賃貸の初期費用を交渉したい!交渉できる項目やタイミング・注意点を解説

引っ越しをするときは、引っ越し業者に支払う費用のほかに賃貸物件を借りるときの初期費用も必要です。

どちらもまとまった費用が必要になるため、できるだけ交渉して安く抑えたいと考える方も少なくないでしょう。

引っ越し業者との値段交渉はよく聞かれますが、賃貸の初期費用の交渉は可能なのでしょうか。

今回は賃貸の初期費用を少しでも抑えたいと考えている方に向け、交渉できる項目や成功しやすいタイミング、注意点まで詳しく解説します。

賃貸の初期費用とは?交渉で安くできる?

賃貸の初期費用には、賃貸契約時に発生する敷金・礼金をはじめ、仲介手数料や保証会社の利用などが含まれます。

具体的な項目や費用の目安は、以下の通りです。

計算方法内容
敷金家賃×0.5~1ヶ月分部屋の原状回復のために、退去時まで預けておく費用。修繕にかかった費用が清算され、残金は後日返金される。
礼金家賃×0.5~1ヶ月分大家さんへのお礼の意味を込めたもの。地域によって相場に差があり、退去時に返金されない。
前家賃家賃×1ヶ月分入居月の翌月分の家賃で、初期費用として支払うケースが多い。
日割り家賃入居日に応じて変動入居当月分の家賃を月末までの日数で日割りした費用で、入居日に応じて変わる。
仲介手数料家賃1ヶ月分(税別)が上限不動産会社に支払う手数料。宅地建物取引法で上限が定められている。
保証会社利用料管理費を含めた総家賃×0.5~1ヶ月分滞納された家賃を立て替える保証会社の利用料。保証会社により相場は異なる。
鍵交換代15,000~20,000円+税入居時に鍵を交換するための費用。
火災保険料15,000~20,000円+税火事のほか、台風などの自然災害による損害を補償する。保険会社は管理会社から指定される。

賃貸の初期費用の相場は、家賃のおよそ5ヶ月〜6ヶ月分です。

項目によっては、金額の交渉ができる場合があります。

一方、保証会社の利用料などはあらかじめ金額が決まっているため、交渉しても受け入れられないことが多く、注意が必要です。

賃貸の初期費用で交渉できる項目

賃貸物件で初期費用を交渉したいと思ったら、以下の5つの項目で試してみましょう。

  • 礼金
  • 鍵交換
  • 火災保険
  • 室内消毒・クリーニング
  • 仲介手数料

それぞれのポイントを、詳しく解説します。

礼金

礼金は、お世話になる大家さんへのお礼金として支払われていたものが、今も風習として残っているものです。

退去時の原状回復費用として使われる敷金に対し、礼金はお礼としての意味合いを含むため、比較的金額の交渉がしやすくなっています。

ただし、月々の家賃を抑える代わりに礼金を徴収している場合もありますので、交渉はあくまで丁寧な姿勢で行いましょう。

鍵交換

賃貸の初期費用に含まれる鍵交換は、本来入居者の義務ではなく、任意で行うものです。

そのため、大家さんや管理会社から指定された業者ではなく、自分で見つけた業者への依頼もできます。

しかし、鍵を交換せずに入居するのは、セキュリティ上あまりおすすめできません。

合鍵は原則として退去時に返却する決まりになっていますが、万が一手元に残されていると不法侵入されるリスクが高まるためです。

鍵交換費用を抑えたい場合も、金額の安い業者に自分で依頼するなど、交換自体は必ず行うようにしましょう。

賃貸の鍵交換については、こちらの記事もぜひあわせてご覧ください。

火災保険

火災保険は、火事だけでなく洗濯機からの水漏れといった幅広いトラブルをカバーするため、賃貸物件では入居者の加入が義務付けられていることが多い保険です。

通常は不動産会社や大家さんから指定された保険会社で加入しますが、自分で選んだ火災保険に加入できる場合もあります。

任意の保険に加入したい場合は、契約の締結前に不動産会社に相談しておきましょう。

室内消毒・クリーニング

初期費用には室内消毒やクリーニング費用も含まれていますが、退去時の原状回復で清掃されていることも多いため、交渉次第で不要にできる場合もあります。

内見時に室内の様子を確認して、不要だと感じた場合は交渉してみるのもよいでしょう。

仲介手数料

不動産会社に支払う仲介手数料も、交渉できる項目です。

仲介手数料は、宅地建物取引業法で「家賃1ヶ月分まで」と上限が決められていますが、その範囲内であれば業者ごとに自由に金額を設定できます。

そのため、業者によって家賃0.5ヶ月分や1ヶ月分など、金額に違いが出やすい項目です。

より確実に初期費用を抑えるなら、はじめから仲介手数料の設定が安い不動産会社で物件を探してみるのもよいでしょう。

賃貸の初期費用を交渉するときの注意点

賃貸の初期費用には多くの項目が含まれるため、交渉次第では減額してもらえることもあります。

交渉の際は、次のポイントに注意が必要です。

  • 契約までに時間がかかる
  • 無理な交渉は避ける
  • 繁忙期の交渉は難しい

初期費用を交渉しない場合は、見積もりの提示から注意事項の確認、契約締結までスムーズに進みます。

しかし、交渉する場合は大家さんや管理会社への確認も必要になるため、契約までに時間がかかりやすいです。

交渉中に値下げなしでの入居希望者が現れた場合は、そちらが先に決まってしまうこともあるでしょう。

また、極端な値下げやしつこすぎる交渉は大家さんからの印象も悪くなってしまうため、あまりおすすめできません。

新生活シーズンに向けた繁忙期は交渉自体が受け入れられないケースが多いため、入居時期にも注意しましょう。

賃貸の初期費用を交渉するのにベストなタイミングはいつ?

賃貸の初期費用について交渉をするなら、タイミングは賃貸借契約を結ぶ直前がベストです。

賃貸借契約を結ぶ直前であれば、真剣にその部屋を借りることを検討していると伝わるため、大家さんや不動産会社としても交渉に応じやすくなります。

「早めに交渉しておきたい」という考えから内見の段階で金額の交渉を申し出る方もいますが、借りるかどうかわからない相手からの要求には応じにくいものです。

また、審査が完了し契約を締結した後の交渉はできません。

交渉をしたいときは、必ず契約締結前に申し出るようにしましょう。

賃貸の初期費用の交渉の仕方

初期費用の交渉を申し出るときは、相手に対して失礼にならないよう、丁寧な姿勢で臨むことが大切です。

電話や対面で直接申し出る場合と、メールを送る場合について、それぞれの方法を具体的に紹介します。

電話や対面の場合

契約を締結する直前に初期費用について交渉をする場合は、電話や対面で直接不動産会社に申し出るケースが多いでしょう。

交渉する場合は丁寧な姿勢を心がけ、無理な交渉にならないよう注意することが大切です。

対面の場合は、その場でお互いのやり取りを確認し合えますが、電話の場合は履歴が残りません。

後のトラブルをなくすためにも、会話の内容や取り決めた条件についてのメモをとって、必ず記録を残しておくようにしましょう。

メールを送るときの例文

「値下げをお願いしたいけれど、直接は言い出しにくい」という場合は、メールで交渉するのも方法の1つです。

メールなら過去のやり取りも確認できるため、認識のずれを防いで「言った・言わない」などのトラブルも減らせます。

初期費用の減額に応じてもらえるケースは、それほど多くありません。

交渉をするときは、一方的に要望を伝えるのではなく、不動産会社や大家さんにとってもメリットのある提案をしてみるとよいでしょう。

具体的な例文としては、以下の通りです。

お世話になっております。
先日は内見のご対応をいただき、ありがとうございました。
室内が非常にきれいな状態でしたし、部屋の掃除は自分でしたいと思っているのですが、室内クリーニングの費用をなくしていただくことは可能でしょうか。
もし可能であれば、すぐに申し込みをしたいと思っています。
ご検討どうぞよろしくお願いいたします。

上記は室内クリーニングをなくす場合の例ですが、礼金の減額やフリーレントをつけることを条件にしてみるのもよいでしょう。

具体的な条件を提示しつつ、「応じてくれたらすぐに入居する」という姿勢で交渉に臨むことが大切です。

交渉以外で賃貸の初期費用を抑える方法3つ

交渉次第で賃貸物件の初期費用を減額できることもありますが、交渉しても応じてもらえなかったというケースもよくあります。

初期費用を抑えたいなら、次のような交渉以外の方法を知っておくことも大切です。

  • 家賃の安い物件を探す
  • 敷金・礼金ゼロの物件を探す
  • フリーレント物件を検討する

初期費用を抑えるコツを押さえて、余裕をもった新生活をスタートさせましょう。

家賃の安い物件を探す

敷金・礼金をはじめ、仲介手数料や保証会社の保証料など、初期費用に含まれる項目の多くは家賃を基準として計算します。

そのため、初期費用の総額を抑えるなら家賃の安い物件を探すのが効果的です。

駅からの距離や築年数、備え付けの設備の内容など、条件を少し変えるだけで家賃を大きく下げられる場合もあります。

条件の幅を広げながら、初期費用も含めて物件を検討してみるとよいでしょう。

敷金・礼金ゼロの物件を探す

敷金・礼金がゼロの「ゼロゼロ物件」なら、初期費用を大きく抑えられます。

敷金や礼金はどちらも家賃1ヶ月分の設定が多いため、仮に家賃5万円の物件の場合、10万円近く初期費用を抑えられることもあるでしょう。

ただし、ゼロゼロ物件は入居時の費用を抑えられる代わりに、退去時のクリーニング費用を別途請求される場合があります。

ゼロゼロ物件についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、気になる方はぜひ参考にご覧ください。

フリーレント物件を検討する

フリーレントとは、決められた期間の家賃を無料にする仕組みのこと。

1~2ヶ月分の家賃が無料になるものが多いため、初期費用の総額は変わらなくても、かかるコストの総額を抑えられる場合があります。

賃貸物件から賃貸物件への引っ越しを検討中の方にも嬉しいフリーレントの仕組みですが、短期で解約すると違約金がかかるケースが多いため、注意が必要です。

フリーレント物件のメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。

まとめ

賃貸の初期費用は、交渉によって抑えることもできますが、成功するケースは少ないため、確実に費用を抑えるならその他の方法を考えることも大切です。

家賃の安い物件やゼロゼロ物件など、自分にとってよりメリットを得られる条件を比較しながら、自分に合った物件を探しましょう。

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