賃貸物件を決めるときは、実際に物件を訪問する「内見」を行うのが一般的です。
内見は図面ではわからない物件の状態や、周辺の生活環境を知るためにも欠かせません。
しかし遠方への引っ越しや多忙の場合、十分な内見時間を取るのは難しいです。
中には内見する日を1日にまとめ、効率良く済ませようと考える方もいるでしょう。
今回は内見のスケジュールを立てたいと考えている方に向け、賃貸物件の内見にかかる平均時間を解説します。
1日で決めるときの内見のコツも紹介しますので、物件探しを考えている方はぜひ参考にしてください。
賃貸の内見時間の平均
内見にかかる時間は、およそ30分が平均です。
ただし10分もかからずに終了するときもあれば、1時間近くかかることもあり、どの程度詳しく確認するかによって、内見の所要時間は変わります。
- 内見におすすめの時間帯
- 不動産会社をはしごしたいときの目安時間
効率良く内見を済ませたい方に向けて、2つのポイントを解説します。
内見におすすめの時間帯
内見する時間帯は、物件探しで何を重視したいのかを基準に決めましょう。
たとえば日中在宅していることが多く、日当たりや周辺環境を重視したい方なら、内見は平日の昼間がおすすめです。
日当たりや風通しを確認しやすく、休日に比べて不動産会社の予約も少ないため、比較的じっくりと内見に時間をかけられます。
一方、昼間は留守がちで夜は自宅でくつろぎたい方は、平日夜の内見がおすすめ。
帰宅している住人が多いため、隣室からの音の伝わり具合など、実際に住んでからの様子がわかりやすいです。
内見する時間帯で迷ったときは、自分が自宅で快適に過ごしたいと思う時間帯で決めるとよいでしょう。
不動産会社をはしごしたいときの目安時間
物件探しでは、不動産会社をはしごしても特に問題はありません。
移動時間を考えると、内見の目安時間は1物件につき、30分以内におさめるとよいでしょう。
はしごする不動産会社は多くても2~3社に留め、物件は全体で5~6件がおすすめです。
なお、不動産会社は多くが「レインズ」というデータベースを使って不動産情報を共有しています。
そのため、せっかく複数の不動産会社を訪れても、紹介される物件が同じというケースも少なくありません。
不動産会社をはしごするときは、自社管理物件のある不動産会社を利用するか、メールなどで事前に物件の詳細を送ってもらうのがおすすめです。
物件の重複を避けられる上に、確認しておきたいポイントも絞れるため、スムーズに内見しやすくなります。
内見から契約までの流れと平均的な所要時間
内見から契約までの一般的な流れと、平均的な所要時間を解説します。
契約までの手続きにかかる時間や日数は、以下の通りです。
入居までの流れ | 所要時間や日数 |
①内見 | 平均30分/1物件あたり |
②入居審査 | 3~10日前後 |
③契約手続き | 約1時間 |
内見は入居希望時期の1ヶ月~2週間前までに行うと、その後の手続きがしやすくなります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
内見~入居審査
内見とは、不動産会社の担当者と一緒に物件を訪問し、入居するかどうか確認するための手順です。
最近では、実際に部屋を訪問せずに済ませる「オンライン内見」も広く普及しています。
内見して物件が気に入れば、入居申し込みを行います。
保証会社を利用するときは、同時に入居審査に必要な書類を提出しますが、結果が出るまでの目安は3~10日前後と幅が広いです。
入居を急ぐ場合は、不動産会社の担当者に審査にどのくらい日数がかかるのか、確認しておくとよいでしょう。
入居審査にかかる時間については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
契約手続き
入居審査に通ったら、契約手続きを行います。
契約時には宅地建物取引主任者による重要事項説明が行われますが、これは不動産取引で必ず実施するように、法律で定められているものです。
重要事項説明の所要時間はおよそ1時間で、内容に問題が無ければ賃貸借契約書に署名捺印し、契約を締結します。
1日で決める内見のコツ―事前準備編―
就職や通学で遠く離れた地域に引っ越す場合は、1日で複数の内見スケジュールを組むケースも珍しくありません。
1日で複数の物件を内見するときは、事前準備として以下の4つのコツを心がけてください。
- 不動産会社に希望条件を伝える
- 内見する物件を絞り込む
- 家具・家電の寸法をメモする
- 審査に必要な基本情報を揃える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産会社に希望条件を伝えておく
物件を決めるため、1日に複数内見するときは、事前に不動産会社に希望条件を伝えておくのがおすすめです。
あらかじめ希望を伝えておけば、不動産会社も事前に物件を精査できるので、希望条件に近い物件を案内しやすくなります。
効率良く複数の内見を済ませるためにも、必ず希望条件は伝えましょう。
内見する物件を絞り込む
不動産会社から事前に物件情報が送られてきたら、内容を確認し、実際に内見する物件を絞り込んでください。
物件情報が手元にあれば、実際に訪問する前でもインターネットを使っておおよその周辺環境が調べられます。
ある程度物件に優先順位をつけて絞り込み、当日確認したいポイントをリストアップしておくのがおすすめです。
家具・家電の寸法をメモする
内見では、手持ちの家具・家電の設置場所や、玄関や通路で問題なく搬入経路を確保できるかチェックするのも、大切なポイント。
正確に把握できるように、家具や家電の寸法をメモしておきましょう。
内見では寸法メモのほか、以下の持ち物があると安心です。
- 間取り図
- メジャー
- 筆記用具
- スマートフォン
スマートフォンはカメラとしても使えますし、夜の内見なら特に方位磁石機能のあるアプリをダウンロードしておくのがおすすめ。
方角がわかれば太陽の向きを予測できるため、夜でも日中の日当たりを考慮しやすいです。
さらに電波状況も確認できるなど1台で何役も兼用できるため、スマートフォンはスムーズな内見に欠かせないアイテムです。
審査に必要な基本情報を揃える
1日で物件を決めるなら、内見後にすぐに申し込みができるように、入居審査に必要な基本情報はあらかじめ揃えておきましょう。
最低限必要なものとしては、身分証明書のほか、収入を証明できる書類があると安心です。
また連帯保証人を立てる予定があるならば、あらかじめ依頼する相手に相談し、連絡先や氏名記載の許可を得ておきましょう。
1日で決める内見のコツ―当日編―
事前準備をすすめた上で、当日にも意識したい内見のコツは次の3つです。
- 平日の朝に内見する
- 優先順位を明確に伝える
- 物件に完璧を求めすぎない
それぞれ解説します。
平日の朝に内見する
スムーズに物件を決めるなら、平日の朝から内見をスタートさせましょう。
土日は内見予約も集中しやすいため、平日の方が比較的自由に内見のスケジュールを決められます。
物件同士の距離感にもよりますが、希望度の高い順で物件を見ていった方が、他の希望者に先に申し込まれるリスクを避けやすいのでおすすめです。
優先順位を明確に伝える
不動産会社の担当者には、希望する条件と優先順位を明確に伝えておきましょう。
日当たりをはじめとする住環境を重視するのか、駅からの距離などの利便性を重視するかによって、不動産会社が紹介する物件は異なります。
内見にかける時間はわずかであっても、前後の移動時間も必要です。
希望条件とのミスマッチで希望に添わない物件を内見しないためにも、優先順位は明確に伝えておいてください。
物件に完璧を求めすぎない
スムーズに物件を決めるためには、完璧を求めすぎず、ある程度妥協する姿勢も大切です。
複数の物件を比較する中では、つい欠点ばかりが気になってしまい、他に良い物件があるのではという思いに駆られることもあるでしょう。
しかし完璧を求めすぎては、物件探しは進みません。
希望条件には優先順位をつけ、ある程度の妥協も許容範囲として考えられるような姿勢で、物件探しに臨んでください。
賃貸の内見についてよくある質問
賃貸の内見について、よくある質問を紹介します。
Q1.内見は1件だけでも問題ない?
物件に納得できているならば、内見は1件だけでも問題ありません。
内見する件数は個人の自由ですが、あまり多く内見しても自分の希望する条件がぶれてしまい、かえって迷いやすくなります。
無理に絞り込む必要はありませんが、平均的な内覧件数は2~3件。
多くても5~6件以内に抑えるのがおすすめです。
Q2.内見する時間帯は夜でも問題ない?
不動産会社の了承が取れているならば、内見する時間帯は夜でも問題ありません。
仕事で日中の外出が多い方は、夜に内見した方が、騒音などを含む生活環境も把握しやすいです。
夜に内見する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 不動産会社に早めに内見の希望を伝える
- 複数で内見に行かない
- 戸や窓を開け閉めする音に注意する
物件によっては、内見前に大家さんから鍵を借りなければなりません。
夜の内見の場合、急な依頼に対応しきれないケースもあるため、不動産会社には早めに内見希望を伝えましょう。
また夜は他の住人も帰宅しているため、同じアパートに入居する住人と顔を合わせる可能性もあります。
複数で内見に行かない、戸や窓を開け閉めする音に注意するなど、相手への印象を損ねないように、夜に訪問するときは特に基本的なマナーに気をつけましょう。
Q3.内見だけして帰るのは問題ない?
内見だけで契約せずに帰っても、問題ありません。
ただし入居しない場合は、明確にその意向を不動産会社の担当者に伝えてください。
最も問題になりやすいのは、内見後に回答を保留にしたまま連絡しないケースです。
回答が保留の間は他の内見希望者を受け入れにくいですし、結果断ることになれば、不動産会社や大家さんにとって機会の損失につながります。
また優先されるのはあくまで入居決定の意思であるため、保留中でも他から入居申し込みがあれば、そちらが優先されるケースもあるでしょう。
その場で決めきれず保留にする場合も、結果の返答は内見から2~3日以内に必ず行ってください。
もし何らかの理由で回答が遅くなる場合は、不動産会社の担当者に事情を伝えておきましょう。
まとめ
内見は物件の状態や様子を知る貴重な機会ですが、遠方への転居であったり仕事が忙しかったりなど、思うように時間が取れないことも多いです。
できるだけ希望を反映させてスムーズに内見を行うためには、不動産会社にあらかじめ希望を伝えておくなど、綿密なコミュニケーションが欠かせません。
念入りな事前準備で確認したいポイントを絞り込み、スムーズな内見を行いましょう。