賃貸アパートに備え付けのエアコンがあるかどうかは、物件ごとに異なります。
エアコン付きの部屋なら、購入費用や設置費がかからないので、入居者にとってメリットが多いと感じられるかもしれません。
しかし、中には「せっかくエアコン付きの部屋に入居したのに、すぐに故障して困った」という声もあるため、注意が必要です。
今回は、賃貸アパートでエアコンが故障したときの対処法を紹介します。
修理費の負担先や立ち合いの有無についても解説しますので、エアコン付きの物件を検討中の方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
賃貸アパートでエアコンが故障したときの手順
賃貸アパートで備え付けのエアコンが故障したときは、以下の手順で対処しましょう。
- エアコンの状態を確認する
- 大家さんや不動産会社に連絡する
それぞれ詳しく解説します。
1.エアコンの状態を確認する
エアコンの不具合を感じたら、まずは本当に故障しているのかどうかを確認しましょう。
特に製造されてから年数が経っているエアコンの場合、センサーの感度が落ちているケースや、単純にリモコンの電池が切れている場合もあります。
どの部分に不具合が起きているのか確かめるためにも、念入りに状態を確認してください。
2.大家さんや管理会社に連絡する
状態をチェックして、不具合が改善しそうになければ、大家さんや不動産会社に連絡しましょう。
備え付けのエアコンは大家さんの所有物ですので、修理は大家さんや管理会社を通して依頼します。
連絡するときは、エアコンの不具合の様子と、いつから使えなくなっているかを正確に伝えるようにしてください。
本当に故障?エアコンが効かないときのチェックリスト
「エアコンの効きが悪い」や「正常に動作しない」といった不具合は、次のポイントをチェックすることで、状態を改善できる場合があります。
- フィルターの汚れを確認する
- リモコンの電池を交換する
- 室外機周辺の風通しをよくする
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
フィルターの汚れを確認する
エアコンの効きが悪いと感じたら、フィルターが汚れていないかを確認してください。
エアコンは、吸い込んだ空気の温度を調節し、再び室内に戻す方法で室温を調節しています。
そのため、エアコンのフィルターが汚れていると十分に空気の循環ができず、効率よく室温を調節できません。
エアコンの使用頻度にもよりますが、フィルターは2週間に1度のペースで掃除が必要です。
特にキッチンと隣接するリビングに設置されたエアコンは油汚れが溜まりやすいため、効きが悪いと感じたときは、まずフィルターをチェックしてみるとよいでしょう。
リモコンの電池を交換する
リモコンの電池が少ないためにエアコン本体が反応せず、故障したのではないかと勘違いするケースもあります。
エアコンが動作しないときは、リモコンの電池を新品に入れ替えてみましょう。
また築年数が経った物件では、使い込まれたリモコンが多いため、電池を入れる部分の金具が汚れていることもあります。
汚れが付着していると接触不良を起こしやすく、新品の電池に入れ替えても効果が薄いです。
電池を交換するときは、金具に汚れがついていないかもチェックしてください。
室外機周辺の風通しをよくする
冷房をかけても生ぬるい風しか出てこない場合は、室外機周辺の風通しをよくしてみましょう。
室外機周辺にモノを多く置いていると、適切な給気を妨げてしまい、十分な冷却効果を発揮できません。
つい植木鉢などを置いてしまうことも多いですが、できるだけ室外機の周辺にモノは置かずに、通風を確保してください。
賃貸のエアコン故障による修理費用の負担先は?
賃貸アパートに備え付けられたエアコンは、大家さんの所有物です。
そのため、修理費用は基本的に貸主である大家さんや管理会社が負担します。
ただし、次に当てはまる場合は大家さんや管理会社に費用負担の義務はないため、注意してください。
- 入居者の故意や過失によって故障した場合
- 契約書に「賃借人は修理義務を負わない」と記載されている場合
また、エアコンが前の入居者が残していった「残置物」のケースもあります。
この場合、エアコンは大家さんや管理会社の所有物ではないため、修理費用は全額入居者の負担です。
残置物については契約書に詳細が記載されていますので、必ず内容を把握しておきましょう。
賃貸のエアコン修理の立ち合いは誰がする?
賃貸物件でエアコンの修理をするときは、室内への業者の立ち入りが必要なため、原則として入居者の立ち合いが必要です。
トラブルを防ぐためにも、作業開始前と終了後には必ず立ち合い、不備がないかを確認しましょう。
修理の当日は、大家さんや管理会社も立ち会うケースが多いです。
大家さんや管理会社にとって、室内の状況確認は業務の一環ですので、立ち合いの申し出にはできるだけ応じてください。
故障したエアコンを交換してくれないときの対処法
多くの場合、備え付けのエアコン故障は早急に対処してくれますが、中には高額な費用負担を懸念して、修理や交換に応じてくれないこともあります。
大家さんや管理会社が、故障したエアコンの修理や交換に応じてくれないときは、以下の方法を試してください。
- 「費用償還請求」をすると伝える
- 国民生活センターに相談する
それぞれ解説します。
「費用償還請求」をすると伝える
大家さんや管理会社が修理の申し出に応じず住環境に支障がでるときは、入居者の負担で修理した後に大家さんや管理会社への費用請求が可能です。
これは「費用償還請求」とよばれるもので、民法第608条で認められています。
大家さんや管理会社が修理に応じてくれないときは、こちらで修理してから費用償還請求をすると伝え、交渉してみるとよいでしょう。
消費者ホットラインや国民生活センターに相談する
直接交渉するのに不安があれば、消費者ホットラインや国民生活センターに相談するのも有効です。
どちらも消費生活における国民の生活の安定を目指して運営されており、ネットトラブルや各種契約トラブルをはじめ、消費生活に関する相談を受け付けています。
消費者ホットラインがつながりにくい場合は、国民生活センターの平日バックアップ相談でも受付可能です。
電話から誰でも気軽に利用できますので、深刻なトラブルに発展する前に、専門機関に相談しましょう。
賃貸アパートでエアコンが故障したときの注意点
賃貸アパートでエアコンが故障したときには、以下の2つに注意してください。
- 勝手に修理を依頼しない
- 不具合があったらすぐに報告する
それぞれ解説します。
勝手に修理を依頼しない
賃貸物件に備え付けられたエアコンは、大家さんの所有物です。
入居者が勝手に修理を依頼することはできないため、備え付けのエアコンが故障したときは必ず大家さんや管理会社に連絡してください。
万が一、連絡せずに修理を依頼してしまうと、修理費用の全額を負担しなければならない可能性があるため、注意しましょう。
不具合があったらすぐに報告する
エアコンに不具合を感じたら、先延ばしにせずすぐに大家さんや管理会社に連絡してください。
不具合を放置したままでいると、入居中の報告漏れが設備の状態を悪化させたと見なされ、退去時に高額な修繕費用を請求される恐れがあります。
賃貸物件の設備は借りているものだという認識を忘れず、不具合については本来の所有者に適切に報告しましょう。
賃貸アパート入居中のエアコン故障を防ぐ3つのポイント
賃貸アパートへの入居中にエアコンが故障する事態は、できれば避けたいものです。
入居中のエアコン故障を防ぐためにできる、3つのポイントを紹介します。
内見時にエアコンの年数を確認する
エアコン付きの物件を内見するときは、エアコンの製造年を確認しましょう。
家庭用エアコンの寿命は、一般的に10年といわれています。
製造から年数が経ったエアコンは、故障のリスクが高まるだけでなく、消費電力量も多めです。
年数が経ったエアコンの場合は他の物件を検討するか、確実に入居する意志があるなら入居前にエアコンを交換してもらえるように、交渉してみるとよいでしょう。
小まめにフィルターを掃除する
エアコンの故障を防ぐためにも、入居中は定期的にフィルターを掃除するのがおすすめです。
フィルターにほこりなどの汚れが溜まっていると、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、本体への負荷が増して故障しやすくなります。
ほこりが溜まるとエアコン内部にカビが生えるリスクも高まるため、健康面からも小まめな清掃を心がけましょう。
無理な使い方は避ける
入居中は極端な冷房運転や、必要のないときの連続運転など、無理なエアコンの使い方は避けましょう。
極端な使い方はエアコンに負荷をかけるだけでなく、無駄な運転が増え電気代の負担が増えてしまいます。
家計への負担を減らすためにも、節電を意識した適度な運転が大切です。
賃貸アパートのエアコン故障でよくある質問
賃貸アパートのエアコン故障に関する、よくある質問を2つ紹介します。
Q.エアコン故障で宿泊したときのホテル代は請求できる?
エアコンの故障で連絡しても、修理の受付状況によっては数日間待たなければなりません。
猛暑が続く夏では、エアコンの故障は命にかかわるため、中にはホテルなどへの避難を考える人もいるでしょう。
備え付けのエアコン故障が原因ですので、ホテル代を請求したくなるかもしれませんが、大家さんや管理会社にホテル代負担の義務はありません。
仮に請求したとしても、受け入れられる可能性は低いでしょう。
Q.エアコン故障で家賃の減額交渉はできる?
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」では、エアコンが作動しないときの賃料減額について、以下のように記しています。
状況 | 賃料減額割合(日割り計算) | 免責日数 |
エアコンが作動しない | 10% ※発生した季節・地域、間取りや設置台数を考慮し、必要に応じて割合を調整する。 | 3日 |
参考:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」令和6年10月4日改訂版
改訂前のエアコンの動作不良による減額割合は、1ヶ月あたりの上限は5,000円でしたが、改訂により家賃の10%と大幅に改善されました。
ガイドラインに法的な拘束力はありませんが、金額の目安になります。
大家さんや管理会社と交渉するときは、ガイドラインを参考に交渉してみるとよいでしょう。
まとめ
エアコン付きの物件は魅力的ですが、契約前には年数を確認したり残置物でないかを確認したりなど、細かな配慮が欠かせません。
入居前のポイントを押さえておけば、エアコン付きで条件のよい物件への入居も可能です。
一人暮らしの物件探しに不安がある方は、不動産会社の担当者に相談しながら物件を探しましょう。