同じ建物で複数の入居者が暮らすシェアハウスでは、しばしば生活音に関するトラブルが発生します。
個室の防音対策を意識すれば周囲の音を気にせずくつろげますが、退去時の原状回復に影響しないように、元に戻しやすい方法で対策することも大切です。
今回は、シェアハウスで意識したい防音対策について解説します。
シェアハウスでも気軽に取り入れやすく、すぐに試せる方法をはじめ、防音性の高い物件の特徴も紹介しますので、ぜひ物件探しの参考にしてください。
シェアハウスで防音対策が必要な理由
個室以外の生活スペースを共有するシェアハウスでは、入居者同士の距離が近いため、プライバシー確保のためにも防音対策が重要になります。
シェアハウスで防音対策が必要になる理由は、主に次の2つです。
- 入居者同士のトラブルを防ぐため
- くつろげるスペースを確保するため
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
入居者同士のトラブルを防ぐため
シェアハウスは一般的な賃貸物件と比べて入居者同士の距離が近く、1つの建物の中で設備を共有しながら暮らします。
そのため、お互いの生活音を騒音として感じやすい点に注意が必要です。
個室が唯一のプライベート空間となりますが、自分では気付いていなくても、他の入居者からは騒音と認識されている場合もあります。
トラブルを防ぐためにも、シェアハウスに入居する際は防音対策をしておくのがおすすめです。
くつろげるスペースを確保するため
シェアハウスはそれぞれのプライベートエリアとして個室が割り当てられ、それ以外のキッチン・お風呂・洗面所・トイレといった設備を共有するのが一般的です。
水回りは特に生活音が発生しやすく、自分の部屋がトイレと近い場合は、他人が使用する音が気になる、といったことにもなりかねません。
キッチンやお風呂、洗面所などは使える時間が限られていることも多いですが、個室の防音対策をしておけば、さらに外からの音を気にせず過ごせます。
また、音漏れをそこまで気にする必要がなくなるので、音楽を聞いたり動画を視聴したりなど、自室でもくつろぎやすくなるでしょう。
シェアハウスで効果的な防音対策
シェアハウスも一般的な賃貸物件と同様、退去するときは個室の原状回復をする必要があります。
そのため、防音対策をするときもできるだけ跡が残らず、元に戻しやすい方法を選ぶのが重要です。
すぐに試せて、手軽に取り入れやすいものとしては、次の4つの方法があります。
- 壁に防音シートを貼る
- 遮音カーテンを使用する
- 厚みのあるカーペットやラグを敷く
- タンスなど高さのある家具を壁沿いに配置する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
壁に防音パネルを設置する
隣室への音漏れが気になるなら、壁に防音パネルを設置するのが効果的です。
防音パネルは吸音パネルとも呼ばれ、テレビやスピーカーが接している壁面に取り付けることで、隣室への音漏れを防ぎます。
大型のパネルを広範囲に取り付ければさらに防音効果も高まりますが、壁に接着すると跡が残ってしまいます。
シェアハウスで大きなパネルを使いたい場合は、壁に立てかけて倒れないように家具で抑えるといった工夫をするとよいでしょう。
遮音カーテンを使用する
遮音カーテンを使用するのも、防音対策として効果的。
外からの音を防ぎやすくなるため、大通り沿いや店舗の近くなど、比較的賑やかなエリアに建つシェアハウスに入居するときにもおすすめです。
カーテンには遮音のほか、遮光や遮熱をはじめ、燃えにくい素材で作られたものなど機能的なものが多くあります。
窓からは室内の多くの熱が逃げていきますので、防音対策としてだけでなく、遮光性や遮熱性にもこだわったカーテンを取り付けて快適な環境をつくりましょう。
厚みのあるカーペットやラグを敷く
階下に足音が響くのを防ぐなら、厚みのあるカーペットやラグを敷くのが効果的です。
スリッパを履くのも防音対策としては効果的ですが、パタパタという足音がかえって気になることもあるため、ラグやカーペットを敷いておくと安心できます。
カーペットやラグはインテリアのポイントにもなるため、お気に入りのデザインを選ぶことで、さらにくつろぎやすい空間になるでしょう。
タンスなど高さのある家具を壁沿いに配置する
シェアハウスや賃貸ハウスでは、壁を伝って周囲に広がる音が騒音問題につながるケースが多いです。
防音を意識するなら、タンスなどの背の高い家具を壁沿いに配置して、音が伝わるのを防ぐ衝立がわりにしてしまうのもよいでしょう。
特に、隣室と接している壁沿いに配置すれば、防音効果も高まります。
ただし、限られたスペースに背の高い家具を配置すると圧迫感が出てしまいますし、転倒防止の突っ張り棒を取り付けるなど、地震への備えも重要です。
また、シェアハウスでは自前ではなく備え付けの家具を使用するケースもありますので、状況に応じて最適な方法を選びましょう。
防音性の高いシェアハウスの特徴
シェアハウスに住む際に防音性を意識するなら、個室で防音対策をするだけでなく、建物自体の防音性を意識するのも大切です。
一般的に次のような特徴がある場合、シェアハウスの防音性の高さが期待できます。
- 鉄筋コンクリート造で建てられている
- 共有スペースと各自の部屋が離れている
- 家賃が相場よりも高め
- 生活ルールが守られている
最後の「生活ルールが守られている」はシェアハウスならではの特徴ですが、構造や間取りによって、建物の防音性の高さは変わります。
シェアハウスだけでなく、通常の賃貸物件でも共通する特徴ですので、物件探しの際に参考にしてみるとよいでしょう。
鉄筋コンクリート造で建てられている
建物は骨組みとなる「構造」にどのような素材が使われているかによって、主に次の3種類にわかれます。
- 木造
- 鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
3種類の中で最も一般的なのは、木の柱や梁を使って構造を作る木造で、多くの居住用物件で用いられています。
比較的工事がしやすく間取りの自由度も高いですが、防音性で見ると他の種類におとるため、壁の素材にこだわるといった工夫が必要です。
柱や梁に鉄骨を使ったものが鉄骨造で、さらに鉄筋コンクリート造の建物は、鉄筋で作られた枠組にコンクリートを流し込んでつくります。
3種類の建物のうち、最も防音性が高いのは音を伝えにくい性質があるコンクリートを使用した、鉄筋コンクリート造の建物です。
鉄筋コンクリート造の賃貸物件やシェアハウスは、全体の数から見ると決して多くはありませんが、防音性を重視するなら積極的に検討してみるとよいでしょう。
共有スペースと各自の部屋が離れている
「シェアハウスが希望だけれど、個室ではできるだけ静かに過ごしたい」という場合は、リビングやキッチンなどの人が集まる共有スペースから、できるだけ離れた個室を選ぶのも効果的です。
共有スペースと個室での過ごし方にメリハリをつけやすくなるため、他の入居者との交流も、個室でくつろいで過ごす時間も、どちらも楽しみやすくなるでしょう。
ただし、リビングなどの共有スペースから離れた部屋は、トイレや洗面所などの水回り設備と近くなってしまう場合もあります。
夜間の使用音がかえって気になってしまう場合もあるため、どちらを選ぶかは状況に応じて判断しましょう。
家賃が相場よりも高め
建物自体の構造がしっかりとしている物件は、音を伝えにくく防音性も必然的に高まります。
このような物件は、建物自体の性能のよさから相場よりも家賃が高めに設定されていることが多いです。
築年数や立地条件などに大きく差がないのに、似たような条件の物件と比べて家賃が高めの場合は、防音性の高さも期待できます。
家賃が許容範囲内である場合は、内見を申し込み、実際の部屋で音の聞こえ具合や防音性を確認してみるとよいでしょう。
生活ルールが守られている
シェアハウスでは、実際の防音性と合わせてほかの入居者がどのように過ごしているかも、騒音の感じやすさとして重要なポイントです。
その点で考えると、生活ルールが守られているシェアハウスは他人への配慮が自然とできる入居者が多いため、騒音をはじめとするトラブルに悩まされにくいと判断できます。
物件によっては、門限のほか、入浴できる時間帯やキッチンを使える時間帯など、細かなルールを定めているところもあります。
あまりにもルールが厳しい場合は住みにくいですが、適度なルールで住環境が保たれていると感じる場合は、入居を検討してみるとよいでしょう。
シェアハウスでよくあるトラブルについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
シェアハウスの防音対策に関するよくある質問
シェアハウスは通常の賃貸物件と異なる環境ですが、防音対策に対しては一般的な賃貸物件との差はあまり大きくありません。
防音対策に関してよくある2つの質問を紹介します。
Q.防音対策をすればシェアハウスで楽器の演奏は可能?
シェアハウスに限らず、賃貸物件で楽器を演奏できるかどうかは、その物件が「楽器可」であるかどうかで決まります。
防音対策を念入りに行ったとしても、楽器不可の物件で楽器を演奏するのは契約違反です。
ヘッドホンをしていれば大丈夫だと考える方もいますが、キーボードなどの場合は演奏のたびに振動が床を伝わります。
キーボードを叩くときの振動が騒音と捉えられる場合もあり、演奏していたことが知られれば注意勧告を受けることにもなるでしょう。
防音対策の有無に限らず、シェアハウスでも通常の賃貸物件でも、「楽器不可」の物件で楽器は演奏しないようにしてください。
Q.内見時に防音性を確かめるポイントは?
内見時に防音性を確認したければ、室内で耳を澄ませて、室外からの音がどの程度聞こえてくるかを確認してみるのが効果的です。
このときにほかの部屋からの足音や話し声、さらにテレビの音声などが聞こえてくる場合は、残念ながら防音性は高くありません。
また、隣室も空室で内覧可能な場合は、不動産会社の担当者にお願いして隣室で携帯電話などを鳴らしてもらうのもよいでしょう。
まとめ
複数の入居人が生活スペースを共有するシェアハウスは、その場でしか得られない交流や常に誰かがいるという安心感が魅力です。
一方、プライベートな空間でくつろいで過ごすためには、防音対策への意識も欠かせません。
シェアハウスで効果的な防音対策を試しつつ、快適な日常を送りましょう。




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