インターネットで賃貸物件を探していると、物件の種類でアパートかマンションかを指定する場面があります。
集合住宅と戸建て住宅の違いは一目でわかりますが、最近では2~3階建ての低層マンションも多くあり、「この物件はアパートとマンション、どちらなのだろう?」と迷うこともあるでしょう。
今回はアパートとマンションの違いを中心に、定義やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
アパートとマンションの違い|明確な定義はない?
アパートとマンションを比べると、「アパートは、2階建てで木造が多い」、「マンションは造りがしっかりとしていて、規模が大きめ」といったイメージで物件を探しはじめることもあるでしょう。
アパートとマンションの違いについて、実は明確な定義はありませんが、次の3つのポイントでの比較は可能です。
- 構造上の違い
- 法律の違い
- 防音性の違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
構造上の違い
明確な定義はないものの、アパートとマンションは木造や鉄筋コンクリート造といった、建物の構造によって区別されています。
一般的な目安としては、以下の通りです。
名称 | 構造 | 主な階数 |
アパート | 木造や軽量鉄骨造 | 2~3階建て |
マンション | 鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造 | 3階建て以上 |
アパートは、木造や軽量鉄骨造を使うマンションと比べて、軽い素材を使った構造が多いです。
木造や軽量鉄骨造は、鉄筋コンクリートや重量鉄骨に比べて資材も入手しやすく、建築コストを抑えられるのが特徴的。
階数の多い建物を支えられるだけの頑丈さはないため、規模としては2~3階建てが多いです。
一方、マンションで多いのは鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の構造。
重量鉄骨とは厚さ6mm以上の鉄骨のことで、鉄筋とコンクリートを組み合わせる鉄筋コンクリート造と同様に、耐震性や耐火性に優れているのが特徴です。
法律の違い
アパートとマンションの違いについては、法律でも明確な区別はありません。
賃貸物件が関わる建築基準法や宅地建物取引業法で、アパートとマンションはどちらも建物の一部を共有する「共同住宅」です。
区分が同じであれば適応される法律も変わらず、法律上でも同じ扱いを受けています。
防音性の違い
木造や軽量鉄骨造と比べて、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の方が音を伝えにくく、壁の厚みも確保しやすいです。
できるだけ静かな環境で過ごしたい方や、在宅ワークでオンライン会議の頻度が多い方は、防音性を意識してマンションを検討してみるのもよいでしょう。
アパートのメリット
アパートのメリットとしては、次の3つがあげられます。
- 家賃が安い
- 通気性に優れている
- 住宅地など閑静な環境が多い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
家賃が安い
アパートは建物の規模がコンパクトなため、エレベーターがない物件や、管理人が常駐していない物件も多いです。
設備が必要最小限なため、共益費や管理費がかからず、家賃を安く抑えられるケースが多いです。
通気性に優れている
アパートによく使われる木造は、木材同士を組み合わせるためすき間ができやすく、通気性に優れています。
カビや結露が発生しにくいため、快適に過ごしやすくなるでしょう。
住宅地など閑静な環境が多い
アパートはマンションと比べて限られた敷地面積でも建築できるため、閑静な住宅地など、落ち着いた住環境の中にある物件も多いです。
建てられる場所が多いため物件の数も豊富で、希望条件に合う物件を見つけやすいでしょう。
アパートのデメリット
メリットに続いて、アパートの3つのデメリットは以下の通りです。
- 防音性が低い
- 耐震性・耐火性に不安がある
- 防犯面に注意が必要
デメリットについても十分に把握して、入居後の後悔がないようにしておきましょう。
防音性が低い
マンションと比べるとアパートの防音性は低いため、物件によっては隣の部屋の様子がわかるほど聞こえてしまうこともあります。
特に築年数が経ったアパートの防音性は、あまり期待できないケースも多いです。
防音性を確認するためにも、木造アパートを検討するときはできるだけ現地を訪れて内見するとよいでしょう。
耐震性・耐火性に不安がある
鉄筋コンクリート造や鉄骨造のマンションと比べると、木造アパートは耐震性や耐火性への不安もデメリットとしてあげられます。
ただし、最近のアパートは工法や建材の工夫により、耐震性や耐火性も向上しています。
アパートの耐震性や耐火性が気になる方は、築年数も意識しながら物件を探してみるのがおすすめです。
防犯面に注意が必要
アパートは管理人が常駐せず、オートロック機能付きのエントランスもないのが一般的。
モニター付きのインターフォンも設置されていないケースが多いため、防犯面で不安を感じる方もいるでしょう。
初めて一人暮らしをする方や女性の方など、防犯面を重視したい方はアパートの立地なども含めた検討が必要です。
マンションのメリット
アパートとマンションを比較するために、マンションのメリットについても見ていきましょう。
- 防音性が高い
- 防犯性が高い
- 耐震性・耐火性に優れている
マンションに快適な住み心地を求めたい方にとって、どれも欠かせないメリットです。
ぜひ、アパートとマンションのどちらが自分に合っているのか、参考にしながら考えてみてください。
防音性が高い
アパートと比べて防音性に優れるマンションは、周りの生活音を気にせず暮らしたい方に最適です。
騒音問題は隣人トラブルの上位を占めますが、防音性の高いマンションを選べば自分の生活音も周囲に響きづらくなります。
夜勤があるなど、一般的な生活サイクルと異なる時間帯に帰宅する方にも、防音性の高いマンションはおすすめです。
防犯性が高い
マンションはエントランスにオートロック機能を備えたものが多く、防犯性に優れています。
オートロック機能は備えていなくても、監視カメラは設置している物件も多いです。
一人暮らしの防犯性に不安がある方は、マンションを選んでおくとより安心感をもって暮らせるでしょう。
耐震性・耐火性に優れている
マンションは鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造の建て方が多いです。
鉄やコンクリートは木材よりも重量があり、燃えにくい素材ですので耐震性や耐火性が期待できます。
築年数が浅い物件ほど、耐震や耐火技術に最新のものが使われていますので、気になる方はできるだけ新築に近い物件を検討しましょう。
マンションのデメリット
メリットだけでなくデメリットも把握しておくことで、より希望に合った物件を検討できます。
マンションのデメリットは、以下の3つです。
- 家賃が高め
- 管理費・共益費がかかる
- 結露が発生しやすい
設備の充実したマンションならではのデメリットでもある、3つの注意点について見ていきましょう。
家賃が高め
マンションは比較的高層階の建物が多く、建築コストも多くかかります。
建築コストを回収するために、マンションの家賃は高めに設定されるケースが多いです。
特に新築マンションは設備が充実し、人気も高いため家賃が高額になります。
マンションを検討するときは、周辺と比較して極端に家賃が高くないかを確認しておくとよいでしょう。
管理費・共益費がかかる
エレベーターやエントランスのオートロック機能、監視カメラなど。
充実した設備はマンションの魅力ですが、機能が充実するほど管理費や共益費の負担は増していきます。
管理費や共益費も家賃と同様、毎月かかる固定費です。
収入に対して、家賃や管理費・共益費を含む住居費の負担が重くなりすぎないように、十分注意しましょう。
結露が発生しやすい
鉄筋コンクリート造のマンションは気密性に優れていますが、通気性が不充分になり、結露が発生しやすいです。
特に1階の住居や角部屋・北側の部屋といった、湿気がたまりやすく寒暖差も大きくなりやすい部屋は、注意しなくてはなりません。
定期的な換気を意識し、必要に応じて除湿機なども活用しましょう。
賃貸物件の湿気対策については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
アパートとマンション|一人暮らしでおすすめなのはこんな人
アパートとマンションは特徴が異なるため、自分に合っているかどうかを入居前にじっくりと検討することが大切です。
それぞれどのような人に適しているかについて、詳しく解説します。
アパート:家賃を抑えたい人
閑静な住宅地から駅の近くまで、物件の数も豊富なアパートは、最小限の設備に抑えられたコンパクトな物件が多く、家賃を抑えたい人におすすめです。
木造か軽量鉄骨かをはじめ、築年数がどれくらい経っているかでも家賃は変わってきます。
周辺の相場とも比較しながら、適切な家賃の物件を選びましょう。
マンション:充実したセキュリティや設備を重視したい人
アパートよりも規模の大きなマンションは、エレベーターやオートロック付きエントランスなど、充実した設備が魅力です。
管理人がいる物件を選べば、安心感はさらに高まるでしょう。
セキュリティ対策の取れたマンションは、訪問販売の件数も減りやすいです。
安全性にも配慮された落ち着いた環境の中で過ごしたい方は、マンションを検討するとよいでしょう。
アパートとマンションの違いについてよくある質問
アパートとマンションの違いについて、明確な定義がないのはすでに紹介した通りです。
ここからは、アパートとマンションの違いについて、よくある質問を解説します。
Q1.マンションとアパートの違いはエレベーターの有無?
エレベーターの有無によって、マンションとアパートを見分けられるとは限りません。
建築基準法では、高さ31mを超える建物へのエレベーターの設置が義務付けられているため、アパートよりもマンションの方がエレベーターの設置率は高いです。
ただし、最近では高齢者向けのアパートも増えており、生活のしやすさを考慮してエレベーターを設置するアパートもあります。
マンションの方がエレベーターの設置率は高いものの、必ずしもエレベーターの有無だけで区別できるものではないと意識しておきましょう。
Q2.防音性の高いマンションの見分け方は?
物件探しの段階で、防音性の高いマンションを見分ける方法としては、次の3つがあげられます。
- 鉄筋コンクリート造の建物
- 隣家との間に収納スペースがある
- リビングなど人の集まる空間が隣り合わない間取り
構造的に、音を伝えにくいのは鉄筋コンクリートの建物です。
さらに隣家と接するところにクローゼットなどの収納スペースがあったり、リビングが隣家と隣り合わない間取りの場合、防音性に配慮されたマンションと考えられるでしょう。
また、内見では以下の3つを確認するのもポイントです。
- 室内で手を叩いて、反響音を確認する
- 耳を澄ませて、周囲の音がどの程度聞こえるか確認する
部屋の防音性や騒音については、住み心地のよさに関わります。
気になる場合はできるだけ内見し、事前に不安を取り除いておきましょう。
まとめ
アパートとマンションの違いに明確な定義はありませんが、構造や設備、防音性などの面で特徴が異なります。
それぞれのメリット・デメリットを十分に把握し、納得のいく物件探しを進めましょう。