賃貸物件に入居するときは、多くの物件で「保証料」の支払いを求められます。
保証料は賃貸特有の仕組みですので、初めて一人暮らしをする人にとっては、「いったいどういうものなのだろう?」と疑問に感じることもあるでしょう。
今回は初めて一人暮らしの準備を進める方に向け、賃貸の保証料の相場をわかりやすく解説します。
賃貸の保証料を払いたくないときの対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
賃貸の保証料とは
賃貸の保証料とは、賃貸物件を契約するときに、保証会社を利用するために支払う費用です。
保証会社とは、何らかの事情で入居者が家賃を支払えなくなったときに、滞納された家賃を代わりに支払ってくれる企業のこと。
いわゆる、連帯保証人と似た立場を担います。
家賃の滞納といったリスクに備えるため、賃貸の契約では連帯保証人を立てるか、保証会社を利用するかのどちらかを求められることがほとんどです。
最近では「両親が高齢で頼れる相手がいない」、「長い間疎遠にしていて頼みにくい」など、それぞれに事情を抱える人も増えています。
連帯保証人の代わりに保証会社への加入を入居条件とするところが増え、今ではおよそ全体の8割の物件で、保証会社の利用が求められるようになりました。
賃貸の保証料の相場
賃貸物件の保証料は支払うタイミングや目的によって3種類に分けられ、相場はそれぞれ以下の通りです。
- 初回保証料:家賃0.5カ月~1ヶ月分
- 更新保証料:1万円前後
- 月額保証料:総家賃の1~2%
それぞれの内容と相場について、詳しく見ていきましょう。
初回保証料
初回保証料とは、賃貸借契約を結んだときに、保証会社に対して初めて支払う費用のこと。
家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分が相場で、たとえば家賃6万円の物件なら初回保証料として3万~6万円を支払います。
どの保証会社を利用するかは大家さんや管理会社から指定されるため、入居者が自由に選ぶことはできません。
利用したい保証会社があるときは、あらかじめ不動産会社の担当者に相談して、希望する保証会社が利用できる物件を紹介してもらうとよいでしょう。
更新保証料
更新保証料とは、保証会社の契約更新にかかる費用のこと。
相場は1万円が目安で、1年や2年ごとに支払うケースが多いです。
初回保証料と比べると金額自体は少ないですが、1~2年ごとに必ず発生するため、負担に感じやすい費用でしょう。
月額保証料
初回保証料として一括で支払うのではなく、分割したものを毎月の家賃と一緒に支払う仕組みが、月額保証料です。
月額保証料の相場は、月々の総家賃のおよそ1~2%。
たとえば家賃5万円で共益費が5,000円の物件の場合、550円~1,100円が月々の家賃に上乗せされます。
月額保証料は総家賃を基準に計算するため、駐車場も借りている場合はその料金も加算されるので、注意してください。
賃貸で保証会社を利用するメリット
賃貸物件で保証会社を利用するのには、次の3つのメリットがあります。
- 連帯保証人が不要になる
- 入居審査に通りやすくなる
- 物件の選択肢が広がる
それぞれ見ていきましょう。
連帯保証人が不要になる
滞納された家賃を立て替える保証会社は、連帯保証人と同じ役割を担います。
連帯保証人が不要になるため、連帯保証人を頼む相手がいない人でも賃貸物件に入居しやすくなるのが大きなメリット。
連帯保証人は入居者と同等の支払い義務を負う、非常に重い立場です。
引き受けたくない人も多い中、連帯保証人の代わりとして利用できる保証会社を頼って入居する人も増えています。
入居審査に通りやすくなる
保証会社は申し込んだ人すべてが利用できるわけではなく、申し込みをした後は独自の基準を用いた審査があります。
審査で重視されるのは、入居希望者の支払い能力です。
年齢や収入、所属先企業の規模感などから総合的に判断し、支払い能力が認められない場合は審査に通りません。
賃貸物件の入居審査には「大家さんや管理会社による審査」と「保証会社の審査」の2種類があります。
保証会社の審査に通れば支払い能力を担保されることになるため、賃貸物件の入居審査にも通りやすくなるのも、メリットの1つといえるでしょう。
物件の選択肢が広がる
保証会社への加入を入居条件にする物件は全体の8割を超えているため、保証会社の審査に通れば物件の選択肢が広がります。
一方で、家賃の支払い能力が認められずに審査に通らなければ、選べる物件の数は極端に少なくなってしまうでしょう。
賃貸で保証会社を利用するデメリット
賃貸で保証会社を利用するのには、以下の2つのデメリットがあります。
- 金銭的な負担が増える
- 家賃滞納で信用情報に履歴が残る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金銭的な負担が増える
保証会社はいざというときの助けになりますが、相場は初回保証料で家賃0.5ヶ月~1ヶ月分と、決して安くはありません。
特に賃貸物件の契約時には、初期費用として敷金や礼金のほかに仲介手数料も支払いますし、引っ越し費用や家具・家電の購入費用もかかります。
保証会社の利用によって金銭的な負担が増えるのは、大きなデメリットといえるでしょう。
家賃滞納で信用情報に履歴が残る
賃貸物件に入居している間、入居者は毎月決められた家賃を支払わなければなりません。
万が一、家賃を滞納して保証会社が立て替えた場合、入居者の信用情報に履歴が残ります。
信用情報とは、クレジットカードの使用履歴や各種ローンの支払い状況をはじめとする、個人の金融情報に関する履歴のこと。
国からの指定を受けた信用情報機関が管理し、家賃の未払いや滞納といった金融事故の履歴も登録されます。
保証会社の審査でも信用情報を照会し、もし登録された履歴があった場合は、保証会社の審査に通りません。
また保証会社の審査だけでなく、新規でクレジットカードをつくりたいときや住宅や車のローンを組みたいときも、信用情報は確認されます。
履歴があるとクレジットカードの作成や各種ローンを組むのも難しくなるため、日常生活にも影響を及ぼすでしょう。
保証会社は滞納された家賃を立て替える立場ですが、保証会社を利用したうえで家賃を滞納してしまうのは、非常にリスクが大きいです。
家賃を滞納しないように、くれぐれも注意してください。
賃貸で保証料を払わないとどうなる?
保証会社への加入が入居条件になっている場合は、保証料を支払わないと入居できません。
また初回保証料を支払った後も、1~2年ごとに更新保証料の支払いが発生します。
およそ1万円前後の出費ですが、支払い通知を無視して支払わずにいるとやがて督促状が届き、最悪の場合強制退去につながります。
契約書に保証会社の利用や保証料について明記されている場合、入居者はこれに従わなければなりません。
賃貸物件の貸主は、正当な理由がなければ入居者に退去を求めることはできませんが、保証料の未払いは退去を求める正当な理由にあたります。
保証料の支払い通知が届いたら、決してそのままにせず、速やかに支払うようにしましょう。
賃貸で保証料を払いたくないときはどうすべき?
賃貸物件の入居に関して、どうしても保証料を支払いたくなければ、次の3つの方法を試しましょう。
- 保証会社不要の賃貸物件に入居する
- 大家さんに交渉する
- 契約の更新前に引っ越す
それぞれ解説します。
保証会社不要の賃貸物件に入居する
保証料を支払いたくなければ、保証会社不要の物件に入居するのが最も確実な方法です。
保証会社の利用を求める賃貸物件は増えていますが、物件によっては連帯保証人を立てれば入居可能なところもあります。
ただし連帯保証人のみで入居可能な物件は、築年数が経っていたり駅から極端に遠かったりなど、いわゆる不人気物件であることが多いです。
保証会社不要の場合、どのような物件が借りられるのかを確認してから、支払いについて改めて考えてみるのもよいでしょう。
大家さんに交渉する
保証料が高すぎて支払えない場合は、大家さんに交渉してみるのも方法の1つです。
ただし、保証料は大家さんが決めているものではなく、保証会社との間で取り決められた金額です。
大家さんの一存で変えられるものではないため、保証料以外の敷金や礼金など、初期費用に含まれるその他の費用の減額を交渉した方が、応じてもらえる可能性は高いでしょう。
特に礼金は大家さんへのお礼金への意味合いが強く、他の費用と比べると比較的交渉しやすいです。
ある程度の期間長く住む予定なら、何年間住むつもりかを具体的に伝えた上で、礼金などの減額を交渉してみるとよいでしょう。
契約の更新前に引っ越しをする
今の物件にそこまでこだわりがないのであれば、思い切って引っ越すのも効果的です。
特に賃貸借契約の更新とタイミングが被れば、更新保証料だけでなく契約の更新料も発生します。
月々の家賃にプラスして家賃1ヶ月分が相場の更新料と、およそ1万円の更新保証料を支払うのは、金銭的な負担も大きいです。
更新保証料を含む、契約の更新にかかる費用の負担が大きすぎると感じるならば、契約を更新せずに引っ越しを検討するのもよいでしょう。
ただし、退去の申し出はあらかじめ決められた予告期間より前に行わなければ、余分な家賃や更新料などが発生してしまいます。
引っ越しを検討するときは、契約書を確認し、退去を申し出る時期についてもよく考えておきましょう。
賃貸の保証料は返ってくる?
賃貸の保証料は、家賃を担保する保証会社のサービスを受けるために支払った代金のため、退去しても返金されません。
ただし初回保証料を支払ったものの、何らかの事情で入居せずキャンセルになった場合は、保証会社のサービスを受けていないため、返金される場合もあります。
返金規定については、各保証会社によって取り決めが異なりますので、不動産会社の担当者へ相談してみるとよいでしょう。
まとめ
保証料は賃貸物件を契約するときに初回保証料として家賃0.5ヶ月~1ヶ月分を支払い、その後1~2年ごとに、相場1万円の更新保証料を支払うのが一般的です。
保証料は家賃を基準に計算するため、家賃が高額であるほど、保証料の負担も増していきます。
金銭的な負担が大きく利用を避けたい場合は、不動産会社の担当者に事情を伝えて物件探しを依頼しましょう。
数の限られる物件こそ不動産会社の力を借りて、希望に合った物件探しを進めてください。