隣人の騒ぐ声や、大音量のテレビの音など。
賃貸アパートで隣人がうるさいと苛立ちが募り、つい壁を思い切り叩きたくなることがあるかもしれません。
苛立ちのあまり壁を強く叩く「壁ドン」は、深刻なトラブルに発展する恐れもあるため、決して行ってはいけません。
今回は隣人がうるさいときの壁ドンについて、してはダメな理由と対処法を詳しく解説します。
壁ドンとは
壁ドンとは、度重なる隣人の騒音に感情を抑えきれず、思い切り壁を叩いてしまう行為です。
複数の世帯が入居する賃貸アパートでは、隣人のマナー感覚や生活スタイルの違いにより、騒音トラブルが起こりやすくなっています。
壁ドンは主に、隣の世帯と共有する壁を叩いてしまう行為ですが、上の階からの足音などの騒音に対して天井を叩く行為も、同様に行ってはいけません。
隣人がうるさくても壁ドンをしてはいけない理由
隣人がうるさすぎて休めず、早急になんとかしたいと感じても、壁ドンはしないようにしてください。
主な理由は、次の2つです。
- 近隣トラブルにつながる
- 騒音が隣からのものとは限らない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
近隣トラブルにつながる
苛立ちを直接ぶつける壁ドンは、相手の反感をかいやすく、深刻な隣人トラブルに発展する恐れがあります。
相手の騒音が止まないとさらに苛立ちを感じやすく、行為がエスカレートする可能性もあるでしょう。
騒音が原因で眠れず、相手に対して強い怒りを感じたとしても、感情に任せるばかりで有効な解決策にならない壁ドンは、決して行わないように心がけてください。
騒音が隣からのものとは限らない
賃貸アパートは、壁や天井など多くの部分を他の住居と共有しています。
壁や床を伝ってくる音の場合、仮に隣から聞こえてくるようであっても、それが本当に隣からの騒音とは限りません。
隣からの騒音だと思い込んで壁ドンを行っていた場合、関係のない第三者を巻き込むことになります。
騒音に悩んだときは、すぐに自分で対処しようとはせず、音の出どころの確認も含めてまずは大家さんや管理会社に相談しましょう。
壁ドンは強制退去の理由になる?
もし相手に壁ドンをしてしまったり、あるいは自分がされたとしても、それが原因で強制退去につながることはほぼありません。
強制退去とは、入居者本人の同意がない状態でも、法的な措置によって退去させること。
騒音トラブルが原因で隣人を強制退去させたいと考える方もいますが、契約の解除通知から執行までは、最低でも3~4ヶ月かかります。
さらに入居者は借地借家法で守られているため、実際に強制退去に至るケースは少ないのが現状です。
うるさい相手に仕返しをしたい!壁ドン以外でやってはいけない方法3つ
騒音問題に悩まされると、「何とかして相手に苦情を伝えたい」、「周りへの迷惑を知らせたい」、と思うこともあるでしょう。
このようなときに仕返しとしてやってはいけない方法では、壁ドン以外に次の3つがあげられます。
- 同じように騒音をたてる
- 直接苦情を伝える
- すぐに警察を呼ぶ
特に、直接苦情を伝えるのは安全のためにも全体にやってはいけない行為です。
それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
同じように騒音をたてる
騒音について繰り返し悩まされていると、相手にどれだけ自分が苦しんでいるかを伝えるために、同じように騒音をたてようとする人もいるでしょう。
相手の騒音が原因であったとしても、自分が同じように騒音をたてた場合、「加害音」として区分されてしまいます。
「加害音」とは、明確に相手を攻撃するために発される音のこと。
もし、この加害音で仕返しをしていたことが公になった場合、こちらの状況が不利になることもあります。
相手に苛立ちや感情をぶつけたかったとしても、同じように騒音をたてるのはやめましょう。
直接苦情を伝える
最も行ってはいけないのが、直接苦情を伝えることです。
騒音トラブルではつい感情的になり、その場での言い合いや管理会社や大家さんを挟まずに抗議文を投函するケースもあるでしょう。
これらの対処は状況をかえって悪化させるため、決して行ってはいけません。
騒音に関して直接苦情を伝えた結果、逆恨みされて傷害事件に発展したケースも報告されています。
騒音に苛立ちを覚えても、まずは落ち着いて感情を抑え、直接苦情を伝えるのはやめましょう。
すぐに警察を呼ぶ
騒音が連日続いていると、近隣への迷惑もありますし警察を呼びたくなるかもしれません。
明らかな事件性のある場合を除き、騒音を理由に警察を呼ぶのはやめましょう。
警察を呼ぶと近隣からの注目を集めますので、もし警察を呼んだ本人であることが知られると逆恨みされる可能性もあります。
事件性のない騒音での通報は警察本来の任務の妨げにもなってしまいますので、すぐに呼ぶのは控えてください。
隣人がうるさいと感じたときの対処法
騒音は快適な日常を妨げますし、騒音が原因で十分な睡眠を取れないと健康にも悪影響が出てしまいます。
隣人がうるさいと感じたら、壁ドンなどの方法で感情をあらわすのではなく、冷静に次の方法を試しましょう。
- 大家さんや管理会社に伝える
- 防音対策をする
- BGMを流す
それぞれ詳しく解説します。
大家さんや管理会社に伝える
隣人がうるさいと感じたら、直接苦情を伝えることはせず、必ず大家さんや管理会社に連絡しましょう。
以下のポイントをまとめておくと、状況が正しく伝わります。
- 騒音がするのは何時ごろか
- いつごろから発生しているのか
- どのような騒音が聞こえるのか
- どこから聞こえてくる騒音だと感じているのか
特に集合住宅では、隣からの騒音と思っていたものが、実は別の部屋からのものだったというケースもあります。
騒音の発生源は決めつけずに、把握できている情報を正確に伝えましょう。
大家さんや管理会社に伝えると、多くの場合エントランスへの張り出しや各戸のポストへの投函などで、音に対する注意喚起が行われます。
騒音は自分が原因だと把握していない場合もあり、大家さんや管理会社に連絡してもすぐの解決は望めないかもしれません。
それでも直接苦情を伝えるのはリスクが大きいため、必ず管理会社や大家さんに対策してもらいましょう。
防音対策をする
騒音が隣の部屋の話し声やテレビの音である場合、相手は無意識なケースが多いです。
解決に時間がかかる可能性が高いため、自室の防音対策などの工夫をしましょう。
隣家と接する壁に防音パネルを取り付けたり、背の高い家具を壁面に並べたりなど。
工夫次第で、騒音の聞こえ方は大きく変わります。
賃貸アパートでおすすめの防音対策については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
BGMを流す
昼間は気にならない生活音も、夜間など静かな時間帯になると急に気になることがあります。
特に木造アパートの場合は隣家の話し声やテレビの音が聞こえやすい物件もあり、ひそひそと聞こえる騒音が気になって休めないこともあるでしょう。
このようなときは、周囲の迷惑にならない範囲でBGMをかけるのも効果的です。
昼間のリラックスタイムには、カフェのようなおしゃれなBGMを。
眠る前の騒音が気になるなら、オルゴールや波の音といったリラックス効果のあるBGMなど。
室内で楽しむBGMをかけて、騒音を気にせずに過ごせる環境をつくるのもおすすめです。
何もしていないのに隣人に壁ドンされた…どうすべき?
賃貸アパートで、何もしていないのに急に隣人から壁ドンされた、という経験がある方もいるでしょう。
突然の壁ドンに、理不尽さや怒りを感じるかもしれませんが、決してやり返してはいけません。
壁ドンされたのが1回だけなら、何もせず受け流すのが賢明です。
もし繰り返し壁ドンされるようなら、他の部屋からの騒音の発生源だと勘違いされているかもしれません。
直接隣人に声をかけると、トラブルに発展する恐れがあります。
必ず大家さんや管理会社に相談し、隣人の対応に困っていることを伝えてください。
隣人からの壁ドンが怖い・やめてほしいときの対処法
もし隣人が心当たりがないのに壁ドンをしてきて怖い、やめてほしいと感じているなら、次の3つの方法を試します。
- 騒音を出していないか振り返る
- 大家さんや管理会社に相談する
- 引っ越しを検討する
決して相手に直接伝えることはせず、落ち着いて今できることを判断しましょう。
騒音を出していないか振り返る
騒音は、相手に指摘されて初めて気付くケースも多くあります。
隣人から壁ドンされてしまったら、まずは気持ちを落ち着けて自分が騒音を出していなかったか振り返りましょう。
テレビや音響をつけていたら、いったん音量を下げてみるのも効果的です。
最近では、オンラインゲーム中のボイスチャットが周囲から騒音と指摘されるケースも増えています。
急に壁ドンをされると驚きますが、感情的にやり返さないことが大切です。
大家さんや管理会社に相談する
壁ドンをされたのが1回だけでなく、その後何回も続くようなら大家さんや管理会社に相談しましょう。
他の部屋から聞こえてくる騒音の出所を勘違いしている可能性がありますし、壁ドンを何回もされるのは気持ちのよいものではありません。
大家さんや管理会社に伝えるときのために、壁ドンをされたときの日付や時間、これまでの回数についてメモを取っておくとよいでしょう。
引っ越しを検討する
大家さんや管理会社に連絡し、何度か注意勧告が繰り返されても壁ドンが止まない場合は、引っ越しを検討するのも一つの方法です。
一方的に被害を受けて、なぜ自分が引っ越さなければいけないのかと不満を感じるでしょうが、賃貸アパートは隣人を選ぶことができません。
執拗に根拠のない嫌がらせを受ける場合は、思い切って引っ越しを検討するのも有効です。
壁ドンすると「頭がおかしい人」と思われる可能性も
一般的に、壁ドンをする人は「短絡的」「感情のコントロールができない」など、悪い印象を持たれることが多いでしょう。
中には「頭がおかしい人」と思われる可能性もあり、決してよい印象ではありません。
壁ドンをしてくる人とはできる限り距離を取り、精神的な安定を保ちましょう。
まとめ
壁ドンは相手がたてた騒音に対し、すぐに文句や苦情を伝えられますが、直接的すぎる方法のためトラブルの原因になることが多いです。
賃貸アパートに住む以上、ある程度の隣人トラブルは避けられません。
問題を大きくしないためにも直接苦情を伝えずに、必ず大家さんや管理会社に相談してください。