賃貸アパートから引っ越すときは、退去費用がかかります。
特に敷金なしで入居していると、退去費用がどのくらいかかるか分からず、不安に感じる方も多いでしょう。
今回は退去費用の相場について解説します。
敷金なしで入居しているときの相場や、退去費用を抑える5つのコツも紹介しますので、退去費用に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
アパートの退去費用の内訳
アパートの退去費用の内訳は、次の2つです。
- 原状回復費用
- ハウスクリーニング費用
それぞれ詳しく解説します。
原状回復費用
賃貸アパートの入居者には、退去するときに室内を入居時の状態に戻す「原状回復義務」があります。
原状回復費用は、入居者の故意や過失によって損傷・劣化したものを回復するための費用です。
具体的には、引っ越しで家具や家電を運搬したときにできた傷や、結露を放置してできたシミやカビ、タバコのヤニ汚れなどが含まれます。
ただし日焼けによる壁紙の退色など、経年劣化にあたるものは、原状回復義務の対象ではありません。
原状回復費用の総額から、経年劣化分を引いた金額が、原状回復費用として請求されます。
ハウスクリーニング費用
ハウスクリーニング費用は、退去後に大家さんが専門のクリーニング業者に依頼し、室内を清掃するための費用です。
ハウスクリーニングは次の入居者を迎えるための清掃なので、本来貸主である大家さんの負担となるべき費用です。
しかし賃貸借契約書に「退去時のクリーニング費用は借主が負担」と特例の記載がある場合、入居者の負担で支払わなければなりません。
契約時に、内容はよく確認しておきましょう。
アパートの退去費用の相場
間取りが広いほど、補修やクリーニングが必要な範囲も広くなるため、退去費用は高額になりやすいです。
退去費用の目安を、間取りの広さ別に見てみましょう。
間取り | 退去費用の相場 |
20㎡~30㎡のワンルーム・1K | 20,000円~35,000円 |
30㎡~50㎡の1DK・1LDK・2DK | 30,000円~60,000円 |
50㎡~70㎡の2DK・2LDK | 50,000円~85,000円 |
70㎡~90㎡の2LDK・3DK・3LDK | 70,000円~110,000円 |
90㎡~の3LDK・4DK・4LDK | 90,000円~ |
出典:三井のリハウス「賃貸の退去費用の相場は?原状回復義務や解約日までの家賃についても解説」
賃貸住宅の退去費用は広さによる違いも大きく、20㎡〜30㎡のワンルーム・1Kと、50㎡〜70㎡の2DK・2LDKを比較すると、金額は倍近く異なります。
また居住年数が長くなるにつれ高額になりやすい退去費用ですが、一般的には6~8年を越えると安くなるのも特徴です。
これは経年劣化や設備の耐用年数を基準に減額が定められているためで、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも記されています。
10年以上同じアパートに入居中で、退去費用が不安だと感じる方もいますが、基本的に経年劣化は入居者負担ではありません。
退去費用が高額になるケース
退去費用は、入居時にどのように過ごしているかによっても費用が大きく変わります。
特に高額になりやすいのは、以下の3つのケースです。
- タバコを吸っている
- ペットを飼っている
- 敷金なしで入居している
それぞれ解説します。
タバコを吸っている
特に多いのが、タバコを吸っていて退去費用が高額になるケースです。
入居中に喫煙していると、タバコに含まれるヤニ成分で壁紙は黄ばみ、室内にタバコ特有の臭いが付着します。
タバコのヤニによる黄ばみは、入居者の生活習慣による影響と見なされるため、経年劣化には含まれません。
また室内にタバコの臭いが染み付くと、退去後のクリーニングで消臭作業が必要になる場合もあります。
本来、ハウスクリーニング費用は貸主の負担です。
しかしタバコの臭いは、通常の使用の範囲を超えた汚損と見なされるため、消臭作業にかかる費用は入居者が負担しなくてはなりません。
原状回復費が多くかかるのが、タバコを吸っていると退去費用が高額になる理由です。
ペットを飼っている
特に鳥類や犬・猫などのペットを飼っていると、退去費用は高額になります。
清潔を保っていてもペットからは特有の臭いが発生しますし、猫などペットの種類によっては、内装への被害も大きくなりやすいからです。
なお国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、ペットの飼育が原因のハウスクリーニング費用は、原則入居者負担です。
ペットを飼うときは内装への被害だけでなく、臭いにも特に注意しましょう。
敷金なしで入居している
通常、退去費用は敷金と相殺され、不足分の徴収や余剰があれば返金も発生します。
しかし敷金なしで入居していると、発生した退去費用は全て実費で支払うため、退去費用が高額になりやすいです。
敷金なしの物件は、入居時の初期費用を抑えるのに効果的ですが、退去時の費用負担が大きいので注意してください。
敷金なしでの退去費用の相場
敷金なしで入居していると、退去費用の相場には修繕費用やクリーニングの内容が大きく関わります。
以下は、主な修繕とクリーニングに関する費用をまとめた一覧です。
修繕内容 | 詳細 | 単位・部位 | 費用相場 |
壁紙の張替え | クロス | 1㎡あたり | 1,000円~1,500円 |
床材の張替え | フローリング | 1畳あたり | 20,000円~60,000円 |
クッションフロア | 1,000円~6,000円 | ||
ふすまの張り替え | ふすま紙 | 1枚あたり | 3,000円~5,000円 |
ハウスクリーニング | キッチン | 水垢・カビ清掃 | 10,000円~25,000円 |
レンジフード | 15,000円~ | ||
コンロ・グリル | 10,000円~ | ||
浴室 | 全体 | 15,000円~ | |
エアコン | 1台あたり | 10,000円~ | |
フローリングワックス | 1㎡あたり | 1,000円 |
たとえば高級グレードのフローリングを交換すると、1畳分の費用だけでも60,000円の負担が発生。
清掃費用も加算されるため、敷金なしの場合、退去費用はさらに高額になります。
汚れや傷の状態、依頼する業者によっても価格は異なるため、上記はあくまで相場です。参考としてご覧ください。
敷金なしで退去費用が高額になる理由
敷金なしの物件で退去費用が高額になる理由は、次の2つです。
- 預かり金がない
- 退去費用が入居時の契約で決まっている
それぞれ解説します。
預かり金がない
敷金は、退去時の修繕費用や家賃の滞納があったときに、補填するための預かり金です。
最近では空室を早く埋めたい大家さんの意向で、敷金なしで入居できる物件も増えています。
しかし、敷金なしは退去時に相殺できる預かり金がないため、退去費用が高額になるケースが多いです。
物件を選ぶ際は、十分注意しましょう。
退去費用が入居時の契約で決まっている
敷金なしの物件は、賃貸借契約書に特約として退去時のクリーニング代負担が明記されているケースも多いです。
契約した以上、入居者は特約に従わなくてはなりません。
特約で定められた金額については、契約後に交渉するのは難しいため、契約前に内容をよく確認しておきましょう。
退去費用を抑える5つのコツ
退去費用を抑えるためのコツは、次の5つです。
- 契約時に特約を含む詳細を確認する
- 入居直後の写真を撮っておく
- 退去時の現状確認に立ち会う
- 見積書をとる
- 退去費用として払わなくていいものを把握する
それぞれ見ていきましょう。
契約時に特約を含む詳細を確認する
賃貸の契約を結ぶときは、必ず特約の内容を確認しましょう。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて」に記載があっても、優先されるのは特約です。
契約後の交渉は難しいため、特約の内容は必ず確認し、納得の上で契約してください。
入居直後の写真を撮っておく
入居したらできるだけ早く室内を確認し、傷や汚れを写真に撮っておきましょう。
入居前からの傷や汚れについては、入居者の原状回復義務はありません。
写真は明確な証拠になるため、トラブルを事前に回避できます。
家具が搬入されると細部の確認が難しいため、できれば搬入前に写真は撮っておきましょう。
退去時の現状確認に立ち会う
退去時に行われる現状確認には、できるだけ立ち会いましょう。
現状確認に立ち会っていれば、傷や汚れが以前からあったものか、入居後についてしまったものなのかをその場で確認できます。
本来不要な退去費用が含まれるのを防ぐのにも、立ち合いは有効です。
見積書をとる
退去費用は、必ず見積書をとりましょう。
大家さんや管理会社によっては、現状確認の場で金額を口頭で伝えるケースも多いです。
見積書がなければ、修繕費用の内訳や金額の適正さも確認ができません。
金額に納得して支払うためにも、退去費用の見積書は必ず取得してください。
退去費用として払わなくていいものを把握する
退去費用には、貸主負担と借主負担の2種類があり、経年劣化に該当する部分は、入居者に原状回復義務はありません。
経年劣化と見なされるのは、主に次の項目です。
- 日焼けした壁紙や床材の修繕費
- 電気焼けした壁紙の修繕費
- 画鋲の穴の修繕費
- 家具下の凹みや設置跡の修繕費
- エアコンのビス穴や設置跡
- 鍵の交換費用
退去費用でまとめて請求されても、これらが経年劣化にあたると知らなければ、指摘すらできません。
入居者が支払わなくていい退去費用の項目については、しっかりと把握しておきましょう。
過去には退去費用200万円の請求も!高額請求されたときの対処法
アパートの退去費用は室内の状況により判断されるため、過去には200万円もの高額な退去費用が請求された例もあります。
高額請求されたときの対処法は、次の2つです。
- 金額が適正か確認する
- 外部機関に相談する
それぞれ解説します。
金額が適正か確認する
高額な退去費用を請求されたら、まずは価格が適正か確認しましょう。
- 退去費用の相場と照らし合わせる
- 見積もりの項目を確認
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照する
退去費用の高額請求で多いのが、経年劣化の修繕費用まで含まれているケースです。
経年劣化については入居者の原状回復義務がないため、修繕費用を支払う必要はありません。
ガイドラインを参照したことを伝え、項目の見直しを交渉しましょう。
このとき、適正項目については支払う意欲をしっかりと伝え、項目の見直しを依頼するのがおすすめです。
外部機関に相談する
高額な退去費用を請求されても、ガイドラインを参照しつつ交渉すれば、減額されるケースが多いです。
それでも交渉が難航するときは、国民生活センターや消費者庁の消費者ホットラインといった、外部の機関に相談してください。
相談する際は、見積もりや契約書を事前に用意し、退去費用が適切な金額なのか確認できるようにしておきましょう。
事前に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照しておくと、スムーズに話ができるのでおすすめです。
アパートの退去費用でよくある質問
最後に、アパートの退去費用でよくある質問を見ていきましょう。
支払い拒否したり踏み倒したりすると、どうなる?
退去費用の金額に納得がいかなくても、支払い拒否や踏み倒しは絶対に行わないでください。
支払い拒否や踏み倒しは、家賃の滞納と同様に入居者の信用情報に関わります。
未納が続けばブラックリストに掲載され、日常生活に支障をきたすだけでなく、裁判沙汰になるかもしれません。
退去費用に納得がいかなければ、大家さんや管理会社と交渉し、支払い拒否や踏み倒しは避けましょう。
交渉しても納得できないときは?
交渉しても納得できなければ、外部の機関に頼りましょう。
国民生活センターや消費者ホットラインなら、退去費用について公正な立場から相談に乗ってもらえます。
退去費用の交渉で悩んだら、まずは一度相談してみましょう。
退去費用が支払えないときは?
アパートの退去費用がすぐに支払えないときは、大家さんや管理会社に正直に伝えて交渉しましょう。
状況によっては、減額や分割払いを検討してもらえる可能性もあります。
退去費用の支払いが難しくても、踏み倒しは避けましょう。
まとめ
退去費用の相場は、間取りや入居中の使用状況、さらに敷金のありなしでも大きく異なります。
特にはじめて賃貸アパートから退去するときは判断が難しく、提示された金額のままで支払うケースも多いでしょう。
退去費用は項目が多く、借主負担と貸主負担も明確に分かれているため、内容次第で価格の交渉もしやすいです。
支払わなくていい項目の知識もしっかりと備え、納得した上で、適正な退去費用を支払いましょう。
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