主流です。
ユニットバスの種類
ユニットバスは、バス・洗面所・トイレのどの部分が同じ部屋にあるかによって、2種類にわけられます。
- バス・洗面所同室=2点ユニットバス
- バス・洗面所・トイレ同室=3点ユニットバス
それぞれの特徴を、詳しく見ていきましょう。
バス・洗面所同室は「2点ユニットバス」
ユニットバスの中でも、洗面所のすぐ隣にバスタブが設置されたタイプは「2点ユニットバス」と呼ばれます。
シャワーから出るお湯がバスタブの中に流れるような配置になっており、立ったままバスタブの中でシャワーを浴びて、身体を洗うスタイルです。
賃貸物件のほかに、ビジネスホテルなどでもよく見かけるタイプで、比較的コンパクトな間取りで多く使われています。
バス・洗面所・トイレ同室は「3点ユニットバス」
2点ユニットバスに対し、浴室・洗面所・トイレの3つが同じ空間に備わったタイプが「3点ユニットバス」です。
3点ユニットバスは1Rや1Kなど、単身者向けの中でも特にコンパクトな間取りで多く使われています。
物件の詳細欄に「バス・トイレ別」と書かれていない場合、3点ユニットバスが設置されていることが多く、賃貸物件でもよく見られるスタイルです。
そのため、この記事では「ユニットバス」という場合は主に3点ユニットを指して説明します。
ユニットバス(3点ユニット)のメリット
ユニットバス付きの賃貸物件を選ぶメリットは、次の3つです。
- 家賃が安い
- 掃除がしやすい
- 居室スペースを広くとりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
家賃が安い
ユニットバスを使った賃貸物件は、ほかの物件よりも家賃が安い傾向があります。
これは、キッチン以外の水回りをまとめることで必要なスペースが少なくて済み、部屋全体の広さを抑えられるためです。
さらに、バス・トイレ別の物件は人気が高く、家賃が高額になりやすいのも、ユニットバスの物件が家賃を抑えやすい理由になっています。
家賃の安さを重視し、さらに水回りの設備にそこまでこだわりがない方は、ユニットバスつきの物件を積極的に探してみるとよいでしょう。
掃除がしやすい
ユニットバスは、バス・洗面所・トイレのすべてが1つのスペースで完結するため、非常に掃除がしやすいです。
床を汚してしまっても、フロアには防水加工が施されており、排水口もあるため、シャワーでまとめて汚れを流せます。
気になったときにまとめて掃除ができるので、室内の衛生環境を保ちやすくなるでしょう。
居室スペースを広くとりやすい
同じ広さの物件で比較した場合、ユニットバスつきの物件はトイレまで同じスペースに備わっているため、居室スペースを広く確保できます。
さらに、キッチン以外の水回りの出入口が1ヶ所にまとまることで、壁の面積が広くなり、家具を配置しやすくなるのも魅力です。
限られたスペースの中で、居室として使える部分を広くとりたい方は、ユニットバスつきの間取りを検討するとよいでしょう。
ユニットバス(3点ユニット)のデメリット
メリットだけでなく、ユニットバスにはデメリットもあります。
ユニットバスのデメリットは、次の3つです。
- 収納が少ない
- お風呂・トイレ・洗面台を同時に使えない
- 衛生面やにおいが気になりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
収納が少ない
浴室と洗面所が別々になっている物件では、洗面所が脱衣場も兼ねているため、造り付けの収納棚が設置されているケースが多いです。
浴室・洗面所・トイレが一体となったユニットバスは、室内に収納棚が設置されていないことが多く、タオルや着替えなどの置き場所に困ることがあります。
そのため、室内に突っ張り棒で簡易的な収納棚をつくったり、ユニットバスの外に棚を用意して着替えやタオルを置いたりするといった工夫が必要です。
また、トイレまで一体になっているため予備のトイレットペーパーの収納場所に困りやすく、浴室からの湿気を避けて収納するのが難しい、という点もデメリットとしてあげられます。
お風呂・トイレ・洗面台を同時に使えない
キッチン以外の水回りが一室になっているユニットバスは、誰かが入浴している間、他の人はトイレが使えません。
カーテンレールなどで目隠しを設置する方法もありますが、たとえ親しい間柄でも、浴室とトイレを同時に使うのには抵抗があるものです。
また、ユニットバス自体は比較的コンパクトなつくりのため、単身者には使いやすいですが、複数人で利用するにはあまり向いていません。
同棲を計画している人や、泊りがけでの来客が多い人は、バス・トイレ別でゆとりある広さの間取りを検討するのがおすすめです。
衛生面やにおいが気になりやすい
ユニットバスはトイレまで同じ空間となっているため、人によっては衛生面やにおいが気になる、という方もいます。
衛生面についての感じ方には個人差がありますが、ユニットバスは掃除がしやすいというメリットもあります。
汚れが気になる場合はこまめに掃除し、浴室の換気も兼ねて換気扇を常時回すようにしておくとよいでしょう。
ユニットバスがダメな理由は?
賃貸物件を探していると、「ユニットバスはやめておけ」や「ユニットバスを選ぶのはダメだ」という意見も耳にします。
これは洗い場を広く使えなかったり、来客時に使いにくかったりなど、機能性の低さから言われてしまうことが多いです。
一方で、家賃を抑えたい人や居室スペースを少しでも広く使いたい方にとって、ユニットバス付きの間取りは、理想的と感じられます。
「ユニットバスはダメ」や「やめておけ」という意見を気にしすぎず、自分の暮らし方や希望にユニットバスが合っているかどうかで物件を判断しましょう。
ユニットバスの物件が向いているのはこんな人!
ユニットバス付きの物件は、次のような傾向がある人に特におすすめです。
- 家賃を抑えたい人
- シャワー中心に入浴する人
- 一人暮らしの人
これらの特徴に当てはまる方は、ぜひ積極的にユニットバス付きの物件を検討してみましょう。
家賃を抑えたい人
同じような広さの物件と比べた場合に、ユニットバス付きの物件は相場よりも家賃が安いケースが多くなっています。
そのため、家賃を抑えたい方はユニットバス付きの物件がおすすめです。
築年数や駅までの所要時間など、家賃に関係する条件は他にもありますが、条件の一つとしてユニットバス付きの物件を検討してみると、家賃を抑えやすくなります。
シャワー中心に入浴する人
バスタブにあまりお湯を溜めずに、シャワー中心で入浴を済ます方にも、ユニットバス付きの物件はおすすめです。
ユニットバスの場合、シャワーで流したお湯はバスタブの中に流れます。
浴室掃除の中でも、床はヌメリを伴う赤カビが生えやすく、掃除が大変な部分です。
ユニットバス付きの物件でシャワーカーテンを使えば、床にお湯が飛び散るのを防げるので、掃除がしやすくなるでしょう。
一人暮らしの人
一人暮らしで、生活に必要な最低限の設備があれば十分だと考える方にも、ユニットバス付きの物件は適しています。
バス・トイレ別の物件の人気も高いですが、ユニットバス付きの物件を条件に含めると、対象となる物件の数は大きく増えます。
一人暮らしで、できるだけ多くの物件からお部屋探しを進めたい方は、ユニットバス付きの物件も積極的に検討してみましょう。
ユニットバスを快適にする便利アイテム3選
収納が少なく、スペースも限られているユニットバスですが、少しの工夫で機能性を大きく改善できます。
- マグネットラック
- シャワーカーテン
- 珪藻土バスマット
ユニットバスに取り入れたい、これら3つの便利アイテムについて、詳しく見ていきましょう。
マグネットラック
マグネットラックとは、磁石の力で壁面に取り付けられるパーツのこと。
ユニットバスの壁は内部に鋼板を使っているため、磁石がつく場合があります。
収納棚やタオル掛け、シャンプーラックなども、ホームセンターやインターネット通販で豊富に取り扱われています。
自由に取り外しできてカスタマイズもしやすいので、好みに合わせて使うパーツを組み替えられるのも魅力です。
シャワーカーテン
床へのお湯の飛び散りを防ぐためにも、ユニットバスではシャワーカーテンを併用しましょう。
一部物件では、シャワーカーテン用のレールが備え付けられているところもありますが、備わっていない物件も多いです。
長さのある突っ張り棒を選ぶなど、必要に応じて最適なものを取り付けます。
また、壁への負担を避けるために、シャワーカーテンを使うときはカーテンを無理にひっぱたり、レールを物干し代わりに使わないようにしましょう。
珪藻土バスマット
ユニットバスで意外と困るのが、使用後のバスマットの置き場所です。
濡れたままで放置しておくとカビが生えやすく、毎回洗うのも手間がかかります。
珪藻土バスマットなら、壁に立てかけておくだけで乾きやすく、保管場所にも困りません。
シンプルでおしゃれな見た目も、人気の理由となっています。
まとめ
お風呂は毎日の疲れを癒す大切な場所ですが、人によってはシャワーだけで十分だと感じることもあります。
そのため、自分の暮らしに合った設備を選ぶことが重要です。
入浴時の快適さや家賃の安さなど、それぞれのメリットや自分が重視したい条件を考えながら、後悔のない物件選びを進めましょう。




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