賃貸物件を借りるときに求められる、保証人。
親や兄弟などの親族に頼む場合も多いですが、個々の事情により保証人が見つからない場合もあるでしょう。
探し方のコツさえ掴めば、保証人がいなくても物件は借りられます。
今回は保証人なしで物件を借りる方法と、保証人が見つからない時の対策について解説します。
この記事の目次
賃貸契約には保証人が必要
賃貸契約での保証人とは、どのような立場なのでしょうか。
- 保証人はなぜ必要なのか
- 保証人と連帯保証人の違い
それぞれ解説します。
保証人はなぜ必要なのか
保証人とは、借主が家賃を滞納したときに、借主に代わって支払う立場の人です。
入居者は「借地借家法」で守られており、たとえ家賃滞納や迷惑行為があっても、大家さんや管理会社が一方的に賃貸借契約を解除することはできません。
入居者の債務を代わりに支払う役割を設け、リスクを避けるために要求されるのが、保証人です。
保証人と連帯保証人の違い
保証人と連帯保証人の違いは、責任の重さです。
大家さんや管理会社から入居者が滞納した家賃を請求された場合、保証人にはまず借主に請求するよう求める権利があります。
しかし連帯保証人にはこの権利がなく、借主と同等に扱われます。
連帯保証人には拒否する権利がないため、入居者の滞納した家賃を必ず支払わなくてはなりません。
保証人よりも連帯保証人の方が、責任が重い立場といえるでしょう。
賃貸で保証人がいないときはどうする?
保証人を頼める相手がいないと、物件を借りられないのではと不安になるかもしれません。
- 保証人不要の物件を探す
- 家賃保証会社を利用する
- UR賃貸住宅を利用する
この3つの方法を検討すれば、保証人がいなくても賃貸物件を借りられます。
詳しく見ていきましょう。
保証人不要の物件を探す
できるだけ早く空室を埋めたいなど、保証人不要で入居者を募集している物件もあります。
保証人不要のため、手続きも簡単に済むのが大きなメリット。
ただし物件によっては駅から遠い、築年数が古いなど、何らかの事情があることも。
検討するときは、物件の状況をしっかりと確認するのをおすすめします。
家賃保証会社を利用する
家賃保証会社とは、入居者が滞納した家賃を大家さんに立て替え、支払いを保証する会社のこと。
従来の連帯保証人の役割を企業が担っているため、保証人不要で賃貸物件に入居できます。
保証会社は大家さんや管理会社から指定されるため、自分では選べません。
利用前には審査を受け、家賃に応じた保証料の支払いが必要です。
審査では支払い能力が特に重視され、家賃の滞納履歴についても確認されます。
保証会社に支払う保証料の相場は、初回保証料が家賃の50~100%、更新保証料は1年ごとに1万円です。
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UR賃貸住宅を利用する
UR賃貸住宅とは、都市再生機構(UR都市機構)が管轄する、公的な賃貸住宅のこと。
UR都市機構は、国土交通省所轄の独立行政法人で、1955年の高度経済成長期に発足した「日本住宅公団」が前身です。
UR賃貸住宅の特徴は、以下の2点です。
- 礼金、仲介手数料、更新手数料不要
- 保証人不要
初期費用が抑えられ、保証人不要で入居できるのが大きなメリットですが、デメリットもあります。
- 周辺相場より家賃が高め
- 支払い能力に関する審査が厳しい
UR賃貸住宅では、部屋の面積が家賃に反映されます。
取り扱い物件は団地が多いため面積が広く、立地条件や築年数の割に、家賃が高めになることも。
保証人が不要な代わりに、入居者本人の支払い能力は厳しく審査されます。
- 平均月収額は家賃額の4倍
- 収入要件を満たさない場合は、基準貯蓄額が月額家賃の100倍以上
仮に家賃6万円の住居について基準貯蓄額で審査を受ける場合、600万円の貯蓄額が必要です。
保証人不要で申し込めるのはUR賃貸住宅の大きなメリットですが、収入や貯蓄額の審査が厳しい点に、注意が必要です。
賃貸で保証人がいない高齢者の対策は?
高齢者が賃貸契約を結ぶ場合、保証人が見つからずに困るケースも少なくありません。
- 親兄弟も高齢のため、保証人を頼めない
- 収入が年金のみで、保証人として認められない
- 親族が遠方に住んでおり、保証人を頼めない
この他にも子どもに迷惑をかけたくないなど、理由はさまざまです。
保証人のいない高齢者が賃貸物件を借りるには、次の2つの方法を検討してみましょう。
- 身元保証サービスを利用する
- 役所の高齢者専門窓口に相談する
それぞれ解説します。
身元保証サービスを利用する
身元保証サービスとは、病院への入院や老人ホームへの入居時に求められる「身元保証人」を、親族や友人に代わって引き受けるサービスです。
賃貸契約時の連帯保証人も、サービス対象に含まれます。
身元保証サービスは、申し込み後は終身利用となるのが一般的です。
逝去後の葬儀や事務支援まで一括で請け負うため、費用も数十万~数百万と高額で、サービスの提供元によって価格に幅があります。
保証人がいない高齢者にとって、身元保証人の存在は賃貸契約だけでなく、今後の生活にも大きく関わる問題です。
賃貸契約をきっかけに、身元保証サービスの利用を検討するのもよいでしょう。
役所の高齢者専門窓口に相談する
役所の高齢者専門窓口に相談すると、高齢者向け賃貸住宅の斡旋など、支援制度の案内が受けられます。
2017年10月から、住宅セーフティネット制度が開始され、高齢者は住宅の確保に配慮を要する「住宅確保用配慮者」として定められています。
この制度で「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として登録されているのが、セーフティネット登録住宅です。
保証人のいない高齢者でも入居しやすい物件が登録されており、保証人の代行を依頼できる場合もあります。
詳しくは、役所の専門窓口に問い合わせてみましょう。
賃貸で保証人がいない無職の場合の対策は?
無職だと家賃の支払い能力を不安視されるため、賃貸契約では保証人を求められる場合が多いです。
- 預貯金審査をする
- 引っ越し理由を説明する
- 仕事を見つける
これら3つの対策で、無職で保証人がいなくても入居しやすくなります。
それぞれ見ていきましょう。
預貯金審査をする
預貯金審査とは、賃貸契約時に通帳のコピーや銀行発行の残高証明書などを提出し、現在の残高を支払い能力の証明として受ける審査です。
預貯金審査は、全ての保証会社が対応しているとは限りません。
たとえ預金残高が豊富でも、継続的な収入が重視される場合もあるためです。
預貯金審査が可能かどうかは、早めに不動産担当者に相談しましょう。
物件によって異なりますが、預貯金審査では通常家賃の2年間分が、必要な残高として求められます。
例えば家賃6万円の物件の場合、6万円×24カ月=144万円が目安です。
もし残高に不安があるときは、不動産担当者に現在の預金残高を伝え、審査可能な物件の紹介をお願いするとよいでしょう。
引っ越し理由を説明する
引っ越し理由をしっかりと説明することも大切です。
無職だとどうしても大家さんや管理会社に、支払い能力の面でネガティブな印象を与えてしまいます。
- 就職のため、通勤に便利な地域に引っ越したい
- 広い部屋が不要になったため、引っ越したい
など、具体的な理由を伝えた方が、大家さんにとっても心象が良く、物件も決まりやすくなるでしょう。
仕事を見つける
一番確実な方法は、仕事を見つけて定期収入を得ることです。
内定が出ていれば、まだ給与が発生していなくても、内定通知書や雇用契約書の記載をもとに審査が可能です。
アルバイトやパートで勤めるのも、無職よりは審査に通りやすくなります。
もし就業が可能でしたら、状況に合わせて検討するとよいでしょう。
賃貸で保証人がいない生活保護受給者の対策は?
生活保護受給者が賃貸契約するには、役所で許可を受け、ケースワーカーと協力して物件を探すなど、通常とは異なる手続きが必要です。
生活保護受給者で保証人がいない場合の対策には、次の方法があります。
- 自治体の代理納付を利用する
- 不動産会社に相談する
それぞれ解説していきます。
自治体の代理納付を利用する
代理納付とは、借主である生活保護受給者に代わって、自治体が大家さんや管理会社へ直接、住宅扶助費を振り込む仕組みです。
生活保護受給者には家賃補助制度があり、毎月の家賃相当額の住宅扶助費が支給されています。
通常、住宅扶助費は生活保護受給者の口座に振り込まれますが、申請すれば自治体から直接大家さんや管理会社への支払いが可能です。
この仕組みを、代理納付と呼びます。
代理納付をすれば家賃滞納がなくなり、自治体の公的機関からの振込になるため、大家さんや管理会社からの信頼度も上がります。
代理納付の注意点は、以下の2つです。
- 利用には申請が必要
- 初月の家賃は振り込みが必要
代理納付は、生活保護受給者からの申請があってはじめて適用されます。
申請の受理には時間がかかるため、初月の家賃引き落としに間に合わないことも。
初月の家賃から代理納付が可能かどうかは、担当者に必ず確認しましょう。
もし間に合わない場合は、振込手続きが必要です。
代理納付の実施は自治体により異なりますので、利用については役所やケースワーカーに相談しましょう。
不動産会社に相談する
保証人がいないときは、不動産会社に相談するのも有効です。
不動産会社によっては、大家さんが生活保護受給者に理解のある物件を紹介してくれることも。
独自のネットワークでつながった物件を、個人が探し出すのはなかなか難しいものです。
不動産会社に事情を説明し、適切な物件を紹介してもらうとよいでしょう。
保証人代行サービスとは?
保証人代行サービスとは、保証人の役割を法人が代行するサービスのこと。
インターネットで検索すると、在籍会社やアリバイ会社として表示されるものもあります。
賃貸契約の場合、不動産会社や管理会社が業務の一環として、保証人代行サービスを提供していることが多いです。
保証人代行サービスには、以下の注意点があります。
- 代行されるのは「連帯保証人」ではなく「保証人」
- 保証人代行サービスを利用できる物件は限られる
- 初回保証料や、場合によっては月額保証料が必要
- 詐欺罪に問われる可能性がある
保証人代行サービスが提供するのは「連帯保証人」ではなく「保証人」です。
連帯保証人必須の物件には、保証人代行サービスでも対応できません。注意しましょう。
また保証人代行サービスを利用できる物件は、一部に限られます。
利用したい場合は不動産会社に相談して、対応している物件の紹介を依頼しましょう。
保証人代行サービスの費用相場は、家賃の50~100%です。
別途月額保証料が必要になる場合もありますので、申し込みの前に、料金体系はよく確認しておきましょう。
保証人がいなくて困っている人にとって、保証人代行サービスはとても便利に感じられます。
しかし中には悪質な企業もあり、最悪の場合詐欺罪に問われてしまう可能性も。
そのため保証人代行サービスの積極的な利用は、あまりおすすめできません。
安易な申し込みはせず、利用する場合はきちんと実体のある企業なのかなど、十分に調べた上で検討するとよいでしょう。
まとめ
賃貸契約で保証人がいないときの対策としては、保証人不要の物件を探したり、家賃保証会社を利用したりするのが一般的です。
保証人がいない不安は大きいですが、事前に対策をすれば物件は借りられます。
高齢者や無職の方、生活保護受給者それぞれで異なる対策を知り、不動産担当者の協力を得ながら、適切な物件を探しましょう。
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