賃貸の初期費用を抑えたいときに、気になるのがゼロゼロ物件。
「タダより高いものはない」といいますし、本当に危険はないの?と不安になりますよね。
今回は、ゼロゼロ物件が気になるけれど不安を感じている方に向け、よく聞かれるデメリットや、選ぶときの注意点を解説します。
ゼロゼロ物件でトラブルを防ぐ3つのコツも紹介しますので、ぜひ物件選びの参考にしてください。
当記事の内容は一般的な賃貸借契約をもとに作成しています。ゼロすむで契約する場合は転貸借契約となるため、一部異なる部分がございます。 ゼロすむで契約する場合の正確な内容に関して、詳細が気になる方はLINEを友だち登録してご質問ください。 |
ゼロゼロ物件とは
ゼロゼロ物件とは、敷金・礼金がゼロ円で入居できる賃貸物件のこと。
敷金は主に退去時の修繕費用として使われ、相場は家賃1~2ヶ月分。
礼金は大家さんへのお礼金の意味合いがあり、こちらも相場は家賃1~2ヶ月分です。
敷金・礼金は家賃をもとに計算され、家賃が高いほど高額になります。
たとえば家賃5万円と10万円の物件で、相場から計算した敷金・礼金の合計は以下の通りです。
家賃 | 敷金 | 礼金 | 敷金・礼金の合計 |
5万円 | 5万~10万円 | 5万~10万円 | 10万~20万円 |
10万円 | 10万~20万円 | 10万~20万円 | 20万~40万円 |
敷金・礼金を支払うには、まとまった費用が必要です。
ゼロゼロ物件なら初期費用を大幅に抑えられるため、引っ越しも検討しやすくなるでしょう。
ゼロゼロ物件はなぜ増えている?
ゼロゼロ物件は、最近特に増えているといわれます。
背景にあるのは、社会問題にもなっている空き家の増加です。
借り手の減少により賃貸物件の供給過多が続き、少しでも早く空き室を埋めたい大家さんの意向から、ゼロゼロ物件が増えています。
さらにインターネットでの物件探しが普及し、誰でも手軽に物件を比べられるようになりました。
そのため、入居希望者から見たわかりやすいメリットとして、敷金・礼金ゼロにしている物件も多いです。
ゼロゼロ物件のデメリット
ゼロゼロ物件のデメリットには、以下の3つがあります。
- 初期費用がゼロになるわけではない
- 退去費用が高額になりやすい
- 家賃が割り増しになりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
初期費用がゼロになるわけではない
ゼロゼロ物件は、初期費用のすべてがゼロになるわけではありません。
賃貸の初期費用には、一般的に以下の項目が含まれます。
相場 | 内容 | |
敷金 | 家賃×1~2ヶ月分 | 部屋の修繕や原状回復のために、退去時まで預けておく費用。修繕にかかった費用が清算され、残金は後日返金される。 |
礼金 | 家賃×1~2ヶ月分 | 大家さんへのお礼の意味を込めたもの。地域によって相場に差があり、退去時に返金されない。 |
前家賃 | 家賃×1ヶ月分 | 入居月の翌月分の家賃。初期費用として支払うケースが多い。 |
日割り家賃 | 入居日に応じて変動 | 入居当月分の家賃を、月末までの日数で日割りした費用。入居日に応じて変わる。 |
仲介手数料 | 家賃1ヶ月分×税が上限 | 不動産会社に支払う手数料。宅地建物取引法で上限が定められている。 |
保証会社利用料 | 管理費を含めた総家賃×0.5~1ヶ月分 | 滞納された家賃を立て替える保証会社の利用料。保証会社により相場は異なる。 |
鍵交換代 | 15,000~20,000円+税 | セキュリティ面から鍵交換は必須。入居時に交換する。 |
火災保険料 | 15,000~20,000円+税 | 火事のほか、台風などの自然災害による損害を補償。保険会社は管理会社から指定されるケースが多い。 |
ゼロゼロ物件で費用負担がないのは、敷金と礼金のみ。
その他の仲介手数料や火災保険料、保証会社の利用料などは、一般的な物件と同じように支払わなくてはなりません。
ゼロゼロ物件とはいえ、初期費用がゼロになるわけではないので、ある程度まとまった金額は用意しておきましょう。
退去費用が高額になりやすい
敷金は、退去時の修繕費用としても使われます。
入居者には原状回復義務があり、退去時には室内を入居前の状態に戻さなければなりません。
あらかじめ敷金を支払っていれば、原状回復にかかる修繕費用は敷金から清算され、余剰は返金されます。
しかしゼロゼロ物件では、修繕にあてる敷金がないため、退去時の原状回復費用を実費で支払わなくてはなりません。
物件によっては、退去時にクリーニング費用の支払いが決められているため、契約時にはよく確認しましょう。
家賃が割り増しになりやすい
ゼロゼロ物件では、家賃が相場よりも割り増しになっているケースもあります。
入居時には魅力的であっても、長期間住み続けたいときは、かえって支払い総額が増えることもあるでしょう。
付近の家賃相場を確認し、もし割り増しされていれば、どの程度高額になっているかを必ず把握しておいてください。
ゼロゼロ物件を選ぶときの注意点
ゼロゼロ物件を選ぶときには、次の3つの注意点があります。
- 違約金に注意する
- 解約予告期間に注意する
- 見積書の内容に注意する
それぞれのポイントを見ていきましょう。
違約金に注意する
ゼロゼロ物件は、短期解約に違約金が発生するケースが多いです。
賃貸借契約は2年ごとに更新されるケースが多く、物件によっては入居後1年での引っ越しも短期解約にあたります。
賃貸借契約の期間や違約金の有無は物件ごとに異なるため、必ず契約書で確認しましょう。
解約予告期間に注意する
賃貸物件から退去するときは、決められた期日までに、必ず大家さんや管理会社へ退去の連絡をしなければなりません。
通常は、退去日から数えて1ヶ月前までの連絡が必要ですが、ゼロゼロ物件では2ヶ月前までに連絡必須の場合もあります。
期日までに連絡しなければ1ヶ月分の家賃が余分にかかってしまうため、契約時には必ず解約予告期間を確認してください。
見積書の内容に注意する
ゼロゼロ物件を契約するときは、見積書の内容に注意しましょう。
敷金の代わりにクリーニング費用が明記されているときは、特に注意が必要です。
たとえば壁紙やフローリングの日焼けといった経年劣化による汚れは、年月が経つほど入居者の負担率も下がるのが一般的。
一方でクリーニング費用と明記されている場合、実際は原状回復費用がそこまでかからなくても、一律で徴収されてしまいます。
さらに余剰分が返金される敷金と違い、基本的にクリーニング費用は返金されないため、負担が重くなるリスクも高いです。
退去時の費用が不明なときは、必ず不動産会社の担当者に問い合わせておきましょう。
ゼロゼロ物件でトラブルを防ぐ3つのコツ
ゼロゼロ物件はトラブルが多いともいわれますが、対策次第で防げるものばかりです。
トラブルを防ぐための、3つのコツを解説します。
内見を必ずする
ゼロゼロ物件を検討するときは、契約前に必ず内見しましょう。
敷金・礼金をゼロにする目的は、空き室を早く埋めるため。
そのため駅からの距離や築年数などの面から、あまり人気のない物件がゼロゼロ物件になりやすいです。
また審査基準が低く、モラルに問題のある入居者が集まりやすいのも、ゼロゼロ物件でトラブルが多いといわれる理由の1つ。
周辺環境や住人の様子は、実際に内見しなければわかりません。
入居後に後悔しないためにも、初期費用が抑えられるからと安易に判断せず、内見してから決めましょう。
内見のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にお読みください。
契約書は隅々まで確認する
ゼロゼロ物件を選ぶなら、契約書は隅々まで確認しましょう。
確認したい主なポイントは、以下の4つです。
- 保証会社利用の有無
- 退去時のクリーニング費用
- 短期解約違約金の有無
- 解約予告期間の詳細
敷金・礼金ゼロでも、条件によっては期待していたほどのメリットを得られないケースもあります。
また立地条件や環境を我慢して入居しても、早々に転居しては初期費用を抑えた意味がありませんし、短期解約違約金があれば引っ越し自体も難しいです。
後悔しないためにも、契約書で不明な点があれば、必ず担当者に確認しておきましょう。
家賃の支払い期日を守る
ゼロゼロ物件について調べると、「貧困ビジネス」という言葉を目にします。
貧困ビジネスとは、いわゆる「貧困層」をターゲットに、支援すると見せかけながら貧困から抜け出せない状況に追い込むビジネスのこと。
ゼロゼロ物件についても、家賃の支払い期日を1日過ぎただけで、強制的に鍵を交換される「追い出し」とセットで、貧困ビジネスと見なす意見も聞かれます。
ただし、家賃の滞納は個人の信用を著しく下げるため、どのような物件であっても家賃の支払い期日は守らなくてはなりません。
ゼロゼロ物件で不要なトラブルに巻き込まれないためにも、家賃の支払い期日は確実に守ってください。
ゼロゼロ物件は本当にやばいのか
タダへの不安から、「ゼロゼロ物件はやばい」といわれてしまうこともあります。
退去時の費用が高額になりやすいのも理由の1つですが、ゼロゼロ物件はデメリットを必要以上に強調されやすいです。
実際はゼロゼロ物件のメリットも多く、以下の3つがあげられます。
- 初期費用を抑えられる
- 家具や家電の購入費用を充実させられる
- 貯金が少なくても引っ越ししやすい
敷金・礼金を合わせると、家賃の2~4ヶ月分の費用がかかり、家賃5万円の物件なら10万~20万円が相場です。
ゼロゼロ物件なら、本来敷金・礼金として支払うはずだった費用を、家具や家電の購入にあてられます。
貯金に不安があっても、初期費用が抑えられるゼロゼロ物件なら、引っ越しのハードルが下がり物件を見つけやすくなるでしょう。
このように、デメリットや口コミに不安になりすぎずに注意点を守れば、ゼロゼロ物件のメリットは大きいです。
ゼロゼロ物件は初期費用が抑えられるからと即断せず、メリットやデメリットを比較して慎重に判断してください。
まとめ
ゼロゼロ物件は本来、早く空き室を埋めるために入居者のメリットとして考えられた仕組みです。
敷金・礼金ゼロというメリットだけ見てしまうと、物件の立地や諸条件を詳しく確認しないまま契約し、「こんなはずではなかった」と後悔につながりかねません。
ゼロゼロ物件を選ぶときは、特に内見や契約書の確認を念入りに行い、不明点があれば担当者に問い合わせましょう。
物件の状況を適切に見極め、不安のない状態でお部屋探しを進めてください。