賃貸物件の数は、進学や就職といった新生活のスタートシーズンに合わせて変動しやすく、人気物件であるほど空き室が埋まるペースも早まります。
インターネットでいつでも手軽に検索できる賃貸物件ですが、探すのに最適な時期はあるのでしょうか。
これから賃貸物件を探す方に向け、探すのにおすすめの時期を解説します。物件探しの流れや理想の物件に出会うコツも紹介しますので、初めて物件探しをする方もぜひ参考にしてください。
この記事の目次
賃貸物件を探す時期は何ヶ月前がベスト?
賃貸物件は、入居希望の2ヶ月前から探しはじめるのがベストです。
遅くとも入居希望の1ヶ月半前までには不動産会社を訪問し、1ヶ月前には内見や入居手続きを済ませるのが理想的。
物件との出会いはご縁とも言われますので、いつ希望する物件に空きが出るかわかりません。
すぐ行動できるように、住みたい部屋の希望や家賃の金額など、具体的な条件は日頃から考えておきましょう。
賃貸物件を探すのにおすすめの時期は?
賃貸物件を探すのにおすすめの時期は、自分がどのように物件探しを進めたいかで変わってきます。
よくある3つのパターンに分けながら、それぞれにおすすめの時期を見ていきましょう。
豊富な選択肢から選びたければ「1月~3月」
1年の中で、市場に出回る賃貸物件の数がもっとも多いのは1月~3月です。
この時期は新生活に向けた準備シーズンで、住んでいた部屋を引き払う人が多くいます。
出回る物件の数は多いですが、新居を探す人の数も多い時期です。
人気物件から次々に契約が決まっていくため、内見や契約の判断も含め、希望の物件に申し込むにはスピーディーな対応が求められるでしょう。
特に物件数が多いのは2月の中旬にかけてで、条件のよい人気物件はこの辺りまでに契約済みとなるものが多いです。
物件数は多くても、複数の物件をじっくりと比較検討する時間はありませんので、注意してください。
物件を比較して選びたければ「11月~12月」
今出ている物件から最適なものをじっくり比較して選びたければ、11月~12月がおすすめ。
11月~12月は秋の転勤シーズンと春の新生活シーズンの狭間のため、比較的落ち着いて物件を探しやすいです。
不動産会社も繁忙期ではないため、内見でも比較的時間を取りやすいでしょう。
賃貸物件を内見するときのポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
費用を抑えたければ「6月~8月」
賃貸物件へ入居するときは家賃以外に初期費用が発生します。
大家さんと交渉し、初期費用を少しでも抑えたいと考えているなら引っ越しは6月~8月を検討しましょう。
6月~8月の夏場は、引っ越し業者の間で「夏枯れ」と呼ばれるほど引っ越しする人が少なく、大家さんも空き室を早く埋めるために交渉に応じてくれやすいです。
また引っ越しも繁忙期と比べると割安で済ませられるため、引っ越し全体にかかる費用を抑えられます。
賃貸物件の初期費用は、家賃のおよそ5~6倍の費用がかかるため、引っ越し費用を抑えたければ物件を探す時期が何よりも大切です。
賃貸物件の初期費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
【種類別】賃貸物件探しで狙い目の時期
賃貸物件は、一人暮らし向けやファミリー向けなど、種類によって狙い目の時期が変わります。
新築物件で狙い目の時期も紹介しますので、新しくてきれいな物件が希望の方も、ぜひ参考にしてください。
一人暮らし向け物件
一人暮らし向けの1R~1Kタイプの物件は、1月以降から徐々に市場に出回る数が増加します。
できるだけ理想に近い条件で物件を契約したければ、12月中には駅からの距離や家賃額などの希望条件を絞り込み、住みたいエリアでの家賃相場がどの程度かも調べておきましょう。
早めの行動を心がければ、希望物件が出たときにすぐに内見・申し込みまで行動に移せます。
一人暮らし向け物件の出回る時期は、不動産業界の繁忙期と重なります。
空き室が埋まるペースも早く、迷っていると申し込みの2番手以降になってしまうケースも少なくないため、入居をすぐに判断できるように優先順位は常に整理しておきましょう。
ファミリー向け物件
3LDK以上のファミリー向け物件は、10月の転勤シーズン直前の9月頃から増えはじめるため、この時期が狙い目です。
春にも転勤シーズンを迎えますが、1月~3月は繁忙期で内見などの予約も取りにくいため、9月~12月頃に検討した方が納得のいく物件探しができるでしょう。
3LDK以上の物件は、もともとの供給数が他の間取りよりも少ないため、マンションなどの集合住宅だけでなく、戸建て賃貸が提案されるケースもあります。
特に子どもの希望校区があるなら、引っ越し先の情報収集はできるだけ早めにはじめてください。
人気校区は人が集まりやすいため、賃貸物件に空きが出てもすぐに埋まってしまうケースが多いです。
希望エリアの不動産会社には早めに相談して希望条件を伝えておき、もし空きが出たら連絡をもらえるようにしておくとよいでしょう。
新築物件
新築物件がもっとも多くなるのも、ファミリー向け物件と同じ10月です。
10月に新築物件が増える理由は、繁忙期である1月~3月に向けた完成を目指して建築を進めるため。
物件によっては建物の完成前から物件検索サイトに掲載され、入居者の募集がはじまります。
新築物件は家賃がやや割高に設定されていますが、人気があるため比較的すぐに空き室が埋まりやすいです。
希望エリアの新築物件情報は定期的にチェックし、気になる物件があればできるだけ早く不動産会社に問い合わせましょう。
賃貸物件探しの流れ
初めて賃貸物件を探す方のために、一般的な賃貸物件探しの流れを解説します。主な流れは、以下の通りです。
- 希望条件を決める
- 物件検索サイトで調べる
- 不動産会社に連絡する
- 物件を内見する
- 入居申し込み・契約をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
希望条件を決める
賃貸物件探しでは、まず希望条件を決めることからはじめます。
通勤・通学の所要時間から希望エリアを絞り込み、具体的な条件を考えてみてください。
特に初めて一人暮らしをするときは、防犯面や周辺の買い物のしやすさ、バス・トイレ別など希望条件も多くなりやすいです。
ただし、条件が多すぎると物件数が限られてしまうため、譲れない条件と妥協できる条件を分けて考えた方が、スムーズに物件探しを進められます。
物件検索サイトで調べる
希望条件が決まったら、不動産検索サイトで実際に物件を検索してみましょう。
不動産検索サイトは、各不動産会社が取り扱う物件をまとめて掲載するポータルサイトです。
希望エリアや駅からの所要時間、家賃や間取りといった条件を設定すれば、該当する物件が一覧で表示されます。
時間や場所を選ばずにいつでも検索できますし、おおよその相場観を把握するのにも便利です。
不動産会社に連絡する
不動産検索サイトで気になる物件が見つかったら、担当する不動産会社に連絡してみましょう。
連絡方法は、メール・電話のどちらでも構いませんが、メールだとなかなか気付かれずにタイムリーな返事をもらえない可能性があるため、急ぐ場合は電話連絡がおすすめです。
物件を内見する
不動産会社に連絡したら、気になる物件名を伝えて内見予約を取りましょう。
内見には、不動産会社の担当者が同行します。
急に訪問しても、担当者がすべて出払っている可能性もありますし、内見するなら事前に鍵を準備してもらわなければなりません。
不動産会社を訪問したり、物件を内見したりするときは、スムーズに案内してもらうためにも予約を取っておくとよいでしょう。
賃貸物件の内見予約については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
入居申し込み・契約をする
物件を内見し、入居希望の意志を固めたら不動産会社指定の入居申込書に記入します。
入居申し込みと同時に、保証会社を利用するための審査の申し込みもするのが一般的。
保証会社とは、何らかの事情で家賃を支払えなくなったときに、入居者に代わって滞納された家賃を支払う企業のこと。
入居希望者が会社員なら、氏名・年齢・連絡先とともに、勤め先企業の名称や事務所所在地のほか、役職名や収入の詳細を記載します。
入居審査には、通常1週間程度かかりますが、最近では審査結果が即日でわかる保証会社も増えてきました。
契約書への記入のほか、住民票や給与証明書をはじめとする必要書類の提出、さらに宅地建物取引士による重要事項説明を経て、初期費用を所定の方法で支払えば契約は完了です。
賃貸物件を探すときの3つのコツ
希望に沿った賃貸物件を探すときのコツは、次の3つです。
- 条件の優先順位を決めておく
- 内見前に希望条件を伝えておく
- 物件に完璧を求めすぎない
それぞれ解説します。
条件の優先順位を決めておく
賃貸物件を探すときは、条件の優先順位を決めておきましょう。
たとえば「駅からの距離は絶対に徒歩10分以内」や、「南向きでベランダが広ければ、築年数は経っていても構わない」など、優先順位を決めておくと物件も選びやすくなります。
内見前に希望条件を伝えておく
内見の予約をするときは、希望条件も伝えておくのがおすすめです。
不動産会社では、希望の物件以外に他の物件も紹介してくれるのが一般的。
大抵は内見予約をした物件に似た物件が紹介されますが、希望条件を伝えておけば、より理想的な物件に出会いやすくなるでしょう。
物件に完璧を求めすぎない
特に初めて一人暮らしをするときは、新生活への期待からつい希望条件が厳しくなります。
しかし希望条件が多く当てはまる物件は、家賃も高額になりやすいため、ある程度の部分で妥協するのも大切です。
物件に完璧を求めすぎず、叶えたい希望と家賃のバランスも考えながら物件を選びましょう。
賃貸物件の仮押さえは2ヶ月前からできる?
賃貸物件の探し方について調べていると、「仮押さえ」という言葉を聞くことがあります。
仮押さえとは、何らかの事情から正式な申し込みをする前に、物件を仮で確保しておこうとする考え方です。
中には「2ヶ月前までなら仮押さえは可能」とする意見も目にしますが、基本的に賃貸物件で仮押さえはできません。
仮押さえをしていると、その期間中他の入居者が申し込みできない状態になるため、大家さんにとっては機会損失につながるためです。
入居申し込み後のキャンセルも、契約前であれば特にペナルティは発生しませんが、大家さんや不動産会社に迷惑をかけないためにも、むやみに申し込みをするのはやめましょう。
まとめ
賃貸物件は、探す時期によって物件の豊富さや価格交渉のしやすさが変わります。
ある程度引っ越しの時期が選べるのであれば、目的に合わせて探す時期をずらすのも1つの方法です。
どの時期に探すにしても、希望条件を不動産会社の担当者に伝えつつ、物件を探していく方法は変わりません。
理想的な物件に申し込む機会を逃さないためにも、担当者に適切に相談しながら、物件探しを進めましょう。