一人暮らしの準備を進める中で、必ず行うのが電気の手続きです。
中でも契約アンペア数をどのくらいにすべきかについては、初めて一人暮らしをする方にとってなかなかイメージがつきにくいものでしょう。
適切な契約アンペア数は、普段どの程度家電を使っているかによっても変わります。
アンペア数が低い中で多くの家電を使うと停電につながるため、快適な一人暮らしをするなら、自分に必要な契約アンペア数を知っておくのが大切です。
これから一人暮らしをはじめる方に向け、契約アンペア数の目安や「40Aでは多すぎるの?」という疑問にお答えします。
この記事の目次
一人暮らしに必要な契約アンペア数の目安
一人暮らしに必要な契約アンペア数は、30Aが目安です。
アンペアとは電流の量をあらわす単位のことで、一度にどのくらいの家電が使えるかをあらわしています。
アンペア数は加算式で計算し、上限を超えて一度に家電を使ってしまうと、電気の供給が強制的にストップされ、停電する仕組みです。
それぞれの家電で必要なアンペア数の目安を、一覧で見ていきましょう。
家電 | 必要アンペア数(A) |
エアコン(10畳用)※立ち上がり時 | 冷房/14A、暖房/20A |
冷蔵庫(450L) | 2.5A |
テレビ(42型) | 液晶/2.1A、プラズマ/4.9A |
電子レンジ(30L) | 15A |
炊飯器 | 13A |
ヘアードライヤー | 12A |
参考 | 東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」
たとえば契約アンペア数30Aで、電子レンジ(15A)+炊飯器(13A)を同時に使っている状況なら、合計28Aなので問題はありません。
しかしこの状況でさらにヘアードライヤー(12A)を使ってしまうと、必要な電流は合計40Aとなり30Aを超えるため、停電してしまいます。
アンペア数は一度に使える電流の上限のため、家電を使うタイミングさえずらせば停電しません。
一人暮らしの契約アンペア数の目安は30Aですが、ぜひ普段自分がどの程度家電を使っているかを基準に、改めて考えてみてください。
一人暮らしで40Aの契約は多すぎる?
一人暮らしの契約アンペア数を考えると、「40Aでは多すぎるのか?」と疑問に感じることもあるでしょう。
最近ではドラム式洗濯乾燥機や卓上型食洗機など、忙しい日常を快適に過ごすための家電が充実しています。
これらの家電は消費電力量も多いため、もし家電を豊富に使って便利に過ごしたいという希望があるなら、一人暮らしで40Aを契約しても多すぎることはないでしょう。
契約アンペア数が大きいほど一度に使用できる家電の数も増えるため、使いたい家電が多い方は、はじめから容量の大きいアンペア数で契約するのもおすすめです。
IHクッキングヒーター付きの物件で最適な契約アンペア数は?
IHクッキングヒーター付きの物件では、契約アンペア数は40A以上がおすすめです。
掃除がしやすいと人気のIHクッキングヒーターですが、調理中にはおよそ20A~30Aを消費します。
契約アンペア数が30Aの場合、IHクッキングヒーターで調理中に電子レンジや炊飯器を同時に使うと、停電してしまうケースも多いでしょう。
一人暮らしで自炊中心に生活したいと考えている方は、特に注意してください。
IHクッキングヒーターでブレーカーが落ちる2つの原因
IHクッキングヒーターを使っていると、「ブレーカーがすぐに落ちてしまって困る」と感じている方もいます。
主な原因は、次の2つです。
- 一度に使用する電力量が多すぎる
- 漏電ブレーカーが作動している
それぞれ見ていきましょう。
一度に使用する電力量が多すぎる
電気の供給量は契約アンペア数を元に決められており、一度に使用する電力量が規定を超えると、安全のためにブレーカーが落ちて電気の供給をストップします。
IHクッキングヒーターは単体での消費電力量が20A~30Aと多いため、少なすぎる契約アンペア数だとすぐにブレーカーが落ちてしまいます。
IHクッキングヒーターを多く利用するなら、ある程度余裕のある契約アンペア数を検討しましょう。
漏電ブレーカーが作動している
10年以上使用されているIHヒーターで起こりやすいのが、漏電ブレーカーが作動しているケースです。
IHクッキングヒーターの電源を入れたとたんにブレーカーが落ちてしまう場合は、寿命による不具合が起きているかもしれません。
安全のためにIHクッキングヒーターは使わないようにした上で、大家さんや管理会社に事情を説明し、点検や交換を依頼しましょう。
一人暮らしで契約アンペア数を変更する方法
一人暮らしで契約アンペア数を変更したいと思ったら、まずは必要なアンペア数を決めていきます。
家電の同時使用をはじめ、オーブンや乾燥機といった容量の大きな家電を使う機会の多い方は、アンペア数にも余裕を持たせておくと安心です。
どのように目安を考えればよいか迷ったら、朝にまとめて家事をする場合など、1日の中で自分が最も多く家電を使うのはいつかを考えながら、アンペア数を把握していくとよいでしょう。
契約アンペア数を変更するときの注意点
契約アンペア数を変更するときは、次の3つのポイントに注意が必要です。
- 必ず大家さんや管理会社に相談する
- 契約アンペア数を増やすと基本料金も上がる
- 退去時に必ず元のアンペア数に戻す
それぞれ詳しく解説します。
必ず大家さんや管理会社に相談する
契約アンペア数は、電力会社への申し込みを通して変更しますが、手続きの前に必ず大家さんや管理会社に相談してください。
現在の契約プランや設備状況によっては、契約アンペア数の変更に対応できず、状況によってはブレーカーの交換工事が必要になる場合もあります。
賃貸アパートはあくまで大家さんや管理会社の所有物ですので、勝手な変更はせずに、事前に承諾を得ておきましょう。
契約アンペア数を増やすと基本料金も上がる
契約アンペア数を増やすと一度に使える家電の量は増えますが、同時に基本料金も上がってしまいます。
契約アンペア数と基本料金の一覧は、以下の通りです。
10A | 311.75円 |
15A | 467.63円 |
20A | 623.50円 |
30A | 935.25円 |
40A | 1,247.00円 |
50A | 1,558.75円 |
60A | 1,870.50円 |
契約アンペア数は個々のライフスタイルに合わせて決めますが、日頃から節約を心がける方からは、「契約アンペア数を少なくした方が日常的に家電の使い方を意識できる」との意見も聞かれます。
契約アンペア数を変更すると、1年間は同じアンペア数を継続しなければなりません。
一度変えると簡単には元に戻せないため、基本料金の差額や日頃の家電の使い方も十分に検討した上での変更をおすすめします。
退去時に必ず元のアンペア数に戻す
大家さんや管理会社に了承を得た上で契約アンペア数を変更したら、退去前に必ず元の契約アンペア数に戻しましょう。
賃貸物件の入居者には、退去する際に住んでいた部屋を入居前の状態に戻さなければならないという「原状回復義務」があります。
契約アンペア数の変更も、この原状回復義務に含まれるため、退去時の対応を求められることが多いです。
大家さんや管理会社に契約アンペア数の変更を申し出ると、多くの物件で退去時に契約アンペア数を戻すように依頼されます。
契約アンペア数を変えてから長年入居していたため、どのような指示であったかわからなくなってしまった場合も、大家さんや管理会社に相談して指示を仰ぐとよいでしょう。
一人暮らしの契約アンペア数に関するよくある質問
一人暮らしの契約アンペア数について、よくある3つの質問を紹介します。
Q1.賃貸では契約アンペア数が決まっているって本当?
賃貸物件では、入居時点での契約アンペア数は大家さんや管理会社で決められているケースがほとんどです。
ただし事前に決められているからといって変更できないわけでなく、大家さんや管理会社の了承が得られれば契約アンペア数を変更できます。
入居時の契約アンペア数のままで支障がなければ、変更手続きをする必要はありません。
複数の家電を使うとブレーカーが頻繁に落ちるなど、生活する中で容量の不足が感じられるようであれば、大家さんや管理会社に契約アンペア数の変更を申し出ましょう。
Q2.一人暮らしで20Aは足りない?
契約アンペア数20Aでも一人暮らしは可能ですが、家電の使い方を工夫しなければなりません。
たとえば一人暮らしで頻繁に活用する電子レンジと電気ケトルそれぞれの必要アンペア数は、15Aと10Aです。
どちらか一方であれば問題はありませんが、同時に使うとそのたびにブレーカーが落ちてしまうため、家電の使い方に注意しなくてはなりません。
また寒い冬や暑い夏に空調を効かせたくても、エアコンの立ち上がり時には冷房で14A、暖房で20Aと多くのアンペアを使用します。
一人暮らしで20Aの契約は足りないと感じやすいため、はじめからアンペア数を増やすか、余裕を持ったアンペア数で検討するとよいでしょう。
Q3.20Aで使える家電の目安は?
20Aで使える家電は、必要アンペア数の合計が20A以下のものです。
アンペア数の上限は、あくまで家電を同時に使用したときの最大電流量が関係します。
IHクッキングヒーター以外に、一人暮らしに使用する家電単体で20Aを超えるものはないため、他の家電とタイミングが被らなければ比較的どの家電も20Aでも使えます。
しかし雪の多い寒冷地帯では、冬の暖房は欠かせませんし、必要な電力量も必然的に多くなるでしょう。
契約アンペア数の大きさは、自分がどのように家電を使うかを基準に考えてください。
まとめ
一人暮らしの準備では必要な手続きも多く、特に初めて一人暮らしをする方にとってはアンペア数は把握が難しいものかもしれません。
契約アンペア数は変更可能ですが、適切な容量を選ばないと停電を繰り返したり費用負担が重くなったりと、快適な暮らしを妨げてしまいます。
引っ越し後の具体的な生活をイメージしながら適切に契約アンペア数を選択し、快適な一人暮らしをはじめましょう。