賃貸物件の初期費用の中で、高すぎるのでは?と戸惑うものが、鍵の交換費用です。
はじめて賃貸物件に住む人にとっては、鍵交換の相場や「本当に交換する必要があるの?」という点など、気になる部分も多いでしょう。
今回は、賃貸の鍵交換費用が高すぎる!と感じている方に向け、費用の相場や安くするコツを紹介します。
鍵を交換しなかったときのリスクについても解説しますので、判断する参考にしてください。
賃貸の鍵交換費用はいらない?
賃貸物件の初期費用に含まれる「鍵交換費用」ですが、実は鍵交換そのものが、入居者の義務ではありません。
- 鍵交換は義務ではなく任意
- 種類別の鍵交換費用の相場
まずはこの2つのポイントについて、解説します。
鍵交換は義務ではなく任意
鍵交換は、入居者の義務ではありません。
あくまで任意のため、実施するかどうかは入居者の判断で決められます。
しかしセキュリティ対策のため、実際は入居前に鍵交換を行うケースがほとんどです。
国土交通省が発表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、鍵交換費用は「賃貸人が負担することが妥当」と明記されています。
なお、賃貸人とは物件の貸主である、大家さんのこと。
しかしこのガイドラインは、あくまで基本的な考え方をまとめたもので、法的拘束力はありません。
そのため実際に鍵交換の負担を決める現場では、入居者である賃借人の負担になっているケースが多いのです。
【種類別】鍵交換費用の相場
鍵交換とは、新居の玄関ドアについているシリンダーと鍵を交換する作業のこと。
専門業者に依頼すれば15分程度で終了し、特に準備すべきものもありません。
費用の相場は、交換する鍵の種類によって金額が変わります。
一般的な賃貸物件で使われているのは、主に以下の2種類です。
名称 | 鍵交換の費用相場 |
シリンダーキー | 1万円~1万5,000円 |
ディンプルキー | 1万5,000円~2万5,000円 |
シリンダーキーは、賃貸物件でよく使われている一般的な鍵。
差し込み部分の一方が直線で、もう一方がギザギザとした形をしているのが特徴です。
ディスクシリンダーやピンシリンダーとも呼ばれ、タイプによって多少金額は異なるものの、比較的抑えた価格で交換できます。
ただしピッキングで開きやすく、合鍵も簡単に作れてしまうため、セキュリティには注意が必要です。
ディンプルキーは、差し込み部分の表面に凹凸が作られた鍵のこと。
複雑な構造でピッキングされにくく、合鍵も作りにくいので、セキュリティ性に優れています。
一般的なシリンダーキーに比べて費用がかかるため、賃貸物件の中でも、新築やセキュリティを重視した物件につけられるケースが多いです。
高すぎる鍵交換費用を安くするコツ
高すぎる鍵の交換費用を安くしたいときの方法としては、以下の3つがあげられます。
- 大家さんや管理会社と交渉する
- 自分で業者を探す
- 鍵交換しない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大家さんや管理会社と交渉する
鍵交換は入居者の義務ではないため、費用負担について大家さんや管理会社と交渉できます。
交渉次第では、費用の全額を貸主負担とすることも可能です。
ただし築浅や駅近など、入居希望者の多い物件の場合は、交渉しても丁寧に断られてしまうケースが多いでしょう。
さらに注意したいのが、賃貸借契約の特約についてです。
賃貸借契約の特約事項に「鍵交換費用は借主が負担すべきものとする」の記載があり、その内容で契約していれば、鍵交換費用の負担は入居者の義務になります。
特約に記載がある以上、契約した入居者はそれに従わなければなりません。
できるだけ契約前に交渉できるよう、内容はよく確認しておきましょう。
自分で業者を探す
鍵交換を依頼する業者は、大家さんや管理会社から指定されるケースが多いです。
ただし金額は業者によって差があるため、安く抑えられる業者を自分で手配するのも方法の1つ。
自分で業者を手配するときは、以下の2つに注意してください。
- 明確な料金提示がされているか
- アフターフォローの体制が整っているか
インターネットから業者を探すときは、必ず作業内容や金額の内訳など、明確な料金提示をしている業者を選びましょう。
またアフターフォローの体制が整っていないと、何らかの不具合があったときに、対応してもらえません。
依頼の前に、料金やアフターフォローについては十分確認しておきましょう。
鍵交換しない
鍵交換はあくまで入居者の任意なので、鍵交換をしないという選択肢もあります。
ただし、セキュリティ面からおすすめできません。
賃貸物件の鍵交換は、セキュリティ対策の基本。
費用負担が重ければ、ほかの初期費用を抑えられないか検討し、安全のためにもできるだけ鍵交換は実施してください。
賃貸で鍵を交換しなかったときのトラブルリスク
賃貸物件で鍵交換をしなかったときに、考えられるトラブルリスクは以下の2つです。
- 前の住人に不法侵入される
- 盗難や空き巣の被害にあう
どちらのケースも、トラブルとして実際に発生しています。
鍵交換を迷っている方は、よく読んで参考にしてください。
前の住人に不法侵入される
鍵交換をしない場合、前の住人に不法侵入されるリスクがあります。
賃貸物件の鍵は、貸主の所有物です。
そのため入居者が合鍵を作るときは、原則大家さんや管理会社に報告し、退去時には合鍵も含めたすべての鍵を返却しなければなりません。
しかし前の住人が報告せずに合鍵を作り、退去時に返却していなかった場合、自由に出入りできる鍵を他人が持っていることになります。
前の住人から合鍵を渡された第三者がいるかもしれませんし、それがどのように扱われているかは、誰にもわかりません。
特にシリンダーキーは、店舗に依頼さえすれば、誰でも自由に合鍵が作れてしまいます。
そのため不法侵入を防ぐには、入居時の鍵交換が欠かせません。
不法侵入のリスクを減らすためにも、入居時には鍵交換の実施を検討しましょう。
盗難や空き巣の被害にあう
鍵交換をしないと、さらに盗難や空き巣の被害にあうリスクも高まります。
前の住人が不注意で鍵を落としていた場合、誰かが鍵を所有しているかもしれませんし、合鍵を作られている可能性も捨てきれません。
前の住人がどのように鍵を管理していたかわからないからこそ、防犯面からも鍵交換は行っておくのがおすすめです。
賃貸で鍵を交換するときの注意点
賃貸物件で鍵交換をするときは、注意したいポイントが4つあります。
- 鍵が新品か確認する
- 鍵の交換方法を確認する
- 鍵交換代の二重取りに注意する
- オートロックは鍵の交換に時間がかかる
それぞれ見ていきましょう。
鍵が新品か確認する
入居日に鍵を受け取ったら、鍵が新品かどうか確認してください。
もし渡された鍵が新品ではなく、明らかに使われた形跡のあるものであれば、同じ賃貸物件内で鍵がローテーションされている可能性があります。
新品交換よりも費用を抑えられるため、鍵のローテーションは賃貸アパートなどでよく使われている手法です。
防犯としては不充分なため、必ず鍵の状態をチェックし、不審な点があれば大家さんや管理会社に申し出ましょう。
鍵の交換方法を確認する
鍵が新品に交換されるか不安なときは契約前に、不動産会社の担当者に鍵の交換方法を確認してください。
契約前であれば、新しい鍵と交換するための交渉もスムーズに行えます。
契約後は交渉が難しくなりますので、契約前の段階で気になる点は積極的に確認するとよいでしょう。
鍵交換代の二重取りに注意する
鍵交換代の二重取りとは、入居時に鍵交換代を支払ったにもかかわらず、退去時にも代金を請求されるケースです。
稀ではありますが、実際に鍵交換代を二重取りされたというケースもあります。
退去時の清算費用明細は注意深く確認し、不明点があれば大家さんや管理会社に申し出ましょう。
オートロックは鍵の交換に時間がかかる
オートロック物件での鍵交換は、建物の入り口部分のドアでも鍵を認証させるため、通常の鍵交換よりも時間がかかります。
入居前に鍵交換を済ませておけば問題はありませんが、もし入居後に交換する際は、注意が必要です。
物件によっては大家さんや管理会社がスペアキーを保管していますので、一度相談してみましょう。
賃貸の鍵交換は入居中にしても問題ない?
賃貸物件は、鍵も貸主の所有物に含まれます。
入居中に鍵を交換するときの注意点を、2つ見ていきましょう。
相談なしの勝手な交換はNG
賃貸物件では、大家さんや管理会社に事前の相談なく、勝手に鍵を交換してはいけません。
何らかの緊急事態で、大家さんや管理会社が所有するスペアキーを使う際、無断で鍵を交換していて扉が開かなければ、後日損害賠償を請求されるおそれもあります。
セキュリティの問題などで入居中に鍵を交換するときは、必ず大家さんや管理会社に相談し、許可を得てから業者を手配しましょう。
DIYでの交換は避ける
ドアにつける鍵本体は、ホームセンターなどで購入できます。
しかし鍵交換費用が高すぎるからといって、負担を抑えるためにDIYで鍵を交換するのは避けましょう。
鍵は精密な部品ですし、交換の過程でドアや壁に傷がついてしまえば、余計な費用負担が発生します。
また鍵交換について大家さんや管理会社に相談しても、DIYではまず許可は下りないでしょう。
賃貸物件で鍵交換をするときは、DIYではなく、必ず専門の取り付け業者に依頼してください。
まとめ
賃貸物件の鍵交換は、入居者が任意で行うものです。そのため入居者の判断で、鍵を交換するかどうかは自由に選べます。
ただし賃貸物件は、不特定多数の人が合鍵を所有しているリスクが高いです。
防犯面を考えると、費用負担が発生しても、鍵交換はしておいた方がよいでしょう。
また契約する賃貸物件の鍵交換に不安があれば、ぜひ不動産会社の担当者に相談してみてください。
防犯に対する意識を高め、不安のない状態で新生活をスタートさせましょう。