賃貸契約で必要なのが、連帯保証人。
連帯保証人とは、入居者が家賃を滞納したり近隣トラブルを起こしたりした場合に、家賃や必要な費用を立て替える立場です。
最近では連帯保証人とあわせ、保証会社の利用を求める物件も増えてきました。
「連帯保証人がいるのに、どうして保証会社も使わなければならないの?」
「お金もかかるし、できれば保証会社は使いたくないのだけど」
このような疑問をお持ちの方に向け、保証人と保証会社の両方が求められる理由と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
この記事の目次
賃貸で保証会社と保証人が両方求められる理由
保証会社と保証人が両方求められる理由は、大家さんや管理会社が負うリスクを最小限に抑えるためです。
- 連帯保証人と保証人の違い
- 保証会社の役割
- 連帯保証人と保証会社の役割の違い
仕組みを解説するために、まずはこの3点を紹介します。
連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人と保証人の違いは、責任の重さです。
入居者が滞納した家賃を請求されても、保証人にはまず入居者に請求するよう求める権利があります。
これを、催告の抗弁権(民法452条)(※1)といいます。
連帯保証人には、この権利がありません。
連帯保証人の支払い義務は、入居者とほぼ同等に扱われます。
滞納した家賃を請求されたら、連帯保証人は必ず支払わなくてはなりません。
一方で保証人に支払い義務が発生するのは、再請求されても入居人が支払わなかった場合です。
保証人の求めに応じて再請求したにも関わらず、入居者から家賃が支払われないと、保証人は滞納された家賃を支払わなければなりません。
もし保証人に支払い能力がない場合は、財産が差し押さえられる可能性も。
保証人と連帯保証人では、財産の差し押さえを防ぐ権利も異なります。
保証人には、入居者の支払い能力が証明できれば財産の差し押さえを防ぐ、検索の抗弁権(民法453条)(※2)という権利があります。
連帯保証人には、この権利がありません。
入居者の支払い能力を証明できたとしても、連帯保証人は請求されたら、支払いに応じなければいけないのです。
催告の抗弁権 | 検索の抗弁権 | |
保証人 | あり | あり |
連帯保証人 | なし | なし |
※1※2 参照元 | 三井住友トラスト不動産「不動産用語集」
保証会社の役割
保証会社の役割は、基本的に連帯保証人と同じです。
入居者が家賃や更新料などを滞納すると、入居者に代わって、大家さんや管理会社に滞納した家賃を立て替えます。
保証会社を利用すれば、滞納されても家賃を回収できるため、大家さんが催促する手間も家賃を踏み倒される心配もなくなります。
家賃が回収できないリスクを最小限に抑えるため、保証会社の利用が求められているのです。
連帯保証人と保証会社の役割の違い
連帯保証人と保証会社の役割はほぼ同じですが、違いもあります。
保証会社が保証するのは、家賃や更新料などの金銭面のみで、入居中のトラブルには関与しません。
管理会社が間に入っていない場合、騒音トラブルやゴミの出し方などのトラブルには大家さんが対応します。
もし何度注意しても入居者が態度を改めない場合、大家さんは連帯保証人を通じて入居者本人に注意ができます。
また入居者の過失により損害賠償が発生したときには、連帯保証人への請求も可能です。
このように保証会社では対応しきれないリスクを避けるために、保証会社と連帯保証人の両方が求められています。
賃貸契約では連帯保証人と保証会社どちらがいい?
賃貸借契約書で、連帯保証人と保証会社の両方が必要とされていたら、入居者は従わなくてはなりません。
しかし物件によっては、連帯保証人のみや保証会社のみで契約できることも。
- 連帯保証人を立てるメリット
- 連帯保証人を立てるデメリット
- 保証会社を利用するメリット
- 保証会社を利用するデメリット
それぞれ解説しますので、物件選びの参考にしてみてくださいね。
連帯保証人を立てるメリット
連帯保証人を立てるメリットは、賃貸物件が借りやすくなることです。
例えば無職や学生で、支払い能力への不安から保証会社の審査が通らなくても、連帯保証人を立てれば賃貸契約できる物件もあります。
大家さんや管理会社から信頼が得られ、物件を借りやすくなるのが、連帯保証人を立てるメリットです。
連帯保証人を立てるデメリット
連帯保証人を立てるデメリットは、連帯保証人との関係に影響がでることです。
連帯保証人は家賃の支払いや近隣トラブルなど、入居者の責任すべてを、連帯して負う立場。
入居者の行動次第では、連帯保証人に迷惑をかけてしまうことも。
連帯保証人は責任の重さから、多くの場合親や兄弟などの親族が請け負います。
せっかく引き受けてくれた連帯保証人に迷惑をかけないよう、普段からの心がけが大切です。
保証会社を利用するメリット
保証会社を利用するメリットは、連帯保証人を頼める相手がいなくても、賃貸契約を結べることです。
親族が遠方に住んでいる、高齢のため連帯保証人を頼めないなど、さまざまな理由から連帯保証人を立てられない場合があります。
保証会社のみで契約できる物件であれば、連帯保証人が立てられなくても賃貸契約を結べるのが、保証会社を利用するメリットです。
保証会社を利用するデメリット
保証会社を利用するデメリットは、保証料や更新料が必要になることです。
賃貸借契約を結び、保証会社の審査を通過した後は、初回保証料。
1〜2年ごとの契約更新時には、更新保証料がかかります。
初回保証料の相場は、家賃の50〜100%。
更新保証料の相場は、1万円です。
物件によっては、保証料を月単位で支払う場合もあります。
月額保証料の相場は、家賃の1〜2%です。
支払金額は物件ごとに異なります。契約の前に必ず確認しましょう。
また当然のことではありますが、家賃は滞納しないように気を付けましょう。
家賃を滞納してしまい、保証会社が立て替えたあとに待つのは、厳しい取り立てです。
近年、保証会社による悪質な取り立てが問題になっており、業界内での自主ルール策定など、改善に向けた動きも見られます。
そのため多くの保証会社では、以前ほど悪質な取り立ては見られなくなりました。
しかしながら、すべての取り立てを管理できていないのが現状です。
保証会社の利用は賃貸契約に必要ですが、家賃には支払い義務があり滞納しないことを大前提に、賃貸物件を申し込みましょう。
賃貸の保証人や保証会社は変更できる?
賃貸契約時に求められる保証人や保証会社も、事情によっては入居中に変更したい場合もあるでしょう。
- 保証人や保証会社を変更する理由
- 変更には審査が必要
理由によっては、保証人や保証会社の変更は可能です。
具体的な理由と、変更する方法を紹介します。
保証人や保証会社を変更する理由
保証人や保証会社を変更する理由は、次の3つです。
- 連帯保証人本人から、変更の申し出があった
- 連帯保証人が亡くなった
- 保証会社が倒産した
連帯保証人本人からの申し出は、離婚することになった夫婦の連帯保証人を、義理の両親が引き受けていた場合などがあります。
例えば元夫の両親が連帯保証人の物件に元妻が住み続ける場合、連帯保証人変更の申し出を受けることもあるでしょう。
連帯保証人が亡くなった場合は、速やかに大家さんや管理会社に届け出ましょう。
相続放棄しない限り、連帯保証人の責任は相続人に引き継がれます。
相続人が自分1人だけなど、状況によっては早急に他の連帯保証人を探さなければいけない場合もあるでしょう。
連帯保証人が亡くなったことを伝えずにいると、報告義務違反になるおそれがあります。
早めの連絡を心がけましょう。
保証会社の途中変更があるのは、保証会社が倒産した場合です。
大家さんの承諾があれば、倒産したとき以外でも変更は可能ですが、大家さんにとって保証会社を変えるメリットはほぼないため、認められないでしょう。
保証会社を変更するときは、新しい保証会社との再契約が必要です。
変更には審査が必要
連帯保証人を変更するときは、必ず大家さんや管理会社に報告しましょう。
入居者の判断だけで、勝手に連帯保証人の変更はできません。
倒産で保証会社が変わるときは、倒産した保証会社の事業を引き継ぐ別の保証会社が見つかるかどうかによって、対応が変わります。
次の保証会社が見つかれば、保証内容が多少変わる可能性はありますが、基本的に大きな変更はありません。
ただし引き継いでくれる保証会社が見つからなかった場合は、大家さんや管理会社から、新しく連帯保証人を立てるか、別の保証会社と契約するよう求められることも。
新しい保証会社と契約する場合は、入居時と同じように、保証会社による審査と初回保証料の支払いが必要です。
賃貸で保証会社から保証人へ連絡はある?
連帯保証人を引き受けてくれた相手に、できるだけ負担をかけたくないと考える人もいるでしょう。
保証会社を利用する場合の、連帯保証人への注意点は次の2つです。
- 入居審査で連絡があることも
- 保証人へは事前の連絡を
連帯保証人との円滑な関係づくりのためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
入居審査で連絡があることも
保証会社の利用には、入居前の審査が必要です。
審査では、確認のため連帯保証人へ連絡があることも。
電話連絡の実施は、保証会社によって異なります。
不動産担当者に聞けば、電話連絡があるかどうか教えてくれるケースもありますので、念のため確認をおすすめします。
保証人へは事前の連絡を
連帯保証人には、事前に家賃額や物件の詳細を伝えておくとよいでしょう。
入居審査で連帯保証人へ連絡が行くときは、家賃額について確認されることもあります。
連帯保証人には滞納された家賃を代わりに支払う責任がありますので、あまりに高額の家賃だと驚かれてしまうケースがあるためです。
後々の連帯保証人との関係性にも関わりますので、物件の詳細と家賃額については、連帯保証人を頼む時点でしっかりと説明しておくとよいでしょう。
民法改正で連帯保証人のルールが変更に
連帯保証人が負う債務には、これまで金額の上限がありませんでした。
それではあまりに責任が重すぎるとして、2020年4月に民法が改正。
連帯保証人の保証額の上限を明確に定めるよう、新たな規定が盛り込まれました。
これまで確約書の中で「一切の債務を負う」と記されていた部分が、連帯保証人が負う責任の範囲は、大家さんや管理会社が定めた上限額(=極度額)までとなります。
極度額の設定に上限規定はなく、あくまで大家さんや管理会社が定めた金額です。
連帯保証人を頼むときは、極度額についても確認し、説明しておくとよいでしょう。
まとめ
賃貸契約において、家賃を確実に回収するための手段として、保証会社の利用は一般的になってきています。
保証会社の利用を求める物件は全体の8割を超えていますが、依然として連帯保証人を求める物件も少なくありません。
大家さんにとって、保証会社と連帯保証人の併用は、賃貸経営のリスクを少しでも減らすために必要です。
しかしながら保証会社の保証料が負担、連帯保証人を頼む相手がいないなど、入居希望者の事情もそれぞれです。
連帯保証人を立てる場合と保証会社を利用する場合のメリット、デメリットを理解し、適切な物件選びにつなげましょう。
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