賃貸アパートでは、いつの間にか部屋に大量のカビが発生してしまうことがあります。
カビは外から見えにくい場所にも生えるため、退去時にはじめて部屋がカビだらけであることに気付くケースも、少なくありません。
賃貸アパートで部屋をカビだらけにしてしまうと、退去時の原状回復に多くの費用がかかるため、できるだけカビを生やさない環境づくりが大切です。
これから物件探しをはじめる方に向け、カビだらけになりやすい部屋の特徴や、カビが生えないようにするための対処法について解説します。
この記事の目次
賃貸でカビだらけになりやすい部屋の特徴
賃貸アパートでカビだらけになりやすい部屋の特徴は、次の4つです。
- 日当たりが悪い
- 換気が不十分
- 掃除が行き届いていない
- 部屋にモノが多い
それぞれ見ていきましょう。
日当たりが悪い
日当たりが悪い部屋はカビの生えやすい環境が整っているため、カビだらけになりやすいです。
紫外線にはカビを死滅させる効果があるため、日当たりの良い場所にカビは生えません。
日当たりが悪く乾きにくい場所は、湿度を好むカビにとって格好の繁殖場所であるため、カビだらけになりやすいです。
換気が不十分
カビの胞子は空気中を漂い、家具や洋服に付着してカビを発生させる原因になります。
換気が不十分だと、胞子が屋外に排出されません。
カビの胞子が室内にとどまりやすいのも、部屋がカビだらけになる理由の1つです。
掃除が行き届いていない
掃除が行き届いていない部屋は、カビのエサとなる汚れやほこりが溜まり、カビが生えやすくなります。
また浴室やキッチンなどの水回りも、カビの発生を防ぐには定期的な清掃が欠かせません。
掃除が行き届いていないとカビの発生に気付くのが遅れ、部屋がカビだらけになりやすいです。
部屋にモノが多い
モノが多い部屋は汚れの溜まる吹き溜まりが多くなり、カビが生えやすくなります。
定期的な清掃を心がけていても、モノが多いと死角が増えてしまうことから、手入れが追いつかずにカビが生えるリスクも高まるでしょう。
賃貸アパートでカビが生えやすい場所
賃貸アパートで特にカビが生えやすいのは、次の4ヶ所です。
- お風呂場
- キッチン
- エアコン
- 扉付きの収納庫内
詳しく解説します。
お風呂場
入浴やシャワーで定期的にお湯を使うお風呂場は、カビにとって温度と湿度のどちらも保たれやすい理想的な環境です。
特にお風呂場に発生する赤い汚れは、カビの一種である赤カビによるもの。
水分のみで増殖する赤カビは、水滴の残りやすいお風呂場では特に増えやすいカビの1つで、放置していると赤カビをエサに黒カビが発生します。
黒カビは浴室のパッキン部分などに根を張って増殖するため、特に落としにくいです。
掃除や換気を怠り大量に発生させると、退去時の清掃費用が高額になってしまうため、注意してください。
キッチン
キッチンの中でも特にカビが生えやすいのは、汚れが溜まりやすい排水溝や、シンクの周辺です。
特に排水溝は、定期的に掃除していても食べかすや油汚れが付着しやすく、黒カビが生えやすくなります。
夏場は高温の影響で嫌な臭いも発生しやすく、衛生環境の悪化は食中毒などを引き起こすリスクも高いです。
カビを防ぐためにも、台所用のハイターなどを使って念入りな掃除を心がけましょう。
エアコン
エアコン内部は、フィルターに付着したほこりと温度差で発生した結露の影響で、カビが生えやすい場所です。
内部に発生したカビは表面的には見えませんが、エアコンを運転させるとほこりっぽい嫌な臭いを発生させたり、室内にカビの胞子を拡散させる原因になります。
フィルターは定期的な清掃を心がけ、汚れがひどいときは専門業者による清掃を検討してみるのもよいでしょう。
扉付きの収納庫内
パントリーや下駄箱、クローゼットといった扉付きの収納庫内は、充分な換気ができずに空気がとどまりやすいため、カビが生えやすくなります。
特に引っ越してきたときに収納したきり開けていない押し入れなどは、気付かないうちに壁までカビが発生しているケースも多いです。
壁についてしまった黒カビは、簡単には落とせません。
発生を防ぐためにも定期的な換気と収納しているものの入れ替えを心がけましょう。
賃貸でカビだらけの部屋に住むとどうなる?
カビだらけになってしまった部屋にそのまま住み続けると、どのような影響があるのでしょうか。
考えられる影響は、以下の通りです。
- 体調を崩しやすくなる
- 嫌な臭いに悩まされる
- カビがさらに広がる悪循環に陥る
- 退去時の修繕費用が高額になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
体調を崩しやすくなる
空気中に放出された胞子を吸い込むと、人によっては喉の痛みやくしゃみ、鼻水といったアレルギー症状を引き起こすことがあります。
喘息などの重篤な呼吸器疾患や、アトピー性皮膚炎といった長期的な疾患の原因にもなるため、注意が必要です。
嫌な臭いに悩まされる
カビが大量に発生すると、特有の嫌な臭いが発生します。
室内を十分に換気せずに湿度の高い状態が続くと、カビは家具や敷物の裏といった見えにくい場所にも多く発生してしまい、臭いの発生源を特定しにくいです。
カビは閉め切った環境を好むため、嫌な臭いもさらにこもりやすくなるでしょう。
カビがさらに広がる悪循環に陥る
カビは繁殖のために、空気中に胞子を飛ばします。
気付かないままカビを放置していると、身の回りの品や衣類に付着した胞子が人の移動と共に室内に広がり、さらにカビを増殖させる悪循環に陥ってしまうでしょう。
特に梅雨時はカビの増殖スピードも早まるため、カビに気付いた時点で取り除くのが大切です。
退去時の修繕費用が高額になる
入居者の生活習慣が原因でカビを大量に発生させてしまった場合、退去時の修繕費用が高額になる可能性があります。
初期費用として敷金を支払っていれば、原状回復費用の多くは敷金で相殺されるため、退去時の負担はそこまで重くならないでしょう。
しかし敷金礼金ゼロで入居していた場合、室内の清掃費用は実費請求となる可能性があります。
修繕費用の負担を重くしないためにも、入居中はできるだけカビを発生させないように注意しましょう。
賃貸の部屋をカビだらけにしないための対処法
賃貸の部屋をカビだらけにしないためには、日頃から小まめな習慣づけが大切です。
主な対処法としては、次の4つがあげられます。
- 小まめに換気する
- 結露はすぐに拭き取る
- 定期的な掃除を習慣づける
- 不要なモノを処分する
詳しく見ていきましょう。
小まめに換気する
カビの発生を防ぐには、日頃から小まめな換気を心がけてください。
小まめに換気することで空気中に漂うカビの胞子を屋外に排出するだけでなく、カビのエサとなるほこりも溜まりにくくなります。
目安としては、1時間に1回程度の換気が理想です。
湿度の高い空気を排出して室内環境を整えるためにも、適切な換気を習慣づけてください。
結露はすぐに拭き取る
冬場に発生しやすい結露は、カビの原因になりやすいため、見つけたらすぐに拭き取りましょう。
窓に発生する結露は下に流れ込み、サッシに常に水が溜まっている状態になります。
溜まった水分はカビの発生源になるだけでなく、サッシを傷め、劣化を早めることにもつながりかねません。
さらに結露は長時間窓ガラスの表面に水分を留めるため、窓ガラスそのものにもカビを生えさせる原因になります。
窓ガラスはカビの栄養源となるほこりが付着しやすく、一度発生すると大量のカビが広がりやすいです。
カビの発生を防ぐためにも、結露の発生は定期的にチェックし、見つけ次第拭き取ってください。
定期的な掃除を習慣づける
部屋がカビだらけになってしまうのを防ぐには、発生しはじめた段階で気付くことが大切です。
発生してしまったカビにいち早く気付けるように、定期的な掃除を習慣づけてください。
特にキッチンの排水溝やお風呂場の隅、窓の結露といったカビが生えやすい場所は、念入りな掃除で衛生的な環境を保ちましょう。
効果を保ちつつ掃除の頻度を減らしたければ、お風呂場で炊く防カビ剤などを使用するのもおすすめです。
不要なモノを処分する
カビは汗染みや皮脂汚れなど、落としきれなかった衣類の汚れにも発生します。
クローゼットに大量の衣服を仕舞い込むと、通気性が悪くなるだけでなく衣類同士が付着して、発生したカビが移りやすいです。
モノが多いと室内の掃除もしにくくなるため、できるだけ不用品は処分して室内環境を整えましょう。
所有物を減らしておけば引っ越し費用も抑えやすくなるため、荷造りの前段階として不用品を整理するのもおすすめです。
カビがひどい賃貸アパートの修繕費用は誰が負担する?
入居中の賃貸アパートでカビをひどく発生させてしまったときに、問題になるのが修繕にかかる費用を誰が負担するかです。
修繕費用はカビが発生した原因によって、入居者の負担か大家さんの負担かが変わります。
具体的なポイントは、以下の通りです。
- 日常的な習慣や行動が原因:入居者負担
- 建物の構造や設備が原因:大家さん負担
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日常的な習慣や行動が原因:入居者負担
入居者の習慣や行動が原因で室内をひどくカビさせてしまった場合、修繕費用は原則として入居者の負担です。
主な例としては、以下の状況があげられます。
- 部屋を閉め切り、適切な換気を怠った
- 室内干しを、いつも同じ場所でしていた
- 入浴後に換気扇を回さず、掃除も怠った
賃貸アパートの設備はあくまで大家さんの所有物ですので、入居者はできる限り設備の状態を保つように努力しなければなりません。
カビの発生原因が換気や清掃の不十分さなどが、明らかに入居者の怠慢として認められる場合、修繕費用は入居者が負担します。
退去時に高額な修繕費用を請求されないように、入居中は室内の適切なメンテナンスを心がけましょう。
建物の構造や設備が原因:大家さん負担
入居者が適切に換気や清掃をしていたにも関わらず、建物の構造や設備不良が原因でカビが発生した場合、修繕費用は大家さんが負担します。
具体的な例としては、以下の通りです。
- 建物の構造上、結露が発生しやすい
- 鉄筋コンクリート造のため、湿気がこもりやすい
- 浴室の換気扇が故障しており、入居者の連絡から修繕までに時間がかかった
このように建物の構造上の特性や設備不良など、入居者に過失がない場合、カビを発生させた責任は大家さんにあるとみなされ修繕費用も大家さんが負担します。
ただし入居者が設備不良に気付いていたにも関わらず、大家さんへ連絡せずに修理が遅れ、結果的にカビを多く発生させてしまった場合は、入居者の責任です。
修繕費用の負担先はトラブルに発生しやすいため、必要に応じて消費者センターの無料相談なども利用しながら、慎重に対処してください。
まとめ
忙しく過ごす中ではつい掃除や整理整頓が後回しになりやすいですが、いったんカビが大量に発生してしまうとかえって掃除に手間を取られるだけでなく、人によっては健康被害も発生します。
賃貸アパートでカビを大量発生させると、退去時のトラブルにつながりやすいです。
退去時に困らないためにも、日頃から換気や掃除を心がけましょう。